叶井俊太郎・倉田真由美夫妻がれんが屋へ!【後編】 (original) (raw)
鈴木:過去に子供はいたの?
叶井:一番目、二番目はいないですけど、三番目は一人。
鈴木:あ、一人子供はいるんだ。
叶井:いますいます。
鈴木:なるほど。その子のことはあるんだなー。お父さん、お母さんはこのご結婚のことに対して。
倉田:大反対ですよ。
叶井:(笑)
倉田:特に父は大変な剣幕で。ちょっと絶縁状態に(笑)
叶井:喧嘩になりましたよね。
倉田:テレビのワイドショーであれだけ扱われると思わなかったよね。
叶井:ちょっとびっくりしましたね。
倉田:よっぽど600人斬りとかが珍しかったんだね。
鈴木:お父さんにしてもお母さんにしても、テレビで知ったんですか?
倉田:そうです。特に父はそれを見て、大変な剣幕で。
叶井:半端じゃなかったですね。
倉田:大喧嘩しましたね。人生で一番の喧嘩に。
鈴木:お父さんと?
倉田:はい。あんだけ大声を出したのは、生まれて初めてかもしれないっていうくらい。ただ、あの時私こっちをとりたいって思ったんですよね。喧嘩しながら。こっちよりこっちの方が大事だなっていうような。
鈴木:彼女完璧じゃない?
叶井:完璧なんですかね。
鈴木:だから一箇所崩したいんだよね。
叶井:そういうことですか(笑)
鈴木:完璧な自分が嫌なのよ。
倉田:そうね。どっちかしか優先出来ない場合に、どっちを優先するのかっていうことだね、
鈴木:一番大事なところで、ポンっと大きな穴を開ける。それをやって安心する。
叶井:嬉しいですね。
倉田:嬉しいの!?
ーナレーションー
『だめんず・うぉ〜か〜』として、現代の男たちをクールに見続けてきた女性、倉田真由美は、なぜ、父親と絶縁してまでこの600人斬りの男を選んだのか。
叶井:お父さんに対しても、自分のことを見ていてくれ、としか言えないですよね。やっぱりね。これから先のことはね。
鈴木:犯罪を犯した人ってね、必ず犯罪を犯すんだよね。
倉田:(笑)
叶井:やった人はもう一回やるって言いますよね。
倉田:もうないよね。頑張ってね。会社も潰さないしね!
叶井:そうだね。
鈴木:会社はもう危ないんだよね?
叶井:まあ危ないと言われてますけどね。
鈴木:だってこの間聞いたんですよ。この間。そうしたら今月というのか先月、なぜか映画会社がいっぱい潰れて。
倉田:らしいですね。
鈴木:その中の一つにね、トルネードも入ってたんですよ。
倉田:あ、そうなんですか!
鈴木:それで僕はある人から聞いてね、じゃあ叶井ダメなんだって言ったら「付き合わない方がいいですよ」って言われて。
倉田:この人の生活くらいは私が見てもいいぐらいの覚悟がありますね、ら
鈴木:あるんだ!
倉田:はい。
ーナレーションー
草食の時代の絶滅危惧種、肉食獣の血を受け継ぐ男・叶井俊太郎。
彼はなぜ、見果てぬ夢を追いかけ続けるのか。なぜ狼なのに、羊の群れに入ろうとするのか。
倉田:周りの人にはこの人5回目の結婚はいつするの?とか。
鈴木:普通は言いたくなるよね。
倉田:そうですよね。浮気も絶対するでしょ、みたいなこともやっぱり言われるんですけど。
叶井:これからはもうないですよ。
鈴木:なんで?保証できるの?
叶井:もうないと。
鈴木:なんで?
叶井:それは倉田さんと出会ったので。
鈴木:一人の女性じゃ満足しないわけだ?
叶井:今まではそうだったですね。ここでもう大丈夫だと。
鈴木:なんでそんな自信があるの?
叶井:まあ倉田さんと出会ったからということですよね。倉田さんと出会って、自分にとって最後の女性だと。
鈴木:言い切るの?
叶井:言い切りますね。
ーナレーションー
何かれんが屋は今夜も、ラブまみれです。
鈴木:僕叶井がね、ジブリの映画の宣伝、ちょっと僕にもやらせて下さいよっていうから。ジブリって本編の映画もやってるけどライブラリーっていって、過去の色んな良いアニメーション映画。世界の。そういうのもちょっと上映したりしてるんですよ。
それを彼がね「ちょっとやらせて下さいよ」って言うからね、実をいうとジブリサイドも色んなスタッフに「叶井どうかな?」って話してるんですよ。実は。
倉田:そうなんですか。
叶井:ありがとうございます。
倉田:よかったね。
鈴木:なぜかと言うとね、シンネリムッツリ真面目にやってるんだけど、上手くいってないんですよ。で、叶井が来れば雰囲気変わるでしょ?
