一年経って (original) (raw)
家が完成してから一年と少しが経ちました。私自身はほとんど海外にいるので必ずしも家のことが十分にわかっているわけではないですが、7月から8月にかけてと、11月から12月にかけての暑い時期と寒い時期にそれぞれ1ヶ月ほど滞在したので、その経験や妻の話も踏まえて、特に設計時に悩んだ点を中心に振り返ってみたいと思います。
(1)サッシの種類
我が家では基本的にサッシはYKKのトリプルサッシのAPW430を使っていますが、リビングの南面、西面の窓だけペアサッシのAPW330を使っています。この窓にはプリーツスクリーン(ハニカムではありません)をつけています。これは冬の日射取得を念頭にトリプルよりも日射取得率の高いペアガラスにして、その代わりに夜間の冷気対策も兼ねてプリーツスクリーンをつけたものです。
この冬は一番寒い時で最低気温がマイナス12℃くらいでしたが、明け方でも室温は16℃程度はあり、それほど寒いとは感じませんでした。東京にいた時の方が朝布団から出るのに勇気が必要でした(笑)。夜間もプリーツスクリーンを閉めていれば、窓から冷気が伝ってくるという感覚も特にありません。
また、日中は晴れていれば外の気温が0℃近くでも窓からの日射取得とOMソーラーで軽く20℃は超えますので、昼間は暖房なしで十分過ごせます。
比較的室内が乾燥しているのもありますが、ペアサッシもトリプルサッシも結露は一切ありませんでした。ちなみに壁断熱材は高性能グラスウールの充填断熱(付加断熱なし)でUa値は0.34弱くらいです。
(2)ペレットストーブ
我が家の唯一の暖房器具はペレットストーブの「ほのか」です。何せカタログ値では、14-23畳用で、うちは約40坪あるので80畳ほどをこれ一台で果たして暖められるのか。しかも吹き抜けもあります。結論から言えば、これ一台でも十分暖かくなりました。
まぁ薪ストーブのように家の中で短パンTシャツというわけにはいきませんが、家中がほぼ温度差なしで快適な気温になります。ただ少し天井付近に暖かい空気がたまるようでしたのでサーキュレーターを買って少し空気を循環させるようにしました。
ちなみにペレットの使用量ですが、大体朝2時間くらいと夜4時間くらい使っていて、昼間は天気が悪ければ使う程度。ペレット10キロを2日弱で使い切る程度です。諏訪森林組合でピュア1号というペレットが700円弱で手に入るので、暖房費は月に1万円から1万5千円といったところでしょうか。概ね想定通りです。
この「ほのか」ですが、自然対流モードにすると天板の温度が200度近くになるので、ダッチオーブンのようなものを使えばローストポークやポテトなどを作ることもできます。冬の楽しみですね。
(3)玄関間仕切り
玄関土間とLDK等との間に間仕切りドアを設置しませんでしたので、もしかすると冬寒いのではないかと懸念していましたが、結果的にはほぼ温度差を感じず寒くもありませんでした。玄関土間をきちんと断熱欠損のないように施工をお願いし、玄関ドアもYKKのイノベストD50の窓なし複合枠を選んだので、トリプル樹脂サッシと同等程度の断熱性能を確保できていることもあるかとは思います。
(4)夏のエアコンなし
昨年の夏はこの八ヶ岳西麓でも記録的猛暑で最高気温が30℃を超える日も多くありました。エアコンなしで過ごしましたが、吹き抜け上部の窓を開けると暑い空気が上から抜けていくのと夜は十分に気温が下がるのでエアコンなしでもそれほど問題には感じませんでした。珪藻土の壁や自然素材なども調湿に役立っているのか家の中はさらっとしており、特に夜寝苦しくないのは快適です。
ちなみに南側は90センチほど軒を出しており、西側の掃き出し窓のところには屋根つきのウッドデッキをつけたため、夏の日射遮蔽はほぼできています。これも夏の温度コントロールを考える上では大事ですね。
(5)浴室の温度
特に浴室については、従来からのイメージで寒いという印象を持っていましたし、特に小さいけども窓をつけたので少し冬場の寒さを心配していました。しかし、基礎断熱で浴室床下も室内と同程度の温熱環境があること、TOTOのほっからり床がソフトな感触で冷たさを感じないことで特に真冬でもお風呂が寒いと思ったことはありませんでした。窓もたまたま北側に緑を多く見ることができたのと昼間浴室が真っ暗なのは嫌だったので窓を小さいのをつけましたが、特に寒いと感じたことはありませんでした。
ただ、浴室換気は換気扇か浴室ドアの開放(乾燥対策)で行いましたので窓を開けたことはありません。景色と明るさだけならフィックスでもよかったかなと思いました。
(6)室内干し
洗濯物干し用のベランダや物干しを設置せず、脱衣室にパイプを設置してもらっただけだったので、これで十分かどうか少し不安でしたが、結果的には問題ありませんでした。特に家の中が乾燥気味になるので、洗濯物を室内干しした方が湿度が上がりますし、それでも数時間であっという間に十分洗濯物が乾きます。外干しには戻れないですね。
(7)第3種換気
うちの家では第3種換気を採用しています。ただし、OMソーラーが働いている時は第2種換気として作動しているようです。まぁ確かに真冬に吸気口に手をあてると冷気を感じるのですが、吸気量が二段階に調整できるので小さい方に絞っておけば寒さを感じるようなことはなかったです。家全体の体積容量と居住者数を考えても多少吸気量を絞っても問題ないかなと。まぁ本当は二酸化炭素濃度を測った方がいいとは思いますが。
ダクト式の熱交換機能のついた第一種換気システムの方がいいとは思いますが、こちらもフィルターの清掃や熱交換機能の手入れ、さらには相当の高機密住宅でないと熱交換の効果が出にくいようですので、様々なメンテナンスのことを考えると難しいところですね。ただ、第3種換気の場合には吸気口の位置をベッド脇やリビングのソファ周りなどにはせず、冷蔵庫の裏や暖房器具の近く、生活動線から出来るだけ遠いところなど少し気をつけた方が快適にはなると思います。
というわけで、主として冬の寒さや結露が心配だったのですが、大きな問題もなく、家中の温度も一定で十分快適に過ごすことができました。もちろん、木製サッシ、木製ドア、付加断熱、ダクト式第一種換気、全館冷暖房や薪ストーブなど入れればもっと快適だったかもしれませんが、コストのこともありますので、今のところこれで十分だったかなと思っています。