炎水 | えんすい (original) (raw)
炎水(えんすい)は中目黒の和食店。駅から少し離れ、飲食店が無さそうな所に店を構えている。
8人掛けの白木のカウンターと個室。大将は気さくな人で、場が和む。
この日は松茸尽くしのコースだった。大将は仕入れの際に余り注文は付けずに、届いた食材を見てから調理を考えるそうだ。松茸も、複数の生産者から仕入れたものを使い分けている。
先付は、6時間蒸した鮑に、胡麻豆腐と若芽と松茸。鮑は柔らかさと弾力感が両立している。
前菜は、全国各地より取り寄せた野菜を、様々な調理法で盛り付けている。八寸みたいな感じがする。
SP(スペシャル?)と題した皿は、気仙沼の吉切鮫ふかひれを唐揚げにして、蒸したご飯と合わせている。とても熱く舌が火傷しそうだったが、印象的だった。
ここで削った鰹節が生で、その後、出汁がそのまま供され、味の基調を知る。
鱧と松茸の椀。鱧は夏の魚だと思っていたが、この時期も意外と有るそうだ。鱧の骨切りは完璧。松茸の香りが良い。出汁は上品な薄口。
お造りは、明石の活〆真鯛と鹿児島出水の墨小イカ。真鯛は松茸で挟んでいる。お造りの素材には微かな弾力感が有る。
徳島県の白甘鯛は、衣を少し立たせた焼き方。紀州備長炭胡瓜の南蛮漬けを添えて。
箸休めと題して、薄く切ったすだちを浮かべた手打ちそば。出汁が上品。
鴨ワンタンは、フランス料理のようなインパクトを狙ったものでなく、優しい味わい。これも松茸で香りを付けている。
締めは松茸ご飯。そのまま食べても良いし、いくらや和牛しぐれ煮を掛けて楽しむこともできる。量がかなり多いが、食べきれなかった分は、お握りにお土産にしてくれる。
デザートはシャイン マスカットとババロア。和食らしい優しい味わい。
僕は普段余り松茸を食べないので、こういう松茸尽くしは新鮮な体験だった。料理は上質な素材を確かな腕で調理している。
二人で118,000円。明細を確認しなかったが、松茸尽くしという以外に、酒の値付けも高めだろうか。
料金を考慮すると、再訪は躊躇してしまう。
8/10