ひみつのアイプリ 第26話 「We are カルテットスター!」 感想 (original) (raw)

ひみつのアイプリ 第26話 「We are カルテットスター!」 感想

届きそうで届かない一番星の遥かなる高み。

第2回アイプリグランプリを制したシークレットフレンズと、彗星の如く誕生したカルテットスターによる激突が注目された第3回のアイプリグランプリ開催!なんだけど今回に関してはグランプリの進行が途切れ途切れと言いますか。ダイジェスト風味で消化されてしまった部分も多く、それによって対決の結果が出る前に展開を推察出来てしまう面があり、イマイチ盛り上がりに欠けた感じが否めない。

実績も実力も知名度も抜群のルビー=ラズリとアイスマイリンが、満を持して結成した新チームの事実上の初舞台でもあるし、メタ的なことを言うなら先行不利の法則等も相まって、カルテットスターが優勝するという結論ありきだったことは、物語の作劇を鑑みても致し方ないところではある。ただ、ライバルとのやり取りとか決勝に至るまでのプロセスに、もう少し時間を割いて欲しかったというのが正直なところで。

シークレットフレンズとの準決勝にしても、コーデチェンジがカットされたりカルテットスターのライブが省略されたり。また勝敗が決するシーンも省かれ時間を置いた日常パートで結果が明るみに出る構成でしたが、それも相まってライバルと切磋琢磨する感じとか互いの健闘を称え合う要素も薄れてしまい、グランプリに挑むアイプリ達に対する感情移入の妨げになっていた感じもある。

空元気で悔しさを内に留めるひまりの心の変遷や結果を受け止める部分に重きを置く意味合いで、あえてこういう構成になっていたのかもしれないが、やはりステージ上で勝敗が決したシーンの姿も見せてほしかった。逆ブロックで早々に決勝進出を決めていたチィにしても、初の決勝進出を決めた瞬間や、そこに至るまでの過程において彼女がどのような思いで挑んでいたかを描いた方が、いざ敗れた際の心情もより強烈に浮かび上がると思うので。

肝心の決勝にしても前述のコーデチェンジやバズリウムチェンジの有無に加えて、またしてもチィのライブが途中で切られる構成であったが故に、カルテットスターのライブ前の時点で既に勝敗が決してしまった感じがあったので。ただ今回は舞台裏で人知れず悔しさを噛みしめるアイプリ達の姿を描く側面もあったと思うので、光の当たる表舞台でのやり取りが抑えられたところもあるのかもしれません。

ともあれシークレットフレンズの三人がそれぞれに負けたことに対して思うところがある様子を見せたこと。一人で消火しきれずに心の内を仲間に吐露し、負けてしまって納得のいかない結果ではあってもプリトモ達に届くものがあったこと。そして、何より敗北を糧にもっと高みを目指して強くなるという思いを、改めて共有して前を見据えたことに意義があったと思います。

一方で当初から今まで一貫してソロスタイルを貫いているチィは、シークレットフレンズとは対照的に悔しさを自分の内に留め一人で消化しようと務めており、この両者を対比する見せ方は良かったなと思えたところでもあります。悔しさの残る敗戦をどのように受け止め、それを今後どう活かしていくかはその人次第。次こそ一番星を掴み取るために。

楽しいだけではなく勝ち負けや競い合いを意識するようになった今までとは少し違うひまり達のこれからの新しいアイプリへの向き合い方。それによって生じる変化を楽しんでいきたい。

みつき自身も敗北によるショックを受けて消化不良に苛まれる中で、それでも相方ひまりの様子がおかしく表向きの元気な姿が、本心によるものではないことを見抜いているのところは流石である。幼少期からの付き合いの長さは伊達ではなく、見守るべきところは見守って聞くべき所はしっかりと聞くべく話を促してくれる。そんな彼女の優しさに癒やされ満たされるのです。

さり気なくひまりの肩に手を回していたり、彼女を見る眼差しに励ましや慰めに留まらない感情が込められているような気がしないではないが。同じベッドに座ったままでの密着感に加え、ムギちゃんを映して会話だけが流れるラストカットのあれこれ等々。序盤の頃に感じたひまりとみつきの特別な関係性。それが揺るぎないものであることを改めて感じられるシーンでした。

頂きまであと一歩のところまで来ながらも惜しくも逃してしまった我らがチィちゃん。公式サイドからも一番の試練を与えられ続けているだろうチィちゃんが、一番星を掴み取る日はまだ少し先のことになりそうで。大切な決勝を控える中で、敗退したシークレットフレンズの三人をそれとなく気遣う優しさを見せていたり、自身も気負う部分がありながらもそれを押し留めて気丈に振る舞う芯の強さを見せてくれたり。

出番が限られていても随所で存在感を発揮していく真実夜チィさんが、やっぱり格好良いし人知れず努力し続ける彼女の頑張りが報われて欲しい思いは日に日に高まるばかりなのです。表向きは自信過剰で目立たがり屋なところが目立つ彼女ですが、友達や仲間の様子を気に掛ける視野の広さや心の広さを持っていて、それでいて自分には厳しくストイックな一面もあるのだから好きになるに決まっている。

アイプリのグランプリのレギュレーションは自由度が高く、物語開始当初から一対複数が常になっていて、未だにソロで頑張っているチィちゃんには厳しいところがあるのも事実。それでもソロスタイルを貫いて一番星になって欲しい気持ちもあるし、シークレットフレンズに加入して今までとは違う姿を見たい気持ちもあって、自分の中でも気持ちが揺れ動いているところがあります。

チームを結成するひまり達とは違う道を歩み、それを貫いて頂きに至る独自のアイプリ像を築き上げるのか。志を同じくする仲間と手を取り合い高め合う道を選ぶのか。今後の真実夜チィのアイプリ活動にますます注目せざるを得ないのです。