どこもかしこもシンガポールはチームラボ (original) (raw)

2024年7月に3連休でシンガポールに旅行に行ったので、その記録を残す。

■成田空港付近のスーパー銭湯で前泊

成田からシンガポールへ発つ飛行機の出発時間は土曜の朝の8時30分だった。品川の自宅から5時台の急行電車に乗ればチェックイン時刻に間に合わないわけではなかったが、あえて空港近くのスーパー銭湯付きのカプセルホテルに宿泊することにした。寝坊のリスクを考えてのことでもあったが、久しぶりに温泉やサウナを満喫したかったことに加え、読みたい漫画があったからだった。

その漫画は「先生の白い嘘」というタイトルで、最近映画化された話題の作品だ。映画のリリース直前に、監督が何を考えてか、「インティマシーコーディネーター(性的な映像作品の出演者に対し、ケアや調整を行う担当者)をつけなかった」ことをSNSに書き込んだのだ。この作品は強引な性的関係から逃れられない女性教師の主人公と周囲を描いたもので、レイプシーンもある。当然のごとく世間からは叩かれ、初日舞台挨拶では謝罪が行われた。あらすじはネットで公開されていたが、詳細は不明だったためどのような作品か気になっており、買うほどの興味はないが、機会があれば読みたいと思っていた。

前日の夜、余裕を持ちすぎてだらだら準備してしまったため、スーパー銭湯の最寄り駅についたのは22時すぎだった。シャトルバスの最終便も終わってしまっていたため、小雨の降る中徒歩で向かう。食事処のラストオーダーが22時30分で、そこで食事をとるつもりだったため、湿った服が体にまとわりつくのを感じながら小走りした。無事ラストオーダーに間に合いおそらく冷凍食品であろうちゃんぽん(980円)を食べる。冷凍食品業界の麺類に対する企業努力はすばらしい。

温泉も23時半には閉まるとのことだったので、カプセルホテルに荷物を置いてすぐに風呂に入る。源泉かけ流しの土くずのようなおそらく結晶化したものが混ざったゾーンと、循環濾過を行った綺麗なお湯のゾーンとに分けられており、温泉に対するこだわりを感じられた。比較的広めのサウナと水風呂もあり、また機会があれば利用してもよさそうだ。

一通り温泉を楽しむとすぐに終了のアナウンスが流れた。もう少しつかってはいたかったが、漫画を読む時間も考え速やかにあがる。漫画コーナーへ移動し探す。話題作のためすでに借りられている可能性もあったが、きっちり全巻そろっていた。抱えてカプセルに入る。

2時間程度で読み終える。精神的に脆く自己肯定感の弱い20歳代の女性教師の主人公が、暴力と強引な性行為で支配しようとする男に対しある種依存的になってしまい、逃れられない、という内容。勤め先の中学校のある男子生徒もバイト先の人妻に性的関係を迫られ悩んでおり、個人面談をきっかけにこの二人もまた性的関係になる。「ただ新たな依存先に出会っただけなのでは」というドライな感想と、「クズ男から逃れられて、その男も不幸な転機を迎えてスッキリ」というウェットな感想が同時に起こりそうだった。女性に対する主観的視点と客観的視点の塩梅がうまく、そこは女性作者ならではのものに感じた。

先生の白い嘘(1) (モーニングコミックス)

朝風呂は5分程度で済ませ成田空港に向かう。前日の雨は上がって晴天だった。シャトルバスは第一ターミナルにはとまらず、第二ターミナルから歩いていく。今まで国内LCCで第三ターミナルしか使ったことがなかったので、第一は初めてだ。歩いていくこともできたが距離があったので、空港内の無料バスを使った。

■スクート(LCC)でシンガポール

第一ターミナルでチェックインを済ませると、忘れていたコンセントの変換プラグを購入し出国ゲートに並ぶ。どうやら深夜発の便はなく早朝便に合わせてゲートが開くようで、100メートルはありそうな行列ができていた。しかし意外と列の消化は早く、スムーズに出国。機内販売に配慮してなのか、早朝だったからなのか、売店に弁当やサンドイッチ等の軽食は見つからず、ペットボトル1本のコーラと前日購入したチョコチップスナック5本で7時間のフライトにのぞむこととなった。レストランも朝から空いているところはあるにはあったが、搭乗口近くの売店で購入しようと考えていたため、時間的に手遅れだった。

