第9章「経験と叡智的直観について」第7節(2) 天川貴之 (original) (raw)
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第7節 カント哲学の本質とその限界について(2)
カントと同時代に、スウェーデンボルグという方がいた。
スウェーデンボルグは、現代でいうところの霊能者としての霊体験を様々に積みながら、一方、前半生、実績を上げた科学者として、その自分自身が経験した霊的なる現象論を、一科学者としてだけではなく、一人間として、一著述家として、膨大に書き残した作業を行った。
カントは、これをつぶさに検討し、そして、果たして人間の理性というものは、このような霊界の現象に対してどのように相対してゆくべきなのかということを、真剣に考えた。
世界精神、時代精神というものは、一方においては、カントを送り込み、一方においては、スウェーデンボルグを送り込み、その両者を基軸としながら、全体としての時代のバランスを保ち、そしてそれが、新時代に向けて真に止揚統合されてゆく、一つの序曲を奏でるものである。
近代の歴史というものは、カントの立場が学界の主流となり、そして、学界の主流となった考え方が、言論界の主流となり、そして、スウェーデンボルグ的な考え方、現象は、学界からは隅に追いやられ、いわば異端として、「オカルト」という立場に置かれてきた。
我々は、この「オカルト」と呼ばれているところの霊的な現象論を如何に認識するのかということを、新時代に向けて問わなければならない。
(by 天川貴之)