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石ころコロコロ

映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ この作品を最初、観たのは25年も前のこと。この映画を好きな人とは、友だちになれると思ったものでした。ずっと心の片隅にあって、今もとても大切にしている映画です。 映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_22401813.jpg舞台は1958年、スウェーデンの小さな海辺の町と山間の村。12歳の少年イングマルは、人工衛生のような小さなあずま屋の窓から、ひとり夜空を見上げその年の悲しい出来事を思い出しながら呟くのでした。「よく考えれば僕は運がよかった。人工衛星スプートニクに積まれて宇宙で死んだライカ犬のこと。食べ物がなくなるまで、地球を5ヶ月回って餓死した・・・僕はそれよりマシだった」映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_22493021.jpgイングマルは好きなのは、ママと犬のシッカン。でもママは結核を煩っていて、子供たちを構うことができませんでした。パパは南洋の海に行ったまま帰ってこない。兄のエリクはイングマルを虐めてばかりいる。イングマルは、小さな不幸をたくさん抱えていたのでした。浜辺で戯けてママを笑わせているイングマル・・・イングマルはママが元気だったころの情景を何度も思い浮かべるのです。ママに喜こんでもらいたい、笑わせたい・・・ただそれだけなのにイングマルのすることは、ことごとく裏目に出てママをますます怒らせ、困らせママの病気も悪化していくのでした。映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_23231176.jpgそしてまた、ライカ犬のこと思い、胸を痛めるイングマル。十分は食べ物も積まず犬を宇宙に送るなんて人類の進歩のために、望んだわけでもないのに・・・それより僕は幸せだと、自分に言い聞かせる小さな心がたまらなく愛おしくなります。ママの気が休まらないと、よくならないと夏の間だけ、兄エリクは祖母のところへ。イングマルは、ママの弟のグンネル叔父さんのところで暮らすことになるのでした。シッカンは「犬の病院」が、預かってくれると。その意味のわからないイングマル。また会えると信じているイングマルに、涙が溢れます。駅に出迎えてくれた、やさしいグンネル叔父さん夫妻。ふたりに挟まれて車に乗るイングマル。「少し暖かくなったわ、あなたが太陽を持ってきたのよ」叔母さんの言葉がイングマルの心を溶かします。着いたところは、大きなガラス工場のある小さな村。温かい村人たちと、のどかな日々が待っていました。個性溢れるユニークな村人たちの巻き起こすオカシな騒動。ばかばかしくもあるけれど人間っていいな、この村いいなと、思わせてくれるのでした。映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_2324824.jpg村の子供たちの中でもヒーロー的存在のサガはイングマルの心に爽やかな印象を残すのでした。サッカーもボクシングも強い少年のような美少女サガ。ずっと女の子であることを隠していたのですが胸が膨らみ始めたことをイングマルに告げるのです。ちょっぴり大人になったイングマル。ふたりの関係の初々しいこと。友だちや温かい村人たちに囲まれて過ごす楽しい時間・・・やはり気になるのはママとシッカンのことでした。 映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_2256461.jpg秋になり久しぶりに町に戻ったエリクとイングマル。犬の病院に預けられたままのシッカン。ママは少し元気そうでしたが、病状は更に悪化。入院してしまうのでした。病室にひとりずつ呼ばれて、ママと最後の言葉を交わすひととき。着ていたジャンバーを誉められて嬉しそうなイングマルの頬に涙が・・・イングマルはママに「クリスマスプレゼントは何がいい?」イングマルのあどけなさが、また涙を誘うのでした。「プレゼント代を協力して」というイングマルに兄のエリクは言います。「わからないのか?ママは死ぬんだ!」ママのためにトースターを買いに行く、イングマルの姿がなんとも切ないのです。 映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_224846.jpgママが死んで、イングマルはまたグンネル叔父さんの家へ。「シッカンを飼いたい」というイングマル。言葉をにごすグンネル叔父さん。しかし、サガはストレートに「あの犬は死んだ」と言うのです。ショックを受けたイングマルは、叔父さんと建てた庭のあずま屋に、立てこもるのでした。 映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ_a0223379_22454350.jpg「ごめんよ。どうにも言えなかった」と真実を話す叔父さん。大事なママとシッカンを失った悲しみ。今まで、決して泣かなかったイングマル・・・緊張の糸が切れたみたいに、激しく泣きじゃくるのでした。大人も辛いけれど、子どもだって辛い。ラッセ・ハルストレム監督は、どうしようもない重い現実を子どもにも容赦なく突き付けるのでした。「ギルバート・グレイプ」もそう。それでも生きていかなければならない人生の悲しさ。その中から、生きる強さや希望、そして、人生の歓びもまた生まれて来るのだと教えてくれるのでした。北欧の厳しい冬にも、やがて春が来てまたオカシな村人がオカシなことを仕出かしてみんなで心配したり、笑ったり。ちょっぴりたくましくなったイングマルもサガと一緒にその輪の中にいて・・・イングマルはもう、ライカ犬と自分を比べたりはしないでしょう。それにしても人類の進歩のために犠牲となった動物たちのことを思うと本当に心が痛みますね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 : ラッセ・ハルストレム原題 : Mitt Liv Som Hund製作年/国 : 1985年 スウェーデン 出演:イングマル (アントン・グランセリウス) サガ (メリンダ・キンナマン) ママ (アンキ・リデン) グンネル (トーマス・フォン・ブレムセン)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆ ☆ ☆ランキングの応援に駆けつけてくれたブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。ふーくんバナーをクリックするときっとあなたにもいいことが・・・ にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ応援ありがとうございます。 by ishikoro-b | 2012-11-13 23:44 映画 Comments(0) << 私のセンチメンタルな秋の旅-円通寺 後楽園外園の秋を歩いて >> 小さな旅で見つけた美しい風景、素敵なものたち。 by ishikoro-bプロフィールを見る 画像一覧 更新を通知する 最新の記事 十四夜月とスーパームーン at 2024-10-17 23:41 彼岸のヒガンバナ at 2024-10-13 22:37 エノキの実・岡山県自然保護セ.. at 2024-10-08 22:29 ヒガンバナとミズアオイ・岡山.. at 2024-10-02 23:30 秋の使者飛来・みやま公園 at 2024-09-26 23:07 カテゴリ 春の野の花 夏の野の花 秋の野の花 冬の野の花 絵本 映画 春の旅 夏の旅 秋の旅 冬の旅 自然 日々是好日 フォト575 文学 はじめまして その他 最新のコメント ひろかず様 技もなにも.. by ishikoro-b at 22:30 野鳥を手に乗せて餌を食べ.. by ひろかず at 23:06 ひろかず様 コメン.. by ishikoro-b at 22:06 白鳥の白さが青いコメント.. by ひろかず at 09:12 この様な書込大変失礼なが.. by aki at 23:29 阿修羅さま コメントあ.. by ishikoro-b at 00:34 石ころ様 だんだん暮れ.. by 阿修羅 at 08:41 リンク集 main site 石ころホリデー 猫日和。キルト日和。 くるくるbookダイアリー ワタリガラス エンジョイキャリアライフフォロー中のブログ 今日の一枚 ロマラン店長のつぶやき serendipity ... 以前の記事 2024年 10月 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