▼スクートの飛行機
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今回利用したのはスクートというシンガポールLCCだった。〇〇エアとか、××フライヤーなど、航空会社を想起させるような社名でないことからも察せられるように、すこしおしゃれなのが売りのようだ。多少の期待はして搭乗したが、特にほかのLCCと変わるようなところはなかった。ただ電源やwi-fiを、追加料金を払えばつけることができたり、お金を払えば満足いくようにカスタマイズできるところは良いと思った。

機内ではあらかじめダウンロードしておいた「3度目の殺人」をみた。前日の浅眠も相まってあまり集中することはできず、1時間くらいで寝てしまった。本も読もうと思ったが、あまり集中はできず7時間のフライトを終えた。機内は冷房で寒かったのでブランケットの購入も考えたが、我慢した。

シンガポール到着

シンガポールについたのは午後3時の少し前だった。入国はあまりにスムーズで心配になるほどだった。入国に際し危険物や関税がかかるようなものを持ち込んでいないか、申告用紙の提出や検査が多くの国で必要だが、申告はオンラインで済み、入国目的などを訪ねる対面の質問などもなく、パスポートと指紋の認識だけで終わってしまった。異国の未来のテロに対する心配を勝手にしながらロビーを抜けた。

まずは1万円程度を現地通貨へ両替し、SIMカード売り場を探した。近くを見まわすと2店舗しかなく、安い方で購入した。初期設定も終え鉄道乗り場を探すために進むと、すぐに直結のショッピングモールに出た。イオンモールをやや密にして豪華にしたような感じだった。奥には滝のようなものが見え、人だかりができている。

▼レインボルテックス
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「レイン・ボルテックス」という名物の人工滝だ。普通の滝のように壁沿いではなく、透明な天井の円形の穴から円筒状に、40メートルの高さから落ちていく巨大な水の様は、誰もが人生で初見となるだろう。周囲360度取り囲むようにショッピングモールで取り囲まれており、滝に近づいたり、アート作品を絡めたアクティビティもあったが、1万円以上したので見送った。
最上階の4階まであがり滝を堪能したあと、ショッピングモールを散策した。物価は全体的に高めのようだが、店舗数も多く面白い。日本の店もちらほらある。こういうときポケモンセンターを見ると特に何も買わないが寄ってしまう。体がぶつかり、咄嗟に英語で謝るもお互い日本人らしく、気まずくなる。
色々歩き回った結果、都心部ミシュラン掲載の店に行きたいとも考えていたこともあり、マクドナルドで軽く済ませることとした。意外と混雑している。メニューは日本とほぼ同じでシンプルなクオーターパウンダーとポテトを食べた。味も特にかわらない。

荷物を準備するとき、軽くするために替えの長ズボンを置いてきていた。しかしモスクや寺院に入る際には膝が出た服だと注意されることがあるため、入るなら現地調達しようと考えていた。ちょうど同じモールのユニクロで割引になっていた薄めのスウェットを買い、都市部へつながる電車に乗るため、別のターミナルへ無料モノレールで移動した。

電車は改札でクレジットカードのタッチ決済を行えば乗車できる仕組みになっており、切符を買わずともすむ仕様は大変ありがたかった。日本ではsuicaですべてすむため、東急がvisaのタッチ決済利用可能な改札を導入したときはどういう了見かと思ったが、外国人にとっては非常にありがたいことだと実感した。

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乗車してほどなくたつと都心部に到着した。町並みはアジアの雰囲気もありながらも道路の補正具合などはしっかりしており、浮浪者等もいないから、やはり裕福な国であると感じた。まず向かったのは「バクテー」の店だった。渡航前にいろいろ予習しておこうと過去のバラエティ番組や旅番組をあさっているときにみた旅猿で、シンガポールグルメを目指して歩いていた旅猿一行。そのそばをランニングしていた駐在員男性が、バクテーがおすすめだと言っていた。ガイドブックでミシュラン掲載の店に目星をつけていて、真っ先にそこに行こうと考えていた。

