<エッセイ>柏レイソルが入社に導いてくれた話 (original) (raw)
筆者は昨年12月より転職活動をしていた。人手不足とニュースでは言うものの、不採用のメールを滝のように浴びていた。
そんな中、とある企業の書類選考が通過して1次面接に進むことになった。平日なので仕事を終えて都内に向かった。場所は通っていた大学の近くで、懐かしさを感じた。
時間になり、企業が複数入るビルのエレベーターへ乗り込む。フロアに降りてすぐ自動ドアがあったが、近づいても扉は開かない。
「面接の人ですか?」
帰宅しようとしていた社員が、見かねて声をかけてくれた。社員カードが無いと開かないらしく、親切にも開けてくれた。また、わざわざ面接官に声をかけにも行ってくれた。
「こちらです、どうぞ」
2人の男性面接官が出てきて、部屋に通された。早速面接が始まった。
「柏から来ているのですね」
「はい、ここまでは地下鉄で一本で来れます」
「自分は流山から通っているんですよ」
面接官は話を続けた。
「サッカーチームありますよね?柏レイソルっていう」
「ええ、実はレイソルを応援しておりまして」
「ああ!私もそうなんですよ!2、3年前から応援し始めまして」
奇遇にも柏レイソルサポーターであった。そこからレイソルトークが主な話題となった。おおよそ以下のような内容だ。
面接官がレイソルサポーターで、話の5割以上がレイソル関連だった件について。笑
・ちばぎん行くんだよね。
・開幕戦ってアウェイじゃないの?
・チケットまだ間に合う?
・天皇杯は観に行った?
・家の近くでレイソルの選手に会った。面接なのか、これはw
— 家から日立台へ。徒歩10分 (@gotohitachidai8) 2024年2月15日
もちろん面接定番の質問はされたが、一連の質問が終わってもまたレイソルトークだ。もう1人の面接官はサッカーに疎く、全く会話についていけていない。やり取りに引いてすらいる。
「次に通そうと思うので、よろしくお願いします」
そう言われて、この日の面接は終了した。
後日、言葉通り2次面接の案内メールが来た。同じ場所に訪れると、またあの面接官が出迎えた。
「ちばぎんはダメでしたね〜」
挨拶がてら、ちばぎんカップでジェフ千葉に敗れたことに触れた。
今度は配属予定の部署の部長が出てきた。さすがにレイソルトークは無い。しかし、
「○○って会社、うちの大運動会をやってくれましたよね?」
実は筆者の前職で、この企業グループの運動会を手がけた事がある。以前の上司がその運動会の主担当で、私はサブだった。
「あの時はお世話になりました」
この面接官は当時このプロジェクトに関わっていた為、社名に引っ掛かった。
「あの時は台風で大変でしたよねー。新幹線組は車内で飲んで楽しんでいましたけど」
その新幹線を手配したのは筆者である。
面接自体はあまり手応えはなかったが、この繋がりが手助けしたのかだろうか。数日後、最終面接の連絡が来た。
「お越しいただき、ありがとうございます」
3度目のレイソル面接官である。だが面接の相手は、この企業の社長である。
「○○というと、最寄りは新柏か」
開口一番に、筆者の住所、柏市のその先から話してきたので流石に驚いた。
社長からは幼い頃のことを深く聞かれたので、もちろんサッカーの話をした。
「市船と流経が千葉では強いでしょ?」
高校サッカーの話題にも知識があるようだった。
それなりに評価してもらい、40分で面接は終わった。
「水を飲んで」
社長との会話を傍らでずっと聞いていたレイソル面接官が、社長が退出した後に促した。
交通費の支払い手続きをした後、エレベーターホールまで見送ってもらった。
「開幕戦は風邪ひいちゃって。DAZN観戦していました」
「そうだったんですか、自分は現地で観ていました」
「え、雨だったのに?すごいね」
「でも10,000人くらい来ていました、開幕戦だからですかね」
こうして全ての面接を終了した。
そして本日、面接から24時間を経たないうちに、採用通知のメールが届いた。
この一連の出来事では、色々な縁を今回感じることができた。奇跡と言われればそれまでだが、このようなことは何かしらの運命であると筆者は思っている。懐かしさや親近感を感じさせる新しい職場。4/1からは、筆者のホームとなる。
▼この記事の筆者について▼