賢明なる投資家第12章③〜平均収益と成長率 (original) (raw)

特別損益が一株あたり利益を歪めることがありますが、これを解決する方法があります。

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平均利益の利用法

グレアムは、平均収益を重視しています。

平均化の利点は、特別損益をどこに位置付けるという問題をスルーできるためです。

会計要因の項目で扱ったように、本来は別の期間、それも複数年度にまたがって計上すべきかといったことを、過去かなりの期間を平均化することによってその問題を無視できます。

グレアムの証券分析では、過去平均収益を用いて公式を用いているため、この平均化の考えを頭に入れておくと良いでしょう。

過去の成長率計算

グレアムは過去の成長率を計算するために、直近3年分と11〜13年前の3年分の一株当たり利益を比較します。

この時、特別損益の影響が大きい場合には、それらの項目を加味すると正確性が増します。

表12−1の例

実際に価値評価をしているのが表12−1です。

ALCOA社の過去の成長率は141%=(4.95ー2.08)/2.08と、シアーズの134%を若干上回っており、ダウ平均の成長率75%を大きく上回っています。

しかしPERの観点では、ALCOA社は過去3年間の平均収益11.5倍であり、シアーズの27倍やダウ15倍と比べて過小評価されていました。

将来を悲観されている

ALCOA社の過去の成長率は高いのに、株価収益率が低い理由は、ALCOA社の将来性をかなり悲観されているためです。

過去にはALCOA社は過大評価されていたようですが、結果的には株価は半値になってしまいました。

注意点

ここでグレアムが注意しているのは、ALCOA社の低い株価収益率は、その収益性に問題があるからかもしれないと指摘しています。

成長株がそうですが、平均以上の収益性を維持できてはじめて、高い株価収益率が正当化されるのであって、そうでないのであればその将来性は悲観されがちです。

価値評価のための作業分担

第11章で扱った価値評価を実際に行なっています。
gyatuby.hatenablog.com

最初は過去の業績のみに基づく価値を、公式に基づいて導き出します。

シニアによる調整

次にシニアアナリストは、「過去の業績の価値」にALCOA社の将来性の低さを加味するため、調整を行います。

この調整をどのように行うかはシニアの腕の見せ所ですが、過去の大企業を有形資産以下の価値まで評価を落とすのは妥当なのでしょうか?

価値評価をあまり信用するな

第11章でも述べられていますが、価値評価は往々にして外れます。

そのため読者は、このような価値評価にのめり込まずにいることが重要と言えるでしょう。

なんならレーティングの発表それ自体が、売り抜けの合図にもなり得ます。

まとめ

  1. 平均化を行うことによる重要な利点とは、特別損益のほぼすべてに関してそれをどう位置付けるかという問題を解決できるという点だ。
  2. 成長率そのものについては、過去3年の平均と、10年前の同様の数値との比較で計算すべきだと、われわれは考えている。

おわりに

雇用統計は弱く、日経先物は1000円以上下落しました。

これがチャンスとなるかピンチとなるかは正直誰にもわかりません。

2番底はないと見ましたが、果たしてどうなるでしょうか。

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