最寄り駅から10分くらい歩き、大通り沿いの角にその店はあった。案の定10mくらいの行列ができており、もちろん並ぶことにする。30分くらい待つと書いてあるのはありがたい。真夏だが昨今の日本の異常な猛暑に比べれば耐えられる範囲で、ガイドブックを読みながら待った。通された店内は半屋外のような、屋内だが扉がないスタイルだったが冷房は普通レベルに効いていた。二次元コードでメニューを読み込みオンラインで注文する。バクテーは透明なスープに骨付き豚肉と玉ねぎが入ったシンプルな料理で、ライスともう一品チヂミのようなものをつけた。合計2300円くらいで量に比べたら割高だったが、そういう相場なのかなとも思った。

10分程度で料理は運ばれた。鶏がらスープの豚肉バージョンに強めの塩コショウで味付けしたスープ。白ごはんにはよくあう。それ以上でもそれ以下でもなかった。普通においしいが普通すぎて感動はない。付け合わせもめずらしさはなかった。スープがなくなったら継ぎ足してもらえるらしいが、特にそこまで飲みたい気分になるほどの味ではなかった。

▼ソンファ・バクテーのバクテー
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量はあったので満腹になり、そのまま歩いてホテルに向かう。ホテルは都心からの近さと清潔さを考えて一泊1万2000円程度のアジア旅行としてはやや高めのところにした。建物は古かったが中はセミダブルのベッドが部屋のほとんどを占めているような、日本で言うとアパホテルのようなタイプで、必要十分で快適だった。7時間の飛行機移動での疲れもあり少し眠ってしまい、起きると19時前だった。成田空港の売店シンガポールでも使えるコンセントの変換器を購入したが、念のため売店の人にも確認したにもかかわらず、穴の形状が合わず使えなかったため、変換機を求めてまずは近場のドン・キホーテに行くことにした。USBをさすポートはあったため、ホテルにいる間の充電は心配なかったが、モバイルバッテリーを充電しておきたかった。

ドン・キホーテまでは歩いて10分くらいだった。店内にはあのBGMの英語バージョンが流れており新鮮だった。そこまで大きな店舗ではなく、ワンフロアしかなかったためか、変換機を見つけることはできなかった。あきらめて店外にでて何をするか考えながら歩いていると、マリーナベイサンズの方から花火が上がった。調べてみると7月は週末に毎週花火が上がるらしい。規模も大きく球数も多い。近い場所から見られなかったのは残念だったが、十分楽しめる距離だ。橋で立ち止まって見ている人の群れに入り、花火をみた。

▼マリーナベイサンズの花火
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そこからマリーナベイサンズに移動し、イルミネーションショーを見ることにした。1日2~3回同じショーをやっているようで、1回目の20時の回はぎりぎり間に合わなさそうだったが、行く途中に遠くからちらっとは見えるかもしれないと考えて早足で向かった。20分くらいでつくはずだったが、途中交差点に信号がなく、迂回しなければならなかったのでもっとかかってしまった。

マリーナベイサンズは文字通り海の目の前にある。イルミネーションショーは21時開始予定で到着した20時30分ごろにはすでに場所取りをしている人が大勢いた。近くを散策してもよかったが、この時点である程度人手があることを考えると、時間の5分前に来たらほとんど見られなそうだったため、もうその場で待つことにした。ネット麻雀をやりながら待っていると、20時45分にショーは始まった。なぜそうなったのかはわからないが、今日は全部の回が15分前倒しらしい。Googleで表示されている情報とも異なっており、理由はよくわからなかった。

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ショーは音楽に合わせ噴水とイルミネーション、プロジェクションマッピングを組み合わせたものだった。たしかにすごいはすごいが、似たようなものを見たことがある気がするような、その程度のクオリティで、あまり感動はなかった。10分程度で終わったため周辺を散策する。

