石破新首相の所信表明演説について(7)毎日社説その1 (original) (raw)

自民党にあって長く野党的な立場を取りながら、新首相に選出された意味を自覚すべきだ。党内融和を優先し、当たり障りのない抽象論を語るだけでは、政治不信も、暮らしや将来への不安も払拭(ふっしょく)できない》(2024年10月5日付毎日社説)

毎日社説子は、もともと抽象論ばかり述べて来た石破首相に今さら何を期待しているのだろうか。

《党総裁選での主張から後退した内容が目立った。

「政治とカネ」の問題では「深い反省」を表明し、「ルールを守る倫理観の確立」に取り組むと語った。改正政治資金規正法の順守は当然のことだ。「透明性を高める努力を最大限していく」と述べたが、具体策は示さなかった。

党から議員に渡される「政策活動費」の廃止や、月100万円の「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開の実現は、先の通常国会からの課題だ。総裁選の論点にもなったが、言及しなかった》(同)

責任ある具体論は語らない、否、おそらく語れないのが石破という人物なのである。

「それはどういう意味なのか」

「それはどうあるべきなのか」

「それがどういう影響を及ぼすのか」

「みんなが『それはどういうことなの』『それっておかしいよね』『それはこうあるべきだよね』と、疑問を持たれないのか」

「みんなが納得するまで説明責任を果たしていると言えるのだろうか」

「本当にそれで良いのか」

などと、話をはぐらかすだけで、結局何も具体的なことは述べないのが石破流と言えばそれまでだが、ネット上では、その論法は、「石破構文」だと揶揄(やゆ)されてもいる。

《派閥裏金問題で処分を受けた議員を、首相は次期衆院選で原則公認する方針だという。総裁選への立候補表明では、党の選挙対策委員会で徹底的に議論されるべきだとの考えを示した。だが、安倍派議員らから猛反発を受け、発言をトーンダウンさせてきた。演説でもこの問題に触れなかった。

首相はリクルート事件を受けた約30年前の「平成の政治改革」に携わった数少ない現職国会議員の1人だ。その経験を生かし、「政治とカネ」の問題にけじめをつけ、国民の政治不信を解消することが求められている。

だが、政権基盤の弱さも影響して、及び腰の姿勢が目に付く。大胆な「令和の政治改革」に挑もうという覚悟が伝わってこない》(同)

このようにマスコミが焚き付けたからか、石破首相は、一部議員を非公認とするよう方向転換を図った。

石破茂首相は6日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関わった一部の議員を次期衆院選で非公認とする方針を発表した》(毎日新聞10/6(日) 20:05配信)

党内からの反発は必至であり、今後は難しい舵取りに迫られることになるのだろう。

《1日に野党各会派へのあいさつ回りをした際のやり取りが象徴的だ。「石破カラーを出して頑張ってください」と声をかけられると、「出したらぶったたかれるでしょ」「出すと国民は喜ぶ、党内は怒る」と語った》(同、毎日社説)

〈石破カラー〉を出しても出さなくても叩(たた)かれるのであれば、出せばいいのだ。が、〈石破カラー〉を出さないのは、現実的に出せるようなものが無いということに過ぎない。〈石破カラー〉を出せば叩かれるから出さないかのように言っているのは、ただの誤魔化(ごまか)しである。