(第25章)弥助の本当の真実と模造された黒人侍 (original) (raw)

(第25章)弥助の本当の真実と模造された黒人侍

「なあ。鋼牙!」とニュ―ヨーク市内のチェルシー地区の

サイゼリアン』通りの歩道を歩いていた烈花法師が隣でひそひそ声でこう尋ねた。

「その例のロサス王国を奈落の別次元に封印した

黒い肌の魔戒法師の一族は『弥助』だったよな?」

「ああ!そうだ!人間達、いやトーマス・ロックリーが言っている黒人侍は

全て出鱈目の嘘だ。実際は昔の日本の戦国時代に宣教師の奴隷であり。

従者として当時の大名の織田信長に謁見(えっけん)して気に入られて

宣教師から信長に進呈された。のちに信長が死去するまでの

15年間、信長に仕えて召し抱えていた。」

「それから彼の子孫は本能寺の変にて明智光秀の襲撃に遭遇すると

信長の嫡男の織田信忠妙覚寺で戦った末に投降して捕縛されたとされている。

そして家臣に弥助をどう処分するか聞かれた光秀は

『黒奴は動物で何も知らず、日本人でもない故、これを殺さず。』として

インドのパードレの聖堂に置け』と命じたそうだ。」

「彼は南蛮寺へ預けられてひとまず命拾いした。」

「仮に人間として扱われたら普通に殺されていたかも知れないな。運の良い男だ」

「しかし彼は不幸な事に公(おおやけ)にされていないが彼が預けられていた南蛮寺は

魔獣ホラー・ライゾンの襲撃を受けて大勢の宣教師や子供や黒い肌の人間達も

白い肌の人間達も女も子供も容赦なく捕食されちまった。」

「そこに当時、戦国時代を生きて闇の中で魔獣ホラーを狩り続けていた

黄金騎士ガロと大勢のハガネの魔戒騎士達の活躍でどうにか封印されたが。

しかし生き残ったのはその弥助ただひとりであり。しかも戦いのごたごたで・・・・」

「まさか?ホラーの返り血を浴びたのか?」

鋼牙はかつて自分の妻になる前の旧姓の御月カオルが

魔獣ホラー・アングレイに襲われていた際に奴を自分が牙狼剣で切り裂いたばかりに

返り血を浴びさせてしまう大事故を引き起こした苦い記憶がよみがえった。

「そうだ。彼の命はあと100日となった。それでも当時のガロの称号を持つ

黄金騎士の冴島剛毅は弥助の命を救う為に自宅へ住まわせて世間から隠した。」

「さらにホラーの返り血を浴びた人間は『血のドルチェ』と呼ばれ。

他のホラーにとっては最高の極上の食い物となる。

本来は介錯と言う名目で魔界騎士が血のドルチェ

となった人間を斬る事が許されていはずだ。」

「彼は介錯と言う命を奪う選択は取らずに自らの返り血を

浴びせた責任をもって紅蓮の森に向かい、グラウ竜と闘い。

弥助の肉体が100日後に腐り始める前に幸運にも希少価値が高い

ヴァランカスの実の汁を飲み、邪気を払って状かに成功したのさ!