▼イルミネーションショー
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マリーナベイサンズの中は巨大なデパートだった。ハイブランドが軒並みあり、ショッピングモールのようになっている。吹き抜けの4階建てくらいに同じような店が並んでいた。あまりウインドウショッピングを楽しむような雰囲気でもなかったため、フードコートを軽く冷やかしてからすぐに出た。人混みを抜けて次の目的地に進む。

マリーナベイサンズは湾の海側にあり、その対岸の陸側にマーライオンがいる。歩いて向かう途中でアサイースムージーを買って飲んだ。バナナの主張が強かったがおいしかった。イルミネーションに照らされたマーライオンは思ったよりは大きかったが、特別感動するような迫力はなかった。

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満足するまで写真を撮ったころには、時間はもう21時40分を回っていた。店も閉まりだしているようで、ここからできることはなさそうだった。タクシーで帰ろうかとも思ったが、シンガポールのタクシーは日本と同じくらい高く、地下鉄2駅程度移動すると2000円強になるようだ。疲れていたため悩んだが、歩いてホテルまで帰ることにした。途中で寄れそうな店もほとんどなく、コンビニで飲み物だけ買った。

シンガポール2日目

朝起きると7時過ぎだった。旅先では早起きして行動するのが好きなため、やや後悔した。シンガポールに北はいいものの、行きたいところは動物園しかなく、その日にやることも全く決められていなかったので、特にこの時間の電車やバスにのらなければいけない、というわけではなかったので起きるのが遅くなったことも特に問題にはならなかった。朝食が食べられる場所を検索していると、「カヤトースト」というのが目についた。それはシンガポールでは定番の朝食メニューで、現地で昔から食べられているカヤという植物を使ったベーストをパンに塗ったトーストらしかった。徒歩10分程度で食べられる店があったので、行ってみることにした。

店は中華系の食堂といった感じだった。店舗前で注文してできるのを待つ。コーヒーもあったがあまり置いそうではなかったのでトーストだけにした。温泉卵といっしょに食べるのが定番らしかったが、あまりおいしそうではなかったのでやめた。

▼カヤトースト
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すぐにトーストは運ばれてきた。パン自体は普通の食パンでなんの変哲もない。カヤの風味も特に感じることはできず、普通のシュガートーストとあまり変わらなかった。食べ終える直前から激しい雨が降ってきたが少し待っていると小雨程度になった。

店があったのは、日本でもよくある歩道だけ濡れないように屋根がついているような道沿いで、それに沿って散策してみることにした。中華系の寺院もあれば、ヒンドゥー系の寺院もある。日本ほどではないが新しめのマンションも目立つ。

歩いていると2階建ての市場を見つけた。特にすることもなかったので入ってみると、2階はフードコートになっていた。ホーカーズといってシンガポールではよくあるタイプらしい。フードコートといっても日本のショッピングモールにあるようなものではない。的屋サイズの店舗が、少なく見積もっても100以上は集まっている。なかでも行列ができているビーフンとお粥の店に並んでみた。提供がはやいのでほとんど待つことはなく食べられた。特別おいしくはないが、不味くもない。ラクサのような麵料理もあったが、重そうだったので見送る。

▼行列のできるビーフンとお粥
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市場をでてチャイナタウンを散策する。8時台だったが開いている店もそこそこある。お土産をみつつ次の目的地を考えていると、有名なチキンライス店が徒歩圏内であることに気づいた。しかしgoogleマップでは10時から、るるぶでは9時開店となっている。私はるるぶを信頼しているため、9時開店に賭けて向かってみた。

その店はまた別のホーカーズにあった。さっきのところほど店舗数はないがそれでも50軒くらいはある。すでにほどほどの行列ができている店舗があり、それがその店だった。るるぶの方がgoogleマップよりも正確だった。行列に並ぶ。15分くらい待って、注文する番になる。しかし何かの準備ができていないのか、ちょっと待てと言われる。私の後ろには日本人の田舎のガルバ嬢風の二人組が「なんで注文しないの?」的なプレッシャーをかけてくる。しばらく待って許可が下りたため注文。チキンライスはローストとボイルがあった。サイズは大中小とあり、小はローストのみでボイルが注文できなかったこともあり、ボイルの方が定番である可能性をとって、中のボイルにした。味は普通の蒸した鶏肉で、特別おいしくはなかった。やや生焼けだったので食中毒が心配になったが完食した。

