なんという幸せ (original) (raw)

B'z 16th Album ACTION

幸せなんだ。幸せなはずなんだ。幸せなはずなのに。

※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします

Discography

B'z

Title: なんという幸せ

16th Album ACTION 2007.12.5 Release

Music/Arrangement/Guiter: 松本孝弘

Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志

Arrangement: 徳永暁人

Bass: Sean Hurley from Vertical Horizon

Drums: Jeremy Colson

Organ: 小野塚晃

Saxophone: 勝田かず樹

Trumpet: 佐々木史郎

Trumpet: 小林太

Trombone: 河合わかば

Thema

ワーキングプアを想像させるような歌詞。

子供と配偶者への幸せのために生きる。自分なんて身を粉にしても構わないと歌っている。その人ベースの幸せについて考えさせらせる。

Sound

昭和の渋めのブルースやブラックミュージックを基調としたスタイル。そして、タイトルとは裏腹にどんよりとした空気感が漂う作風。

一応サビで盛り上がりはするが、なんとも煮え切らない感じ。けど、それがこの楽曲の良いところでもある。

幸せそうではあるが心が疲弊している様子を音のみでここまで再現できるのは流石プロ中のプロとしか言えない。

Lyric

なんとも言えない悲痛の叫びのようなシャウトから曲はスタート。イントロからして幸せそうには見えないなあ。

かわいい寝息たてて眠る愛しい子

なごり惜しげにゆっくり明かり消すよ

子供がいる主人公。夜遅くに帰宅して、我が子を愛でる時間もなく就寝。さっそくワープアを思わせるような歌詞の登場。

明日も一緒に笑いあえますように

仕事でクタクタだけど、子供と妻の笑顔のために頑張る!

働きまくろう がむしゃらに赤い血をにじませて

あなたのことを守るのは この世でオレしかいない

ああ なんという幸せ

愛おしい家族のために、仕事に心血注いでいる。どんなに辛くても家族の笑顔の為なら頑張れる!その家族を支えるのは俺しかいない。勝手に自分で自分を追い込んでいる。それを幸せだと認識していて、少し盲目な様子が窺える。

しっかり夢はあるけど なかなかどうして ねえ

思いどおりにならなくて泣いてもしょうがない

仕事で壁にぶち当たって思い通りにいかない。とにかく精神的に辛い様子。さっき幸せと言っていたのは虚勢か?

先に楽しみが あれば体も動く

けど家族の笑顔のために今日も働く!ゴールが見えていれば苦でもないと言わんばかり。

愛しまくろう全身で クタクタになるほど

不満なんて一切漏らさない グイグイ全部飲みこもう

ああ なんという幸せ

仕事も家庭も全力すぎて絶対無理してる。全部内に抱え込んで飲み込んで生きている。そして『僕はなんて幸せなんだ!』と自分に言い聞かせる。

自分も悩み事など抱えこむ癖があるので気持ちは痛いほどわかる。心配かけたくないしね。この歌詞の主人公は責任感強すぎるけどね。

今度の休み ステキな指輪をあげるからね

海辺の観覧車のっかって 必ず手渡すからね

ああ なんという幸せ

子供がいるけどまだ指輪はあげてなかった。結婚式やキチンとしたプロポーズはできていなかった様子。もしかしたら貧困家庭なのかも。働きまくって休む暇もなさそうだしね。

そんでたまの休みも家族のために惜しまない。健気だな。

どんなに辛いことも笑っておこう

誰にも絶対に負けない愛情がある 今ここにある

ここの歌い方がめちゃくちゃ好き。無理して飲み込んでいるネガティブな感情が今にも溢れ出すように歌う表現力がド迫力で圧巻。

愛があればどんなに辛いことも乗り越えられる!と自分に言い聞かせる。この曲調的にいつかガタが来そうな若干の不安はある。

かわいい寝息たてて眠る愛しい子

なごり惜しげにゆっくり明かり消すよ

愛する我が子のために、また今日も頑張る。歌詞だけみると幸せそうなのだが、アウトロが不穏でバッドエンドを想像してしまうのが何とも言えないやるせなさを感じる。

総評

なぜか癖になる楽曲。暗いながらも愛を頼りに生きている姿が健気で逞しい。

結婚して子供がいる人に聴いてもらいたい。独身時代はまったく惹かれなかった楽曲だけど、結婚して子供が出来たら共感できてしまう箇所があって評価が変わった。けどまあ各家庭によって捉え方がかなり変わりそうだな。