叶井:今までやってること全部ダメだったから、じゃあどうするかってことも一応考えてますけどね。
倉田:ダメでも落ち込まないでいられるところがすごく楽ですね。
鈴木:わかる!なんで落ち込まないの?あれ。
倉田:わからないんです。でもそばにいて、そこはすごい楽させてもらってます。
鈴木:だから現代とって、必要な人間であるってことはわかる。やってる映画はほとんど失敗ですよ!?
叶井:そうそうそう。
鈴木:成功なんか聞いたことないんだもん。でも生きてるわけでしょ?で、この業界にいられるんだもんね。
叶井:そうですね。
鈴木:なんで?
叶井:いや、わかんないですけどね(笑)
倉田:しかも全然落ち込んでないんですよ。
鈴木:わかります。これからもこの業界で生きていくの?
叶井:そうです。もう映画の世界しかないんで。
倉田:ただそばにいながら、今まで付き合った人なんかも仕事が上手くいってないって、女は不安になるんですよ。そばにいる立場として。しかも自分の仕事じゃないから自分じゃどうしようもない。
鈴木:出来ない。
倉田:そう。案件が上手くいかないとか、そういう事に対していちいち心を痛めるんだけど、この人に関しては、ほとんどそれがないんですよね。落ち込まないし、私自身覚悟があるっていうこともあると思うんだけど、この人が上手くいかないことに私が傷つかなくても済むってすごく楽。
鈴木:なるほど〜この調子だよね?たぶん。
倉田:そうですね。
鈴木:で、たぶんね、泳ぎきっていく。
叶井:(笑)
鈴木:その才能はあるよね。失敗に失敗を重ねて。でもやってる時はみんな楽しいはずなんですよ。
叶井:でも10年に1本くらい何かあるかなって思ってるんですよね。
鈴木:ない。
叶井:ないですかね。
鈴木:ない。絶対ない。君はあれで終わるのよ。
叶井:あれで終わりですかね?
鈴木:終わり(笑)
倉田:しかもあれ偶然だしね!あれ掴んだの。
鈴木:あれ1本で終わりよ。絶対そうだって。おれ保証する。
叶井:いやでもあと2年後くらいに、、
鈴木:だから『アメリ』の叶井として、一生生きるのよ。映画ってそういうものなのよ。
叶井:あと1回くらい社会現象を起こすような、、
鈴木:ないない。
叶井:ないですかね(笑)
鈴木:だから今回みたいにね、プライバシーのことでそういう社会現象起きたから。だから2回分使ったのよ、もう。
叶井:これ2回目ですか(笑)
倉田:何にも美味しい思いしてないよね?
叶井:うーーん、そうねぇー。
鈴木:でも良かったでしょ?
叶井:『アメリ』ですか?
鈴木:違う違う。
叶井:今回ですか?
鈴木:今回こうやって脚光浴びて。
叶井:脚光も、ある意味自虐的な脚光だったんで。
鈴木:ワイドショーとかは出たの?
倉田:出たみたいなんですよ。
鈴木:あ、出たんだ。
倉田:本人は出てないですよ。写真で。
叶井:色んなバッシングが多くて。出ちゃったら吊し上げにあっちゃいそうな感じですよね。結構来ましたよ。
鈴木:来たんだ。
叶井:来ました。ワイドショーが。
鈴木:だってある意味じゃ、現代の英雄でしょ?
倉田:どうなんですかね。世の中にいるんでしょうけど、そういう人は。
鈴木:子供の時によく覚えているんですけど、マッチポンプのなんとかっていう、田中彰治かな。政治家がいたんですよ。その政治家がね、爆弾発言でいつも国会を混乱に陥れてた男なんですけどね、この人が子供ながらに強烈に覚えているんですけど、子供の数が350人。
倉田:えー!?
鈴木:本当なんですよ。
倉田:本当にそんなにいるんですか?
叶井:その人1人ですか?
鈴木:そう。色んな女性にどんどんどんどん子供作ったんですよ。
叶井:350人。
鈴木:350人だか430人だかね、とにかくすごい、、
倉田:3桁いるんですか!?
鈴木:そう。
倉田:子供が!?日本で!?
