ロシア軍によるバイク攻撃、無人機と地雷に埋め尽くされた戦場への適応 (original) (raw)

New York Timesは29日「荒野を移動する最中に少しでも攻撃を受けにくくするためロシア軍は様々な方法を試している」「その最新アプローチがオートバイによる攻撃だ」「この新しい戦術は無人機と地雷に埋め尽くされた戦場に対する適応だ」と報じている。

参考:Motorcycles and Mayhem in Ukraine’s East

ロシア軍が攻撃方法を改善して「一定の効果が認められる戦術」に昇華するかもしれないので、じっくり見ていくしかない

ロシア軍の前線部隊はドローン攻撃から身を守るため全地形対応のバギーやバイクを欲しており、New York Timesも29日「荒野を移動する最中に少しでも攻撃を受けにくくするためロシア軍は様々な方法を試している」「その最新アプローチがオートバイによる攻撃だ」「この新しい戦術は無人機と地雷に埋め尽くされた戦場に対する適応だ」と報じている。

“ウクライナ軍将校は「春頃からオートバイ、ダートバイク、四輪バイク、デューンバギーを使用した攻撃が急増し、バイクによる攻撃が全体の半数以上を占める戦場もある」と明かした。開けた荒野を移動する最中に少しでも攻撃を受けにくくするためロシア軍は様々な方法を試している。その最新アプローチがオートバイによる攻撃で、戦場の上空には偵察用ドローンが飛び交っているため装甲車輌は格好の標的になっており、より高速で移動できるバイクやバギーは大砲に狙われにくい。欠点は敵陣地に近づくと機関銃の掃射を受ける点でバイクやバギーには装甲がない”

“それでも砲撃によって塹壕からウクライナ軍兵士が顔を出すのを阻止できれば、バイクに乗ったロシア軍兵士は開けた荒野を通り抜けられることもある。この戦術は大きなリスクを伴うものの双方にとっての戦術的課題、つまり偵察用ドローンに監視され砲撃を受ける中「地雷がばら撒かれた荒野をどうやって移動するか」という課題を解決する。荒野を通り抜けたロシア軍兵士はバイクを乗り捨ててウクライナ軍陣地の塹壕に侵入し、双方の兵士は近接戦闘に突入する”

“あるウクライナ軍兵士は「バフムート占領時の歩兵攻撃と同じ様にバイク攻撃も多数の死傷者を出している」と述べたが、この攻撃は大砲や弾薬の優位性にとって代わるものではなく完全に新しい戦術で、安価で大量調達が可能なオートバイやダートバイクの使用は装甲戦力の使用を節約するのに役立っており、ウクライナ軍兵士も「バイクは視界も機動性も良好なため装甲車輌では気づけない地雷を避けるのが容易だ」と証言し、バイク攻撃は鉄板を全周囲に貼り付けてFPVドローン攻撃に対する保護を追加したタートルタンクとは対極に位置する”

“それでもウクライナ軍兵士は「これほど無謀な攻撃をどうして考えつくのか私には分からない」と主張したが、高速で移動するバイクを機関銃で狙うは容易ではなく「突撃してきた全員が塹壕まで到達できないこともあれば、全員が塹壕まで到達することもある」とも述べており、第47機械化旅団のある軍曹も「ロシア軍の司令官たちは今後もバイクやバギーによる攻撃を今後も続けるつもりで、戦場の木々で覆われた範囲にはバイクやバギーが沢山隠されている」と述べた”

Another Turtle-tank.@bayraktar_1love @jpartej @jpg2t785 @AndreiBtvt pic.twitter.com/cZrS7locxn

— War Armor (@StettingerN) May 5, 2024

大砲に支援された歩兵による波状攻撃も当初「バンザイ攻撃」と馬鹿にされたが、現在では「人的損害さえ許容できるなら装甲戦力の機動スペースが奪われた戦場を前進するのに効果的」と評価されており、ウクライナ軍も昨年夏に装甲戦力よる反撃が失敗したためロシア軍と同じ戦術=徒歩による前進を採用している。そのため「バイクやバギーによる荒野を通り抜ける戦術」や「タートルタンク」が役に立たないと断定するのは早計だろう。

ロシア軍が攻撃方法を改善して「一定の効果が認められる戦術」に昇華するかもしれないので、この辺はじっくりと様子を見ていくしかない。

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※アイキャッチ画像の出典:БУТУСОВ ПЛЮС