いかにして問題をとくか (original) (raw)

ポリアの壺など、確率論や組み合わせ論など多くの面で多大なる業績を上げたG.ポリアの著書である。
この本は、(数学の)問題を解こうとする人々を対象とした、(数学の)問題の解き方の方法論を記述したものである。

問題を考えるステップを分けると、4ステップとなる。
?問題を理解すること
?計画を立てること
?計画を実行すること
?ふり返ってみること

まず、?問題を理解すること、とは何か?それは、(1)未知のもの(=求めたいもの) (2)与えられたデータ (3)条件 の3つを整理することである。
例えば、「縦・横・高さの3つが既知である直方体の対角線の長さを求めよ」という問題を考える。
(1)未知のもの …直方体の対角線の長さ(xとおく)
(2)与えられたデータ…直方体の縦・横・高さ(それぞれを、a,b,cとおく)
(3)条件 …xは縦a, 横b, 高さc という長さの直方体の対角線の長さである。
となる。

つづいて、?計画を立てること、を考えてみよう。ここでの思い付きのためには、(1)類似した問題を解いたことのある経験 (2)知識 が必要となる。
すなわち、いかに関連した問題を知っているのか?ということでまとめられる。先ほどの例で言うならば、「底面の対角線を底辺、直方体の高さを高さ、そして求めるxを斜辺とする直角三角形」
を思い浮かべることとピタゴラスの定理とが思い出すべき事項となる。

さて、前項で立てた計画に沿って、?計画を実行すること が次にすることである。例では、底面の対角線y=a^2+b^2 からx^2=y^2+c^2=a^2+b^2+c^2を求め、最終的に
x=(a^2+b^2+c^2)^(1/2)と求める。

忘れてはいけないのが、?ふり返ってみること である。検算は勿論、他にも点検できる事はたくさんある。例えば、c=0とおいてみよう。すると、この問題は立体幾何から平面幾何の問題になる。一つの問題から実に多くの事が得られるのだ。

この本が伝えたいメッセージは、この4ステップの実施が問題を解くために必要なステップである、ということだけである。
数学ができる人というのは、これらを自然とできる人のことを言うのだろう。そしてこれは数学のみならず、あらゆる自然科学、いや科学に当てはまるのはなかろうか?