俺様も子孫代々!冴島剛毅と共に戦いのアドバイスをしていたらしいからな。」

「弥助と交流したことはあるのか?」

「ああ。あいつは・・・・ああ。すまん。

記憶は一度壊れて修復した時にごっそり消えちまった。

武具とかキリスト教アメリカ合衆国の事や家族の事や

気さくでなかなか話し上手で面白いやつだったそうだ・・・・・はあ~」

魔導輪ザルバは懐かしそうに思い出した。

「とは言ってもあとでゴンザや昔なじみの古い友人の

魔戒法師や騎士から聞いたのだがな。」と少々寂しそうに付け加えた。

「少なくとも成功者は奇跡的に2人いたと言う訳か。」

「彼は助けられた後、『自分も助けてくれた恩返しがしたい』と言うのが

きっかけで魔戒法師の里の関岱にて魔戒法師にとしての厳しい修行の

あとにとある別の魔戒法師の一族に引き取られた。」

「のちにロサス王国の大量の魔獣ホラーの襲撃による大災害の発生の際は

高度な魔道具や巨大な国を丸ごと封印する大規模な魔導ゲートの作成を

元老院最高神官のグレス様から命令を受けた。

そして今までで自分が磨き上げて鍛えて学んだ魔戒剣や魔道具の技術の

ノウハウを駆使してゲート(門)を完成させた。

「これにて大量の魔獣ホラーがロサス王国の外へ飛び出した事で発生しかけた

二次災害を見事に食い止めて阻止したとされている。」

弥助法師はその働きから高い評価を受けて元老院付きの魔戒法師となった。

そして元老院の神官の命令によって魔道具を輸送したり。

あの霊獣の羽毛から作られた魔道具と強力な法術を利用して

大勢のハガネの魔戒騎士と黄金騎士ガロと

コンビを組んで魔獣ホラーと戦い続けてきた。

とくに彼の錬金術師としての腕も守りし者としての強さも他の

魔戒騎士や魔戒法師からもとても評判が良かった。

「そして白い肌の日本人の女性の魔戒法師と結ばれて子供を儲けて。

またその一族はロサス王国の封印を管理する大きな任務に就く。

現世と魔界の境界線を守る重要な役割を担う事になったそうだ。」

鋼牙と魔導輪ザルバと烈花法師が話しながらもまたアサヒナ

探偵事務所へと続く雪道の歩道を進んでいた。烈花法師はまた鋼牙に尋ねた。

「それで!やっぱりそのロサス王国へ行くにはゲート(門)が必要なのか?」

「ああ。だが。『例のあの子の内なる魔界(精神世界)に存在する

旧支配者ホラー・クティーラを封印している巨大なアーク(箱舟)

を利用して直接『ダゴン密教団』の関係者達は現世の

ニューヨークからロサス王国までアッという間に

ワープして侵入するだろう』と弥助一族は予測している。」

鋼牙は両腕を組んで立ち止まった。

「ついでによくわからんが奈落の底は強烈な次元の裂け目らしい。」

そんな烈花法師の言葉に鋼牙は「なるほど!それなら!」

と閃いた様子で両腕を広げて真剣に烈花法師と向き合った。

「つまり!あのアニメの人間達がよく言うSFの宇宙船とか

宇宙戦艦みたいな乗り物があればいいのだろう?簡単な話だな」

そんな鋼牙の話に思わず烈花法師は茶色の瞳をキラキラと輝かせたのだった。

秘密組織ファミリーの本部に当たる魔獣新生多神連合の

ジョン・C・シモンズの大きな屋敷内にあるジョンの自室。

マルセロ博士は自慢げにジョンにこう報告していた。

「例の実験は大成功じゃ!我々は成果を出しておる。」

そしてマルセロ博士がジョンに計画の報告をする一時間前に

行われたDOOP(ドォープ)プロトタイプから作成された人間とDOOP(ドォープ)

と完全に適合させて共生させる人工ゲノム遺伝子とDNAを混合させた

特殊な試作のDOOP(ドォープ)血清をマルセロ博士の指導の下で

事故のあった護送用の飛行機内を残らず完全に封鎖してしまった。

続けて幾つかのダクトを利用して内部に霧状のガスが大量に散布された。

それからすぐに効果が表れた。DOOP(ドォープ)は試作のDOOP(ドォープ)血清の

作用により、人間の男女とDOOP(ドォープ)バクテリアとの急速な分離が始まった。

DOOP(ドォープ)は苦しそうにグニャグニャと動き回り、次々と不定形な

アメーバ状のバクテリアの粘液の中からぬるぬると体外へ排出されて行った。

気が付くとDOOP(ドォープ)バクテリアは巨大な金属の高い山となって

今まで取り込んで融合した人々が咳き込む声がスピーカーを通して聞こえた。

更に幸運な事に試作のDOOP(ドォープ)の血清の作用である人体を

元のあるべき人間の組織を再構成させて金属のDOOP(ドォープ)バクテリア

金属細胞から分離させる効果により、次々と金属細胞組織で再構成された金属の山の中

から這い出てきていた。それを監視カメラでじっと見ていたマルセロ博士は懸命にある

女性の同胞の姿を探していた。焦りが募っていた。

どこじゃ!?どこじゃ!?真理!真理!どこにおるんじゃ!!