鈴木:そう。で、僕は子供ながらにものすごい強烈な印象を持ったんですよ。
倉田:それは残る。
鈴木:そういうすごい人がついこの間まで、日本に色々いた。とてもじゃないけど、こちらは真似出来ないけれど。
叶井:すごいですね。
鈴木:口が開いてますね(笑)
倉田:ちょっと驚いて。へぇーそれをみんな納得してるわけですね。
鈴木:要するに、ついこの間の出来事でしょ?
倉田:まぁそうですね。
鈴木:この近代国家の中でそんなことが起き、なおかつ、その人が日本のすごい人でしょ?
叶井:そうですね。
鈴木:そういうことが身近にあったわけでしょ?
叶井:奥さん何人いたんですかね?
倉田:奥さんじゃないよね(笑)
鈴木:奥さんじゃなくて、数え切れないくらい。
倉田:女がその人の子供を産んでもいいって思うって、よっぽどですからね。よっぽど何かある男じゃないですかね。
鈴木:でしょ?
倉田:よっぽどの覚悟がないとね。子供を産んだりとか。他に女がいてもいいわけだもんね。
鈴木:たぶん、今と何かの価値観が違う。
倉田:それはそうかも。
鈴木:今は倫理的に真面目でないといけないんでしょ?
倉田:そうですね。
鈴木:そうでしょ?
倉田:ちょっとでも外れたようなものなら、ワーって来ますからね。
叶井:人と違う子をすると叩かれるんじゃないですか。
鈴木:でも書いてたり、覚めてる人も我が身を振り返れば本当は色々あるわけでしょ?
倉田:ありますね。でも今はだって私が未婚で妊娠してるってことだけでもワーっという人はいますからね。何で結婚しないんだ?とかね。
叶井:そうね。
倉田:出来ちゃった婚ですら言う人いるからね。いっぱい。
鈴木:日本はもともと倫理観は薄かったはずですよね。歌合(うまあわせ)なんて平安末期にあるじゃないですか。あれって乱交パーティですよね。
倉田:そうなんだ(笑)
鈴木:みんな明るく楽しくやってたわけですよね。
倉田:そうなんですか?
鈴木:そうそうそうそう。いわゆる夜這いっていう、、
倉田:夜這いはね、ついこの間まで。
鈴木:勉強したことあるんですよ。
倉田:そうなんですか。
鈴木:なんて言うと大袈裟ですけれどね。あれってね、よく出来てるんですよ。システムとして。大概、どこの村でもね、夜這いって祭りの夜なんですよ。
倉田:はい。
鈴木:だけれど、ルールがあるんですよ。処女は襲っちゃいけないんですよ。
倉田:あ、そうなんだ!
叶井:それはわかるんですか?
鈴木:それはルールを破ると、後で大変な目に遭うんですよ。
叶井:ルールというか、処女っていうのはどちらの家にいるかってわかってるわけですか?
鈴木:だって結婚してる女性しか襲ってはいけないんだもん。
倉田:なるほど!
叶井:ああ、そうか!
鈴木:それで大概その時代は子供って、4、5人どころじゃないでしょ?10人ぐらいでしょ?
倉田:じゃあ誰の種かわからない人が結構いるんだ
鈴木:そう!
叶井:本当ですか!?
鈴木:子供が出来たら、村の最大の娯楽はそれが誰の子かを当てるっていうやつ。
叶井:え、本当ですか!?
鈴木:そう!それが日本の伝統なんですよ。
叶井:面白いなーー。
鈴木:なに嬉しそうだね、叶井(笑)これは網野善彦っていう歴史学者が書いてるんだけど。「旅の恥は掻き捨て」っていう言葉、あれ女性の言葉なんですよ。
倉田:え、そうなんだ!
鈴木:要するに、女性が旅をする時はその条件は、誰とでも寝るっていう。
倉田:ええーー!
鈴木:そうすれば、そこはスムーズにいくっていう。日本っていうのは性においておおらかだった。
倉田:そうだったんだ。
鈴木:いっひー。そろそろこちらへ来て。ジブリの伊平ですけどね、最近『源氏物語』を研究してるんですよ。
倉田:源氏物語!?
叶井:源氏物語研究してるんですね?
鈴木:どうして光源氏はね、あんなに色んな人を色々していったんだろうって。これだって、叶井みたいなもんでしょ?
