宇都宮市のLRTは本当に大成功か? (original) (raw)

11月17日の宇都宮市長選まで2カ月を切った。現職の佐藤栄一(さとうえいいち)氏(62)に、元茨城県つくば市副市長の毛塚幹人(けづかみきと)氏(33)、元県職員の

下野新聞は、佐藤市政の20年を検証するとして、以下のように報じた。

【宇都宮・佐藤市政検証】交通政策 LRT開業実現、際立つ周縁部との格差

8月下旬、ライトキューブ宇都宮で開かれたLRT開業1周年記念イベント。佐藤市長は「開業1カ月だけでも延べ446社が報道した。推計41億円の宣伝効果だった」と胸を張った。

市政5期目は事業費増大や開業の延期、試運転中の脱線事故など正念場が続いた。だが昨年8月の開業後は一転して順調で、利用者数は今月13日に累計500万人を突破した。

その勢いを駆って、6期目の公約にJR宇都宮駅西側延伸の2030年開業を盛り込んだ。「東側で培った経験がある」と自信を見せる佐藤市長。LRT開業は20年で最大の実績だ。

まちづくりの装置

事業の道のりは平たんではなかった。14年には導入の是非を問う住民投票を求める署名が3万筆超集まり、16年の市長選では中止を訴える対抗馬に肉薄された。

それでも千回以上の市民説明会など時間をかけ、粘り強く事業を前進。この20年、歩調を合わせてきた福田富一(ふくだとみかず)知事の存在も大きかった。経済界の重鎮は「佐藤市長でなければ開業できなかった。長期政権のたまものだろう」と評価する。

LRTをまちづくりの装置と位置づけた佐藤市長。LRTを基軸にバス路線を各地へ延ばし、その間を地域内交通で埋める「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)」を掲げる。

人口減少に危機感

「あっちばっかりやって」。市北西部の住民はLRT沿線との格差に不満を漏らす。篠井、富屋の両地区は20年で人口が2割以上減り、地域に危機感が募る。

篠井地区は地域内交通「はるな号」が走るが利用は伸びず、路線バスを含めた交通利便性にこの4年間で大きな変化はない。同地区ゆたかなまちづくり協議会の平野勝(ひらのまさる)会長(80)は「市内を包括的に考えて、公共交通の改善をさらに進めてほしい」と注文する。

路線バスをLRTで代替することで、郊外路線にバスを再配分できる。佐藤市長は「間接的に恩恵を受けられる」と見通すが、それも西側の開業後だ。

LRTが脚光を浴びるほど、周縁部の公共交通網の弱さが際立つ。地域間格差を解消できるか、NCC施策の真価が問われている。

【視点】

市長は、LRT事業は、市民意思を軽視して進めてきた。駅東側については、14年に住民投票を拒否し、住民にLRTの是非を問うアンケートも実施したことがない。駅西側は、来年度に国へ申請する段階になっても、未だに計画の骨子を、議員にも市民にも公表していない。

駅西についても、私の議会での質問に対し、住民投票ばかりか、是非を問うアンケートを実施しようともしない。

駅東側については、初年度は5700万円の黒字と公表しているが、市町での1億7700万の負担金をしており、実質は赤字である。車からの転換が少なく、渋滞はひどく、市内の多くの高齢者の生活の足とはなりえていない。

駅西側は、さらに課題が多いが、全くというほど、検討状況、具体的計画を公表しない。市民生活に重大な影響をおよぼす、駅西側延伸計画は、早急に議会、市民に公表すべきである。