暑いけどくっつくのはうれしい。 (original) (raw)

ユクは犬だから全身毛むくじゃらだ。
そうは言っても、毛の長い犬たちと比して、毛足は短い部類だと思う。
三週間に一度のシャンプーでも、毛にそれほど悩まされてはいない。四年もやっているので犬も人間も慣れてきた。お風呂場に行くことには慣れていないフリをしているが、本当は心底怖がっているわけではないと思う。慣れはあるはずだ。

お風呂上がりはテンション爆上げなユク坊。

ドライヤーに至ってはすっかり慣れている。むしろ気持ちよさそうに、まだ当たっていない側を差し出すほどだ。ドライヤーが嫌いだから、とあげていたチュールも、本当はもう必要ないのだが、いきなり楽しみにしていたおやつの慣例がなくなるのは忍びないので継続している。基本チュールはお風呂の日だけ。

近所に住んでいる犬たちのシャンプーの話をうかがっていると、なかなかに大変そうだ。悲鳴のように鳴り響く鳴き声をあげる犬。毛足が長くて乾かすのに相当な時間を要する犬。部屋中が毛だらけになってしまう、などなど。

みやげ命!

ユクは、耐える。甘んじて受ける。シャンプー、シャワー、ドライヤー。
すべてが終わると、「おみやげ」と我が家で呼ばれている、その日の特別なおやつが進呈される。そのおやつをリビングで食したあとは、猛スピードで二階の寝室へ駆け上がる。寝室に入る前の踊り場で、しっかり飼い主たちが付いてきているかどうかも確認する。見て欲しいらしい。

階段が好き!なユク坊。

寝室に着くと、ベッドへ飛び乗り、まるで四方を敵に囲まれているかのような演技(演舞?演武?)が始まる。これの上演時間は回を追うごとに短くなってきたので、早くベッドの所まで行かないと見逃すことになる。

ひと通り終わると、また全速力で階段を駆け降りて、リビングでも先ほどの演舞の続きが行われる。このあたりまで来るとユク本人もヒートアップし過ぎて、訳がわからなくなっている様子だ。

午睡。真夏の暑苦しい画。

今、私たちは毎晩犬と一緒に寝ている。日中も休憩時間にはユクとくっついて外を見ている。うたた寝もする。日曜日の午後、ベッドで二人と一匹でお昼寝するのは最高だ。
毛むくじゃらがくっついてきて、暑苦しいが、それはとてもうれしくもある。

汗のにじむ幸せな午睡。