やがてマルセロ博士は銀色に輝くDOOP(ドォープ)バクテリア

山の中から這い出て来る一人の日本人女性を見つけた。

それは間違いなくマルセロ博士が

よく知る顔の芳賀真理事、魔獣ホラー・グールだった。

「よし!真理じゃ!メロディ・マークス博士!彼女と他の仲間たちを保護するんじゃ!

そして彼女の家族とジョン様に知らせるんじゃ!」

数時間後。ヒナ・メロディ・マークス博士の指示で救助隊は芳賀真理や

他の分離された男性スタッフと女性スタッフの研究員を無事全員救助した後。

すぐに秘密組織ファミリーの巨大な屋敷の1000mの隔離施設エリアに搬送した。

そして全員、精密検査を一人残らず受けさせた。そして驚くべきことに

本来の魔獣ホラー・グール(他は純粋な人間として)として復元に成功していた。

失われたホラーの形態の陰我に応じた砂の能力さえも全て完全に復元されている

事が明らかとなっており。さらに人間として生命活動を再開して

正常にホラー化せずに通常の肉体に復元したことが明らかとなった。

マルセロ博士は「あの結成のおかげで真理もみんな助かった。

血清のおかげで真理や女性スタッフと男性スタッフ全員もDNAと

遺伝子を改造されて完全適合者としてみんな変化して。

今後も彼女も彼らも完全にDOOP(ドォープ)に融合されること無く耐性を得た。

最高の成果を出した。」と満足した表情でマルセロ博士は言うとジョンは口元を

にやつかせて笑った。「そう。我々は成果を上げた。すでに真理の家族に伝えた。

これで終わりだよ。あの一般社会福祉法人コラボの団体の計画も大失敗だな」

「これであとはDOOP(ドォープ)血清を大量に製造すればいいのう」

くすくすと笑い、マルセロ・タワノビッチ博士は嬉しそうに報告したのだった。

更にマルセロ博士はこのDOOP(ドォープ)バクテリアとE型特異菌との

同一性を示す研究レポートをジョンの机の上に置いた。

『E型特異菌はマザー・ミランダという人物がもたらされた胎児を彷彿とさせる

菌根をベースに犯罪組織コネクションが特異菌のDNAを自分の娘の

エヴァの胚に組み込んで培養して製作された特異菌の完成型だが自我を持ち。

さらに自分の家族とおうちを求めて暴走した。

その結果、護送していた船内でバイオハザード(生物災害)を引き起こした。

これにより何も知らないベイカー家やイーサン家の2つの家族が事件に巻き込まれた。

またE型特異菌自体も6か月以内に『安定化合物』を投与しなければ急激に細胞が

劣化(10歳の少女が6か月で老婆になる)してしまい精神に異常をきたす。

一方、カドゥはマザーミランダが『菌根』より抽出した特異菌と線虫を組み合わせて

作りだした特異菌の寄生体。寄生する宿主が安定して

融合すると心臓や脳の代わりとなる疑似臓器のような役割を果たすが、

適合しない場合は自我を失って変異して人狼(ライカン・スロープ)となる。

また特異菌は新種の真菌類(いわゆる黒カビ)である。

また今回のバイオハザード(生物災害)の引き金になりそうなものは。

『DOOP(ドォープ)』と呼ばれ、金属を腐食させて、金属を喰らい浸食する

太平洋上の新深海に人間に知られずにひっそりと棲んでいた新種のバクテリア

(つまりE型特異菌や菌根の真菌類とは全く異なる新種の真正細菌)である。

此方は本来は銀色の粒状の形態をしている。

DOOP(バクテリア)は他の真正細菌のように従属栄養(有機物を分解して

エネルギーを得る)を取るがこちらは無機物の金属をせっせと分解して

エネルギーに変えて水分と共に増殖する。

しかし最初に発見したネプチューン社の科学者や生物学者や上層部の命令により

違法な改造が行われ、真っ赤に輝く核(コア)ユニットを中心に

今度は人間の女性に対して性的暴行を加えて人体を急速に分解してエネルギー

として肉体と融合して捕食し、拒絶する者を男女問わずに容赦なく切り刻んで

体内から破裂させて殺害する危険極まりない、

人食い殺人バクテリアと化したのだった。

それはアメーバのような形態をしているが正確にはバクテリアの塊である。