倉田:そんないいもんじゃ。
鈴木:だって叶井は言ってみれば、光源氏ですよ。
叶井:(笑)
伊平:なぜ、この光源氏に女性は魅力は見出すのかと。自分のものにならないのに、ずっと自分と一緒にいてくれるわけじゃないのに、みんなが恋焦がれて光源氏が来る時に、心も体も許してしまうっていう、その光源氏の魅力は何かって問われて。ちょっと読んだりとかしてたんですけど。
倉田:そこが動機なんですか?研究する。
伊平:はい。高畑さんからそういう質問をいただいた時に何でだろうって。
鈴木:大体ね、一夫一婦制っていつから始まったか。日本で。これね、ものの本によると室町なんですよ。つまり、まだ500年前。たった500年の歴史。それまでは全然違うじゃないって、そういうこと書いてるんですよ。
叶井:ふーーん。
鈴木:そういうこと叶井はあるのかなって。だから今の中央アジア行ってもそうですよね。
伊平:ブータンとか兄弟が同じ奥さんを持っている。
倉田:え、そうなの!?ブータンの映像って見たことあるけど、見た目日本人とそっくりですよね?
鈴木:そう!あれ日本とすごい関係あるから。宮崎駿なんかも大好きで随分あそこからいただいてますから。
叶井:あ、本当ですか?
鈴木:うん。もののけ姫その他。
倉田:見た目本当にそっくり
鈴木:お兄ちゃんがある女と結婚してね、弟のインタビューで「君の夢は?」っていったら「お姉さんと結婚すること」。
倉田:えーー!
叶井:本当ですか!
倉田:それが現実化される可能性あるんだ。
鈴木:そう。それで兄貴はね「お前も大きくなったらな」って(笑)
叶井:ええーー。
鈴木:これは笑ったですよね!歴史って見ていくと本当面白いんですよ。歴史でいうと最近はね、ついこの間まで、男性が働いて女性はくっつかなければいけない。これが大きなテーマだったでしょ?
倉田:はい。
鈴木:僕なんかも、ふとこの間思い出したのは、僕のお袋が僕が小学校3年生の時、めずらしくちょっと散歩を、遠出をしたんですよ。何でこんな遠くに行くのかなって。で、とあるウチに着いて、表札をずっと見てるんですよ。何でお母さんが見てるんだろうって。そうしたら「お母さんが好きだった人だよ」って。
叶井:の、家なんですね。
鈴木:でもねこの人は、生活力がなかったから今のお父さんと結婚したんだって。僕ね、その思い出って忘れないんですよ。そうすると、残ったんですよ。頭に。要するに、好きな人よりも生活するために今のお父さんと結婚したのかって。
叶井:本当に好きだったのはその人だったのかと。
鈴木:そう。だって言うんだもん。僕は敏夫って言うんだけどね、本当は敏彦っていう名前にしたかったって。なんでかっていったら、その人の名前が◯◯彦なんですよ。だから、それを、つけたかったって。でも、占い師に見てもらったら字画が良くないから、お前は敏夫になったなんていう話を聞いたらね。
ウチのお袋なんて当時、大変だったんですよ。結婚の時、お腹デカかったんですよ。
叶井:ん?
鈴木:お腹がデカかった。
叶井:もう既に妊娠してたってことですね。
鈴木:そう。僕なんですけどね。当時、昭和23年。そうしたら大騒ぎ。
倉田:そうですよね。
鈴木:そう。お婆ちゃんも「お前は運の良い子だ」ってずーっと言ってくれるんですよ。何でそんなこと言うのかよくわからなかった。
僕がある歳になった時、「お母さんはお前に謝らなきゃいけないことがある」。何だって言ったら、「結婚前にお前が出来てた」って言われてね。僕それ言われた時、印象的だったんですけどね。
倉田:子供に言っちゃうぐらいだから、よっぽどだったんですよね。
鈴木:そう。でも昨今、生活の方を女性も自立して出来るようになってきたから、みんな恋愛の方に行くことになる。出来る時代でしょ?
倉田:どうします?どっちとります?
伊平:私もずっと恋愛とかではなく、だいぶ歳もとってきたので、結構気が合う人とか。恋愛だけじゃないのかなって思ってきたんですよ。今日、倉田真由美さんのお話を伺って。
この人に会って初めて喚起されたって言ってたじゃないですか。健康で長生きして欲しいって、情の部分と覚悟。だってダメというか(笑)
叶井:世間一般にはダメって言われてますよね。
伊平:叶井さんの全部を含めてご結婚をされる覚悟というか、この人とやっていくっていうか覚悟と愛情を聞いて。
鈴木:最低を受け入れられるかどうかですよね?
