【愛をこめて花束を / Superfly (2008年)】みんなが思い描くシナリオはハッピーエンド?結婚式でよく使われる定番ソングとして様々なランキングにランクイン!でもよく聴いてみると…。 (original) (raw)
愛をこめて花束を / Superfly (2008年)
みんなが思い描くシナリオはハッピーエンド?結婚式でよく使われる定番ソングとして様々なランキングにランクイン!でもよく聴いてみると…
「愛をこめて花束を」とは
「愛をこめて花束を」は、Superflyの4枚目のシングル。
2008年2月27日に発売された。
オリコンチャートでは最高位13位であったものの、音楽配信のiTunes Store総合ダウンロードチャートでは、発売翌週から3週に渡り1位を記録した。
また、日本レコード協会認定にて2012年4月度に着うたフル75万DLとなり、先に認定のあったPC配信(スマホ含む)25万DLと合わせて、フル配信でのミリオンを達成。
フジテレビ系列「僕らの音楽」(2008年5月30日放送回)では「Superflyの代表曲」と紹介されている。
2019年には、YouTubeにてアップロードされたミュージック・ビデオが1億回再生を突破した。
2022年にはBillboard JAPANにおけるストリーミング累計においても1億回再生を突破。
みんなが思い描くシナリオはハッピーエンド?結婚式でよく使われる定番ソングとして様々なランキングにランクイン!でもよく聴いてみると…
結婚式でよく使われる定番ソングとして様々なランキングにランクイン!
Superflyの「愛をこめて花束を」は、結婚式でよく使われる定番ソングとして、様々なランキングにランクインしている。
例えばWEDDING MUSIC BOXの「披露宴BGMランキング2023」では1位にランクイン。
またfavio.jpの「ウェディングムービーで使われている曲!人気BGMランキング」では8位に、usen.comの「ウェディングソングの名曲特集 結婚式の定番曲ランキング」では、感動的なブライダルシーンを演出する曲として紹介されている。
usen.comではさらに「愛をこめて花束を」について、気持ちを伝える大切さを「花束」というキーワードに込めて歌っていることに注目。
壮大なメロディと力強い歌声で、花束贈呈や乾杯の挨拶、新婦へのサプライズの場面などでドラマチックな雰囲気を演出するのに適している…と、紹介されている。
たしかに壮大で感動的な印象を受ける曲ではあるが、本作ははたして結婚式に適した楽曲なのだろうか。
みんなが思い描くシナリオはハッピーエンド? でもよく聴いてみると…
Superflyの「愛をこめて花束を」。
原曲はSuperflyのメイン・コンポーザー/アレンジャーとして2014年まで活動していた多保孝一氏が16歳の時に作詞作曲したもの(当時のタイトルは "daydream")で、上京後に再び多保氏が手を加え、ほぼ現在の歌詞・メロディに固まる。
それから本作で発表されるまで長い時間をかけて温められてきた。
デビュー前から長らくライブの最後には必ずこの曲が演奏されてきたが、CD化にあたりボーカルの越智志帆さん自身が「自らの言葉で歌いたい」という意思から歌詞を一部書き直している。
だが、越智さんはこの曲の追加作詞制作を満足する程上手くできなかったとしており、発売後の大ヒットを「思いの外のもの」と話している(2013年10月2日放送のフジテレビ系列「めざましテレビ」での本人談)。
越智さんは女性から花束を渡す時の気持ちを実感するために、自ら恋人へ小さなブーケを贈り、歌詞の制作やレコーディングに臨んだという。
愛をこめて花束を
大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでよね
今だけすべて忘れて
笑わないで受けとめて
照れていないで
このフレーズだけ切り取れば、素直な愛の告白に聴こえなくもない。
だから本作をハッピーエンドの曲だと思い込んでしまっている人が多いのだろう。
サビだけ聴けば、思い浮かべるのはたしかにハッピーエンドな結末だ。
しかし解釈の自由度が高い本作の歌詞は、通り一遍でいくものではない。
キャッチーなサビのインパクトに引きずられ聴き逃しがちなAメロBメロの歌詞をよくよく眺めてみると、サビとは違って素直に幸せとは言い切れない言葉が並んでいる。
私は泣くのが得意で
最初から慰めを当てにしてたわ
何度も間違った道 選び続けて
正しく ここに戻って来たの
巡り巡る時を超え いつもあなたの所へと
この心 舞い戻ってゆく
無理に描く理想より 笑い合える今日の方が
ずっと幸せね
このフレーズから受ける印象は、愛の告白というよりむしろ恋愛感情との決別。
そこに迷いはなく、決別への鮮烈な決意すら感じさせる。
そして最終的にたどり着いた答えは、恋愛感情を超越した友情や家族愛のような慈愛の心。
そんな風に感じ取れる。
もちろんそこに答えはなく、作詞に参加した作詞家で音楽プロデューサーでもあるいしわたり淳治氏も、「どういう風にも解釈できるようにした」と語っている。
タイトルもメロディも歌詞も、シンプルに聴けばハッピーエンドの本作。
それをわざわざ「どういう風にも解釈できるようにした」と語る理由は、ハッピーエンドが既定路線ではないことを示唆しているような気がしてならない。
いずれにせよ、本作が大きなくくりで「感謝」を表現していて、それが語り手たる主人公にとって最良の結末であることは間違いないだろう。
この込み上がる気持ちが 愛じゃないなら
何が愛かわからないほど
この「愛」が、どのような感情から導き出された結果なのかはわからない。
だが「愛」があるからハッピーエンドの結末なのだと決めつけるのは、あまりにも早計である。
この「愛」には主人公の主観しかなく、相手の心情はまったく描かれていない。
受け手の気持ちがわからない以上、本作の結末をハッピーエンドと断じるわけにはいかないのである。
とはいえ、「感謝」を表現した歌詞として非常に秀逸な本作。
それが越智志帆さんのパワフルな歌唱力と相まって、聴く者の心を動かし感動をもたらす。
リリースからずいぶん経ち、今ではメディアでヘビロテされることもない本作ではあるが、時代の波に埋もれさせるにはあまりに惜しい1曲。
願わくば、末永く歌い継がれてほしい名曲である。
※.本稿でいう「愛の告白」とは恋愛感情が伴うものである。 ハッピーエンドも同様に恋愛感情が伴うものを意味する。
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