更に殺害したり、融合して取り込んだ人間のパーソルデータを記録して

主人格となる人間の思考をベースに個ではなく

多数としての集合的意識の自我を持ちながら活動する

BOW(生物兵器)として機能していた。』

「とんでもない怪物だったな。しかも周辺の金属の建物を内側から侵食して」

「逃げ場のない特殊な結界を作り出して自由に攻撃させる。

なかなか厄介な存在だよ。しかも始祖ウィルスも持っている。さらに厄介だ」

「下手すればボツリヌス菌やA群連鎖球菌より危険かもしれん」

炭疽菌コレラ菌も人間に感染すると病院になるな。」

「しかもDOOP(ドォープ)は金属の建物の内側にバイオフィルムを形成する。

これが結界の正体じゃ。粘液物質を使い個体や仲間同士で寄せあったりする。

どの道、DOOP(ドォープ)の失踪事件が発覚するのも時間の問題じゃろうな。」

ニューヨーク市内にあるエコロジアン広場。

その円形の広い草地に10台の黒い車が停車していた。

やがて黒い服の男性10名が獣用の麻酔銃を装備して出てきた。

黒い服もよく見ると特殊な装甲に覆われており、特殊部隊のようだった。

それから10名の特殊部隊はスナイパーライフル銃を手一斉に両手で構えた。

同時に目に見えない人型の何かに向かって銃口を向けた。

しかしドゴオン!と言う大きな音と共に目に見えない槍が

隊員の1人の胸部と背中を刺し貫き、即死させた。

続けて目に見えない2枚の長い表面が鋭いとげに覆われたかぎ爪を

もう1人の隊員の背中から胸部を貫くと軽々と特殊部隊の大男を高々と持ち上げた。

そしてあっさりと林の大木にビタン!と叩きつけた。

さらに右肩の目に見えないショルダーキャノンから青い光弾が2発放たれた。

同時に2人の隊員の頭部に直撃してまるで床から落としたスイカのように

粉々と砕け散った。カラカラと目に見えない人型の何かは鳴き声を上げた。

残り6体の隊員達は一斉に動物用の麻酔銃を放った。

しかし目に見えない人型は地面を蹴り、高々とジャンプした。

麻酔銃の麻酔弾は16本全て回避され、次々とコンクリートの地面に刺さった。

続けて目に見えない人型の何かは円盤のようなものを投げつけた。

円盤のようなものは物凄い速さで闇夜を飛び回り、次々と他の

3名の隊員の右頬と左肩を鋭い刃で切り裂いた。

続けてクルクルと大きく夜空を円形に

旋回しながら3人の内、1人の隊員の首筋に迫った。

しかしその時、クルクルと別方向から大きな斧が飛んで来た。

そしてバチイン!とオレンジ色の火花を散らして飛んできた円盤を弾き返した。

「お待ちなさいッ!」と広場の時計台から声がした。

目に見えない人影はフッと姿を現した。

その姿は2人の女性を襲ったあの少年戦士のプレデターだった。

少年戦士のプレデターは時計塔のてっぺんに立っている女性を見た。

彼女は銃士の正装を纏っていた。

さらに銃士の正装の女性は自らをこう高らかに名乗った。

「私はッ!美少女怪盗ノワールですッ!」と。

しかし少年戦士のプレデター

彼女が少女ではなく成人女性だと体格の分析で気づいた。

結果、彼は訳が分からないよ。といった様子で首を傾げた。

「とうっ!」とクルクルと華麗にバック転を決めてスタッ!と広場の地面に着地した。

彼女は大声で「ペルソナ!」と叫んだ。

彼女の背後にはミラディと言う名のペルソナが出現した。

ノワールはミラディに「ワンショットキル!」を指示した。

同時に黄金に輝く三角形の巨大な鋭利な槍が放たれた。

それは少年戦士のプレデターの胸部に直撃した。

続けてクリティカルを狙ってミラディに「マハサインダイン」を指示した。

クルクルと青とピンク色の黄色の球体が4つ表れて攻撃を仕掛けた。

少年戦士のプレデターは念動力の攻撃により「グオッ!」と大きく唸った。

そして両膝をついた。しかしその位では負ける事は無いと彼は立ち上がった。
しかしそこにキキーッ!ブウウン!とブレーキの走る音とエンジン音と共に

アメリカ政府や米軍人関係の車が多数停車した。すると2人はその場から逃走した。

(第26章に続く)