▼天天海南鶏飯のチキンライス(ボイル)
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店を出るころにはすっかり晴れていて暑かった。ホテルに一度戻ろうかとは思ったが、そのまま地下鉄にのって国立博物館に向かうことにした。シンガポールは地下鉄網が発達しており、ほとんど地下鉄と徒歩で目的地に行くことができる。博物館につくと自動券売機の列にならびチケットを買う。シンガポールができるまでと、できてからの歴史が主な内容だった。日本に侵略された当時を振り返るドキュメンタリーも放映されており、あまり日本では大きく取り上げられない歴史が語られていた。

博物館の2階はチームラボのアートが展示されていた。マリーナベイサンズのそばにもメイン展示になっている施設があり、チームラボの国際進出のすごさを感じた。チームラボの展示は初めてみるときはそれなりに感動するが、一回みてしまうと凡庸に感じられてしまう。今回も動物が客の動きに反応して多少動く、程度のものでほとんど感動はなかった。

博物館をでて小さな大学のような施設を抜けて、伝統的なアートを飾った美術館に行った。無料で配布しています、とその時の企画展の日本の刺繍の展示のA2サイズポスターを渡された。いらなかったので返したかったが、英語で丁重に返品するのが難しそうだったのでトイレの個室に置き去りにした。展示自体はプラナカン文化というシンガポールの伝統的な文化を反映したものがあり、充実していた。

美術館からマリーナベイサンズに戻ってガーデンズ・バイ・ザ・ベイという巨大な公園に向かった。Googleマップでは徒歩が最も早かったので30分くらい歩いてむかった。途中フードコートでパッションフルーツのミックスジュースを買って飲んだ。

▼巨大な乳児の像
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巨大な乳児の像が有名だったので見た。園内には有料の室内植物園があり、5000円くらい入場料を支払い入った。また大きな室内滝があったり、展示も映えを意識したつくりになっており、見ごたえはあった。終りの方にまたチームラボがでてきて笑ってしまった。室内の展示の中には日本でイマーシブシアターと称して、モネやゴッホの絵画を音楽に合わせてプロジェクションマッピングを行う展示もやっており、充実していた。シンガポールに来た際には寄ってもいい施設に感じた。

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▼大きな室内滝
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▼イマーシブっぽい展示
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その日の夜はナイトズーに行くことにした。一度ホテルの近くまで戻り、移動中に調べて目をつけていた「クレイポットライス」という土鍋炊き込みごはんをたべることにした。朝来たホーカーズと同じところにあるという。そこは100件以上の店舗があるため、清掃スタッフに聞いても場所はわからない。しばらくさまよい歩いていると店舗番号が振られていることに気づいた。無事たどり着いて注文。1時間半くらいかかるけどいいかといわれる。まさかそんなに待たないだろうというのと、中国訛りが強すぎて完全には聞き取れなかったこと、値段が700円くらいで安かったのもあり、とりあえず注文することにした。

席の番号を聞かれ手近な場所を確保する。ネット麻雀をやりながら30分くらいまったがやはりこない。ホーカーズは立体駐車場のような構造で、冷房もなく扇風機のみで、暑い。さっと食事するくらいなら耐えられる程度ではあるが、長時間待つのはつらい。耐えきれずホテルに戻った。

小休憩の後、地下鉄でナイトズーに向かう。おそらく日本人のカップルも同じ電車に乗っている。30分くらいで最寄り駅につく。最寄り駅といってもそこからバスで15分くらいかかる。シンガポールでバスに乗るのは初めてだったので小銭を用意して待ち構えていたが、ここでもやはりクレジットカードのタッチ決済が乗車券代わりに使えて、今自分の運賃がいくらか緊張しながら乗る必要はなかった。同じ電車に乗っていたカップルは全然違うバスに間違って乗っていた。こういう時にうれしさを感じてしまうのは人間の性である。

