恋の滓がまだ残っている (original) (raw)

B'z 21th Album NEW LOVE

心残りがある恋。未練をはらむ別れに咽び泣く鴉。

※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします

Discography

B'z

Title: 恋鴉

21th Album NEW LOVE 2019.5.29 Release

Music/Arrangement/Guiter: 松本孝弘

Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志

Arrangement: Yukihide "YT" Takiyama

Drums: Brian Tichy

Bass: Mohini Dey

Keyboards: Jeff Babco

Percussion: Lenny Castro

Theme

恋愛の心残り。それを鴉が鳴く様子に喩えて歌っている。

あと収録されている『NEW LOVE』のツアーで長年務めていたサポートメンバーが一新する。そういった名残惜しさ的な想いも背景にあって、テーマに若干だが干渉していそうだ。

Sound

ブルース要素もある激しいロックバラード。こういう曲調の曲は好みです。

絶妙にワウが効いたギターサウンドはTAK TONEそのもの。ノリノリで重厚なサウンドのギターリフと愉快なキーボードのハーモニーが、ハードロックの真髄に迫るよう。

Lyric

鴉の鳴き声のようなイントロ。そこから急にメロディアスで激しいギターリフが登場。

ちなみにイントロのギターの音色にユニゾンで松本さんの音声コーラスが加工して入っている。ヘッドホンで聴くと薄っすら聴こえる。ライブでも歌いながら弾いてたよ。

取り憑かれたようにひとりで

泣き続けている夕暮れの鴉

群れは皆うちに帰ってく

その空に声は響き渡った

MVがあるとしたら、イントロは画面手前で鴉が鳴いてギターリフが始まったら群れの鴉が飛んでいく。そして、一羽の鴉だけはそれを見つめている構図。そんな一羽の鴉の物語。

なにかに魘されているように泣き続ける。孤独に泣く。鳴くじゃなくて泣く。

別れかな?

恋の滓がまだ残っている

辛いくらいに溜まっている

いつになったらこの俺は

太陽まで飛んでいけるの

冷たい魔法を解いておくれ

まだ諦めきれない未練の残るような恋かな?それが痛いくらい鮮明なほど記憶に残っている様子。それを熱い太陽へ向かって再度熱を帯びさせたいのか?まだ諦められないぞ!って。

もしくは、冷めているはずの恋愛の心残りを冷たい魔法と例えているよう。だとしたら、もうこんな辛い恋の滓はいらないから諦めさせてくれ!燃やすなり溶かすなりしてくれ!となるかも。

上記のどちらか2択。諦めない or 諦める。

あと思ったけどカスではなく滓っていう漢字を使うセンス、表現力よ。流石です。

雨粒を纏った翼が

一番綺麗な色に輝く

それを見てもらいたい相手は

あなたひとりしかいない事実

鴉は黒色。それがなぜ綺麗な色へと変貌を遂げるのか解説からスタートしていく。多くの鳥類は羽に尾脂腺から分泌される皮脂のようなものをコーティングする。それで翼が濡れたり体温の低下を防ぐ対策をしている。一応ハムスター飼っていたりしたし、知人が文鳥飼ってたので知識はある。ハムも臭線という鳥とは使い方が若干異なるが似たような器官がある。だから知っていた。

脱線したが解説に戻ると、『雨』=『辛い困難』で、雨が止んで羽に付いた『雨粒』が『一番綺麗な色に輝く』=『苦難を乗り越えた新たな自分』に変わる。それをあなたに見てもらいたいと歌っている。あなたの存在がいかに大事なのかがわかる。そりゃ恋の滓がめちゃくちゃ溜まるわ。

あと『事実』の発音の仕方がいいね。『じじつぁあ』と言葉にならない声みたいになってて。

恋の滓がまだ残っている

面倒くさいったらありゃしない

いつになったらこの俺は

流れ星になれるの

もう一回でいいから振り向いてくれ

これは諦めたくない様子だ。前述した新たな自分を見てほしくて、あなたに振り向いてほしいくらいだし。

面倒になるほど鬱陶しく記憶にこびりついている。そのぐらいまだ無意識に想ってしまっているようにみえる。流れ星よ、願いが叶うならもう一回僕と向き合ってほしいと。もしくは『消えない虹』的な、あなたにとっての流れ星になりたい、とか。

とにかく別れた相手に向かってのもの哀しいメッセージとなっている。

この後に『Let me fly』と囁いて、激しいギターソロへ突入する。果たして飛ぶことはできるのか?

恋の滓がまだ残っている

可笑しいくらいに疼いている

明日になったらこの俺は

太陽まで飛んでいくのさ

冷たい魔法はもういらないよ

自分でも笑ってしまうくらいにあなたを想っている。どうしても抑えられない衝動。ただある日、明日にはあなたの元へと飛んで行くと決心する。この冷たい魔法は解けるのか?溜まりに溜まった恋の滓はどうなるのか?運命やいかに。

アウトロも鴉が木の枝からどっか遠くへ飛んで、翼を大きく羽ばたかせながら鳴いているように聴こえる。ギターの表現力も素晴らしすぎる。

総評

めちゃくちゃ好みの曲!哀しい恋の激情をここまでかっこよく楽曲に反映させるのは、流石としか言いようがない。個人的に近年で好きなバラードの一つになっている。

ただライブ『B'z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』では日替わりで『Da La Da Da』の日にあたって聴けなかった悲しい思い出がある。