めちゃくちゃで面白いボンド映画『007は二度死ぬ』 (original) (raw)

007 You only live twice

ルイス・ギルバート監督作の『007は二度死ぬ』を観ました。

アメリカの宇宙船が宇宙にて謎のロケットにより撃墜され米英ソによる緊急会談が開催、アメリカはソ連の攻撃だと非難する中でイギリスは宇宙船を撃墜したロケットが日本周辺へ着陸したことを察知しておりジェームズ・ボンドが日本にて謎のロケットを調査するというストーリーです。

ダニエル・クレイグ版の007は真面目にスパイをやっていますが、今作はジェームズ・ボンドが公安トップのタイガー田中から浴場で女性4人に体を洗ってもらえる謎の接待を受けたり、姫路城で忍者の訓練に邁進したりします。

この無茶苦茶具合は脚本がブラックユーモア溢れる児童書が有名な作家ロアルド・ダールが担当しているからでしょう。

彼の児童書同様今作のテンポの良さは素晴らしいです。

とりあえず美人を出すか銃撃戦をやっておけばいいという潔さも好きです。

そしてロアルド・ダールは確実に観客を笑わせようとしています。

舞台のトンデモ日本より驚くことはスペースXのファルコン9並みの性能を見せつける謎のロケットです。

宇宙でアメリカの宇宙船やソ連の衛星ロケットをピンポイントで狙い、打ち上げ地点に垂直着陸する技術は半世紀進んでいます。

そしてそんな科学技術を有するスペクターが日本の離島に基地を設置しています。

なぜかは分かりません。

そんなスペクターの謎よりも大きな謎が本作にはあります。

それはジェームズ・ボンドが漁村で日本人に変装し生活するという謎です。

身長が190cm近くある大柄なショーン・コネリーはどう考えても日本全国津々浦々どこであろうと目立ちます。

スペクターの秘密基地がある離島の漁村でこのようなことをするのは正気の沙汰ではありません。

日本人への変装は上まぶたにシリコン製のテープを貼り付け眉毛を太くし髪型を七三分けにしたのみです。

そして案の定、変装後の姿は先程までのボンドとさして変わりません。

変化した点は少しだけ日本語を話すようになったくらいです。

マネーペニーに対して「ケンブリッジで日本語を学んだからな」と語っていたくせに公安のエージェントたちと英語で会話していた以前までのボンドとは思えません。

心身ともに日本人へと変装したボンドは偽装結婚をするために羽織袴に着替え漁村にある神社へ赴くと花嫁が次々と現れます。

最初に現れた二人は失礼ですが不美人でボンドは露骨に嫌そうな顔をし、「偽装なんだからそんな嫌そうな顔をすんなや」と思わずにはいられませんでした。

しかし、最後に花嫁姿の浜美枝が現れボンドはめちゃくちゃ嬉しそうな顔をします。

変則的三段オチを見せつけられて驚きました。

もしかしてブリティッシュ・ジョークにも類似するものがあるのか、それともロアルド・ダールは漫才を見て研究したのか気になるところです。

次回作の007は本作のリメイクがいいです。