暗い田舎道を過ぎて動物園に到着する。バスの乗車率は3分の1程度だったが、動物園の前にはたくさんの人だかりがあり、日曜の夜だから金曜土曜よりはましだろうという期待は外れた。いざチケットを買おうと売り場を探すが見当たらない。歩いているスタッフに効いてみるとオンラインチケットのみだという。QRコードを読み込んでサイトをみると、チケット販売ページに飛べた。そこにはチケットは時間指定と書いてあり、到着したのは8時ごろだったが、開いている枠は9時以降のみ。確かに動物園前の人だかりは半分くらいは座り込んでおり、動こうとする気配がなかったのは入園待ちのためだったのだということに気が付いた。とりあえずチケットを買おうと購入画面まで進む。楽天カードのオンライン認証ができない。登録電話番号へのショートメールで認証コードが送られる仕組みになっており、海外滞在中の人を全く想定していない仕様だった。手持ちのカードで決済ができないため、ここまでかと引き返す覚悟をしたが、よくみてみると現地のタクシー配車アプリの決済システムが使用できることに気が付いた。そちらのアプリへのクレジットカードの登録はすでに済ませていたためなんとか決済を済ませることができ、無事チケットをとることができた。

空いているベンチを見つけて1時間ゆっくり待つことにする。バッテリーは使えないため、帰りのバス検索やタクシー配車に使えるようにスマホの電池残量には気をつけなければならない。オフラインにしてストレージ内の漫画を読んで1時間まつことにする。

30分程度経過すると入園待ちの人々がざわつき始めた。スタッフが大声でアナウンスしている。どうやら入園待ちの人が増えたため時間枠に関係なく入園できるようにするようだ。列に紛れて入場する。入ってみるとちょうどいい時間に動物ショーがはじまるようだった。再度列にまぎれて会場に向かう。

▼ナイトズー

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会場は扇形で階段状に客席が並んでおり、イルカショーのようなスタイルだった。ショーといっても無理な芸をするわけではなく、動物のもつ本来の生態を生かしたものだ。日本のアドベンチャーワールドの動物ショーに似ており、国際的なスタイルのように感じた。派手な演出もないので内容は特におもしろくはなかった。

ショーが終わって会場から園の方に戻るとファイヤーダンスがやっており、軽く見てから園内マップをみる。どうやら歩いて回るコースと、園内カートに乗って回るコースとあるようだ。園内カートの方は先ほどの入場待ちの人々が列を作っており、待ち時間は30分と表示されている。回転は速いようだが、本当に30分で乗れるかは定かではなかったため、先に歩いて回るコースをみることにした。

入場口か続く暗い道を進む。照明は最低限になっており、またそれが適うように道幅も2mくらいの狭さになっている。動物もまったく見えないというほどではなく、かといってとてもよく見えるというほどではなかったが、満足いく程度には見ることができた。途中、日本でよくあるリス園のスタイルで、大きなケージにリスが放し飼いにされていて、間近でリスを観察することができるタイプの展示のコウモリ版があり、たしかによくコウモリをみることはできたが噛みつかれないかひやひやした。少し遠かったがライオンを見たり、サイの食事なども見ることができ、満足できた。時間に限りがあったため早歩きで園内を回っていたが、歩きコースを終えてゴールについたときに1時間半くらいは経過し22時を過ぎていた。さすがにカート前の行列はほとんど解消されており、10分程度の待ち時間でカートに乗ることができた。

