【新作ラノベ感想part191】ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~ (original) (raw)

今回の感想は2024年3月のSQEXノベル新作「ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~ 」です。

ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~(1) (SQEXノベル)

※画像はAmazonリンク

あらすじ(BWより引用

旦那様。これからは蕩けるほど私の愛に溺れてくれ。

ベル・プペー《美しい人形》とあだ名される公爵令嬢レティシア。その儚げな容姿とは裏腹に、中身は男女問わず魅了する屈指のスパダリだった!?魔導具によって最強の傭兵騎士に変身し『氷の竜帝』としても活躍していたが、正体を知るのは一部の者たちだけ。そんな彼女が婚約したのは素行に難ありと噂される『呪いの皇子』ジルベール。初対面から冷たい態度で接してきたジルベールだが、彼の孤独と不器用な優しさに触れたレティシアは心を射貫かれてしまい――。「必ず幸せにするよ、旦那様」最強スパダリ令嬢と愛が重たい旦那様の波乱万丈な新婚生活が今始まる!

感想

本作は作者があとがきにて性癖を詰め込んだ作品と話しています。

なるほど、読めば納得。これはそういう作品だな、と理解できるものでしたよ。

本作はあらすじにあるように。

ベル・プペーと周囲から称される公爵令嬢レティシアが、実は傭兵騎士としても活動するくらいのスパダリヒロインであり。呪いの皇子と呼ばれ敬遠されているジルベールをその持ち前の男前っぷりで愛していき、ジルベールもまた自分の全てを見てくれる彼女にどんどん心を奪われていき……、というお話です。

が、これは正直ちょっと語弊ありますよね。

だって序盤の数10ページのプロローグとそれ以降のギャップがエグいんですもの!

レティシアジルベールの出会いが描かれる第1章、それが終わった直後に読者が目にするのはもう完全にレティシアにメロメロになって依存気味になっているジルベールと、そんな彼を愛でるイケメン美少女レティシアの姿ですからね。

第1章の出会いの時点ではオシトヤカ~の猫を被っていたレティシアと、呪いの皇子と呼ばれ周囲を拒絶していたクール系イケメンっぽいジルベールの面影など完全にどこか行っています。

正直、わたしは「なにがどうしてそうなったの!?」と言いたくなる気持ちがありました。二人が運命的な出会いをして、お互いがバチッとはまるような相性の良さを感じたのは理解できても、そこから二人がどうやって距離を縮めていくのか、素の自分を晒せるようになっていくのか、そういう変化の過程こそが重要なのではないのか……、そう思っていたんですよ。

でも読んでいると分かったんです。

レティシアジルベールもめっちゃ活き活きしてるって。

レティシアに愛されて、レティシアのために本来の頭脳明晰さを発揮して周囲で起こる問題を次々と解決していくジルベール。ときには彼女のためならその他がどうなったっていいというくらいの重い愛情を見せて。世界の中心にレティシアがいるんだというのが言動の数々から存分に感じられ良いですよね。

一方のレティシアもまた、美少女としてもイケメンとしてもまさしくスパダリ然としてジルベールを愛していて、ジルベールがそれにキュンキュンしているのが読者視点でもよーく分かる。ジルベールがずっと心に抱えている、呪いの皇子として周囲から疎まれている事実とそれに対する思いに寄り添い自分が支えになろうとする気持ちは純粋な一人の女の子としての気持ちとして分かるのも良いですしね。

と、そんな新婚夫婦としてのイチャイチャをこれでもかってくらい見せられるものですから、自然と理解できてしまうんですよ。「あ、この二人のこういう形を描きたかったんだろうな」って。

そこからはもう、絶対的にジルベールに寄り添おうとするレティシアと彼女だけへの愛を捧げるジルベールの二人を中心にどんどん進んでいく話をあるがままに楽しめるというものです。

個人的に良かったポイントとしては、レティシアの持つ反転の魔導具ですね。

それによって彼女は性別を反転、超絶イケメンに変身して、その姿で最強の傭兵騎士・竜帝様として活動しているという背景があり。これが彼女を文字通りのスパダリ、にするという点でもファンタジー作品ならではと思えますし。さらにはこの竜帝としてのブランドと物理的戦闘力をジルベールのために使うようになると鬼に金棒、どんな問題が起ころうとも基本的にはジルベールがまずは手回しで早期解決を図りどうにもならないときの最終兵器としてレティシアの存在があるという、この圧倒的安心感が読んでいて非常に爽快でした。

またレティシアが美少女の姿とイケメンの姿を使い分ける、ともなれば。

当然ジルベールの方も同じようにしなきゃダメだよね? という点もしっかり回収してくれます。

正体不明のイケメン傭兵騎士レティシアと彼の寵愛を受ける謎の美人(女装したジルベール)という構図は、本作最大の見所と言えるでしょう。この最高の組み合わせを完成させるためのサポート(主にジルベールの女装の手伝い)はグッジョブと言いたくなるものでした。

そして何よりもそういうシーンを含めて的確に差し込まれる美麗な挿絵の数々によって「性別とかそんなものは関係なく、美少女とイケメンはそれだけで目の保養になる」という普遍の真理が頭でなく心で理解できるようになっているのは、とても良かったと思います。だってイケメンモードのレティシアは、これは男も女も虜にするわ、ってなりましたもの。

というわけで、まとめると読めば分かる。

可変TS搭載のスパダリヒロインと彼女の愛によって溶かされて依存気味の重い愛情を返すようになった皇子様が新婚夫婦らしく愛情を深めながら、周囲で起こる問題を軽快に吹っ飛ばしていくお話でした。

総評

ストーリー・・・★★★☆ (7/10)

設定世界観・・・★★★ (6/10)

キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

イラスト・・・★★★★☆ (9/10)

次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)

総合評価・・・★★★☆(7/ 10) やはりイケメンと美少女は目の保養になりますね

※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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