倉田:そうそう。
鈴木:良い時はね、そりゃ誰だって少しぐらいあるよね。
伊平:鈴木さんだって、宮さんが落ちぶれた時は一緒にいますからって。そういう関係じゃないですか。
鈴木:最初に会った時、そう言ったんですよ。
伊平:運命というとすごい簡単なんですけど、そういうものを諦めていたんですけど、もちろん出来る人と出来ない人がいるし、もしかしたら生活をちゃんと自立してじゃないと得られないものなのかもしれないですけど。
倉田:あと会えるか会えないか。
伊平:出会えるか出会えないか、もありますよね。
倉田:そうですね。
伊平:メモしたんですけど。
鈴木:なになになに!?どれ?(笑)
伊平:「他の女の人には合っていないけれど、私にとってはいい」
って、叶井さんを感じたところ。
鈴木:良いな!(笑)
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叶井:一回だけ、僕が二十歳の頃にハワイに行くじゃないですか。この時に父親が一番目から四番目の奥さんと、その時の子供を呼んで中華料理を食べに行った時に、「一人ひとり紹介するから、名前言え」と。で、ウチのお母さん以外、他の人たちはブルブル震えてるんですよ。顔も引きつって。
鈴木:子供ながらに覚えてるんだ?
叶井:覚えてる。その時は二十歳だから。で、親父に「みんななんか怒ってるよ?」って言ったら「大丈夫だ。金握らせてる」と。
鈴木:(笑)
叶井:騒いだら金あげないことになってるから。奥さん同士初めて会うわけじゃないですか。ですから、お金で大人の世界は凄いなと。父親は、子供は離婚しているけど籍は全部叶井という名前なんですよ。
鈴木:そこは守ってるんだ。
叶井:だから離婚しても、戸籍上は父親の籍なんですよ。
鈴木:すごい。これは人生に影響与えるね。
ーナレーションー
鈴木さんは無茶な恋愛が好きみたいです。あっぱれな二人を応援したくなるみたいです。
スタッフの男性が意外な高嶺の花にアタックしてる、なんて情報をキャッチすると、すぐ一斉メールで裏をとったり、誰かが駆け落ちした、なんてガセネタを小耳に挟んだりすると、さらに話を大きくして言いふらします。
まるで、懐かしい日本映画をみんなに薦めるみたいに。
鈴木:美味いものでも食べますか。ちょっと買ってきてくれたんで。
倉田:あ、ほんとに!嬉しいなー。
鈴木:お腹へっちゃんたんで。近くにね、黒澤さんが愛用したハヤシライス屋さんが。
倉田:へー!
叶井:黒澤監督が。
鈴木:大好きだった。で、美空ひばりも愛したお店。
倉田:この辺なんだ?
鈴木:そうなんですよ。すぐそばにあるんで。ちょっとお腹へってきちゃったんで食べようかなっていう(笑)
倉田:美味しい!
叶井:鈴木さん、ご結婚されても長いですよね?
鈴木:そうですね。長い。
叶井:何年くらいですか?いま。
鈴木:何年だ?35年くらい。
叶井:35年。
倉田:それくらいもたせたいよね。
叶井:35年と言わずにね。
―ナレーションー
今夜の出演は、スタジオジブリ・鈴木敏夫、伊平容子、トルネードフィルム・叶井俊太郎さん、そして『だめんず・うぉ~か~』でお馴染みの漫画家・倉田真由美さんでした。
今回も、黒澤明のハヤシライスをお二人に振舞って、ニコニコ顔の鈴木さん。中々痛快な映画だったみたいです。
だからつい最後に、鈴木さんはこれまで話したことのない珍しい映画の話をしてくれました。子供の頃にみた”鈴木家の秘密”っていう映画です。
鈴木:僕はね、中学1年の時にウチのお袋が親父と離婚したんですよね。子供だからショックでしょ?ウチにお母さんがいなくなった。で、色々あったんですけど、一年後、再婚するんですよね。
叶井:もう一回?
鈴木:うん。
叶井:復縁ってことですね?
鈴木:そう。ウチの戸籍謄本やるとね、結婚は僕が13歳の時になってるわけですよ。2人とも(笑)そうするとね、子供ながらに何なんだっていうのはね、残るんですよ!僕という人間を形作る時に、実に大きな事件。
それで今まで優しかった親父のお婆ちゃんがね、僕が寝静まったと思ってね、親父に再婚を勧めてるところを聞いちゃったりね。色々あるわけですよ!
倉田:それはシビアだな。
ーナレーションー
今あなたの恋愛映画は、こんなに自由で素敵ですか?