▼夜のサイ
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カートは連結式の4人1列のシートが10列くらいあるタイプだった。8割くらいは歩きコースと同じ動物を別角度から見る。2割くらいはカートのみで見られる動物がいる。遠かったり暗かったり全く見られないほどではなく、満足する程度には見られた。
カートが入り口に帰ってきたころには、園内のレストランも閉店しており、人はまばらになっていた。閉園は23時30分であと1時間ほどある。帰りはどうせタクシーになるだろうと時間を調べるとあと10分後の終バスに乗れば地下鉄でホテルに帰れることがわかった。お土産ショップをさっと眺めた後、バスに飛び乗った。
ホテルに着くころには街の人通りもまばらになっていた。シンガポールは夜遅くまで空いている店が少ない。クレイポットライスを食べ損ねてから、コンビニで買ったパンしか食べていなかったためおなかがすいていた。調べると徒歩5分くらいのマクドナルドは24時間営業だったため、寄ることにした。シンガポールにきて2回マクドナルドを食べることになるとは思わなかったが、安定の美味だった。空港ではなかったがポテトにチリソースをつけてくれたのは、現地らしさを感じてよかった。

シンガポール最終日

翌朝も同じ経路で動物園に向かう。動物園は大きく4つの構成となっている。一つは昨日のナイトズー。ほかに普通タイプの動物園、川魚の水族館、鳥専門園になっている。チケットは4つセットのものを買っていたが、時間的にも興味的にも鳥ゾーンはスキップすることにした。

まず動物園からまわる。展示されている動物も、その方法も日本のものとあまりかわらない。キノボリカンガルーがいたのでめずらしいなと思ったが、日本でもよこはまズーラシアにいるらしかった。特別大きな感動もなく水族館にまわる。パンダは動物園ではなくこちらに展示されているが、こちらも特に近いとかはなく普通。ディズニーランドのジャングルクルーズ風に動物をみられるアトラクションがあり、セットのチケットで乗ることができて楽しかったが、シンガポールじゃないとできないことではないように感じた。

▼キノボリカンガルー
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▼果物を食べるコウモリ
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最後にジュゴンをゆっくりみて、併設のレストランで辛い野菜炒めを食べながら残り時間をどうすごすか考える。この日の晩の飛行機で帰らなければいけない。

ジュゴン
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せっかくなのでパラワンビーチに行くことにした。シンガポールはビーチエリアは別に分かれており、モノレールでつながっている。徐々にリゾートの雰囲気がでてきてテンションがあがる。駅を出て商店の連なった坂を下る。途中ジェラートを買って食べながら進むと、ビーチには赤いロープが張り巡らされており立ち入り禁止ゾーンになっていた。遊泳可能エリアは結構限られているんだなと思い、海岸に沿って歩き始める。ガイドブックにのっていた木製の巨人の像を目指す。

▼木製の巨人

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日差しはきつい。熱中症のだるさを感じ日陰で休みながら進む。なんとか巨人まで到達したが、ここにも赤ロープがはってある。よくみると案内板が立っていて、「最近石油タンカーの座礁事故があり、オイルの流出汚染があったため砂浜は使えません」と表示されていた。足くらいしか浸かる気はなかったし、ついでに寄った程度だったががっかりした気分になった。

▼立ち入り禁止の看板
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何とか水分を摂取しつつ駅までもどり、ユニバーサルスタジオの前まで行ってお土産を軽く見てから、再度モノレールで本島に戻る。19時45分からガーデンズバイザベイのイルミネーションショーがあることを思い出した。飛行機の出発時間は22時15分、1時間30分前までには空港についておきたいから、本当に一瞬になるが見られなくはない。

▼道すがらのユニバーサルスタジオf:id:ikaironic:20241015145658j:image

19時40分には現地についた。すでにイルミネーション自体は点灯しており、20mくらいの人工ツリーが青と緑に光っていて幻想的だ。この規模のものは世界でもシンガポールにしかないだろう。感動しながら体育坐りで陣取り待機する。イルミネーションショーの予定時刻になるが一向に始まる気配はない。そういえば前日のマリーナベイサンズのイルミネーションショーも時間が大きくずれていた。空港に向かう電車にすぐにでも乗りたかったが、今にもショーが始まるかもしれない葛藤と戦い、5分くらい待ったが始まらなかったため、駅に向かうことにした。

▼ガーデンズバイザベイのツリー
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▼昼間の状態
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空港では最後のラクサをかきこみ、飛行機にのる。スクートは相変わらず寒かったので残りの現金で「Escape the ordinary」のデザインのブランケットを機内で買い、包まって寝た。