祖父の事 (original) (raw)

父が家のため,今後のため近くに墓地を購入したのは2017年であった.四男坊の父は栃木県佐野市より東京に出てきて,そしてアパレル関係の有限会社を設立しそこで働いてきた自営業者である.当時はメリヤスとよぼれていた。父の実家は農家であり,そこには代々の菩提寺があり,お坊さんもきまっていた.父は祖父より当初から学校が終わったら外に出るよう言われていた。家を継ぐははじめからない、家と言っても農業であるが。父は祖父についていろいろな事を話してくれた。祖父が70歳前半にて亡くなったのは私が14歳の頃である。以前から、お盆で父の実家に集まるのが習わしでお決まりの大渋滞やら雑魚寝は毎年恒例の事。それは永遠に続くか、と思われるぐらい、ゆっくりとした時間であった。その時、祖父との会話を思いだす。

私は高校進学を前に将来は、医師を目指す事を漠然とながら考えていた。外科医ギャノンの影響だ。まだ、白い巨塔など出る前で医師に対してネガティブな思いはなかった。患者や、若い医師に真摯に向き合う姿、とにかく専門職への憧れか。また、超人ハルクの主人公は医師。自ら変身するようになるのを治そうとして病院を渡り歩く。いろいろ番組でも医師は独特な立場を持ち独立しているように思われた。ミクロの決死圏の医師、手先の器用さから船の修理をかって出たり。石原裕次郎が医師役で渡哲也が刑事と言う組み合わせの番組もあった。その後白い巨塔やら手塚治虫の漫画、夜光虫と言う女医の話などたくさん医師の出ているマンガを読んだものだ。

祖父はそんな私にこう言った。「医者は余っているそうだ、医者になってどうするんだ?」私はなんと答えたか記憶にない。また、だからやめなさいとも言われなかった。ただ、どうするんだ、と。医師過剰時代、とは実際のところはそうならなかった。私が医師になった頃はいずれ医師は余ってくる、になった。脳外科を選択したのだがやたら多忙で医師過剰とはヒマになる事ではないのかな?などおかしな事考えたりした。

しかし、2000年以後、福祉医療予算が削減され診療報酬減額、2005年には医療崩壊となりようやく厚生省も医師不足を認めて医学部の定員を増加させたのだ。韓国では医学部定員増に対して研修医がストを起こしまさしく医療崩壊となっているそうだ。日本とだいぶ事情は相違しているね。