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石ころコロコロ

映画 世界の果ての通学路 私が子どもの頃住んでいた村には学校がありませんでした。幼稚園も小学校も隣の町まで山を越え、子どもの足で片道約1時間30分山道をテクテク歩いて通いました。小学1年生で転校するまで、雨の日も雪の日も集団登校の子の後ろにくっ付いて、今思うとよく歩いたものです。幼稚園はお寺で、住職夫妻が先生の寺子屋みたいなところでしたが私は幼稚園の2年間、1日も休まず通ったのでした。皆勤賞は雑誌の付録だったことをよく覚えています。通学路の楽しみは何と言っても帰りの道草でした。小さな蕗の葉っぱを丸めては湧き水を掬い喉を潤し大きな蕗の葉っぱを急な雨の傘代りにしたり雨宿りのお堂で聞いたきつねに騙される話や人浚いに酢を飲まされてサーカスに売られる話は興味あるものの子ども心に恐怖でいっぱいでした。これからご紹介する映画を前に私の通学路の体験など恥ずかしいかぎりなのですがそれでも一コマ一コマが映画のワンシーンのように大切な思い出で道草の中にも学ぶことがたくさんあったと心から思えるのです。映画 世界の果ての通学路_a0223379_2351168.jpg映画「世界の果ての通学路」は世界の辺境に住む4組の子どもたちが遠く離れた学校へ通う姿を追ったフランス発のドキュメンタリー映画です。学ぶことはここから始まっている・・・それを示唆するかのようにケニアの少年が地面をかき分けると水が湧き出してくるシーンから映画は始まります。少年は湧き出した水を掬って飲み、顔を洗います。そして家まで水を汲んで帰り、洗濯をしてから学校へ行くでした。ケニアの少年ジャクソンは11歳。毎日妹を連れて片道15キロ、2時間、野生生物との遭遇を回避しながらサバンナを小走りに学校へ通います。野生動物の中で、とりわけ象が子どもたちの恐るべき存在。ジャクソンは小高い丘から象の群れを観察し進路を決めます。命がけの通学路が高い知性を判断力を養います。ジャクソンの夢はパイロットになること。映画 世界の果ての通学路_a0223379_23514855.jpgアルゼンチンのカルロスは11歳。羊飼いの仕事を終えてから妹と愛馬に乗って片道18キロ、1時間30分見渡す限り人のいないパタゴニアの険阻な山や平原を毎日学校に通います。馬のキベリトとは大の仲良し。石ころだらけの危うく滑りそうな道だって冷静沈着にバランスを取りながら進むのです。カルロスもまた、ジャクソン同様頼りになるやさしいお兄ちゃん。カルロスの夢は放牧民になること。 映画 世界の果ての通学路_a0223379_23523995.jpgモロッコのザヒラは12歳。女性の教育には前向きではないイスラムの辺境の村。標高3千メートルの高地の通学路を夜明けに起きて、2人の友と毎週月曜日、片道22キロ、4時間かけて全寮制の学校に通います。そして金曜夕方、同じ道を歩いて家へ。道中、バッグから顔を出した鶏はどうなるのかと思っていたら途中の市場で物々交換、お菓子に換えるのでした。ザヒラの夢は教師になること。 映画 世界の果ての通学路_a0223379_23525856.jpgインドのサミュエルは13歳。生まれつき足が不自由で歩けないサミュエルを2人の弟がオンボロ車椅子に乗せて前から後ろからサポート。片道4キロ、1時間15分の道程を通うのです。通学路はトラブルの連続ですが、どんな困難も3人の強い絆と底抜けの明るさで乗り越えていくのでした。学校に着いたら同級生たちが集まって来て弟たちに代りサポート。感謝の心を忘れないサミュエルの夢は医師になって自分のような子供を救うこと。 映画 世界の果ての通学路_a0223379_23531480.jpg粗末な靴で大地を踏みしめ、走って走って、歩いて歩いて・・・子どもたちの通学路は旅そのものでした。大自然というリアリティーが子どもを逞しく育てます。困難や試練が知恵を磨いていきます。貧しいながらも学ぶことができる幸せを精一杯噛み締めて学校へ通う子どもたち。無事を祈り子どもたちを見送る親たちの姿にもまた胸が熱くなりました。子どもたちは何故ここまでして学校に通うのか?それは「夢を叶えたいから」勉強して家族や困っている人を助けたいと語るのです。パイロット、放牧民、教師、医師・・・その夢を語る子どもたちの澄んだ瞳の美しいこと。子どもたちの聡明な知性と豊かな心がいつかきっと多くの人を幸せにする日が来るでしょう。子どもは希望。彼らの夢が叶う平和な世の中が続くことを祈らずにはいられませんでした。岡山シネマ・クレールで。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 : パスカル・ブリッソン原題 : Sur le chemin de l'ecole製作年/国 : 2012年 フランス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆ ☆ ☆ランキングの応援に駆けつけてくれたブログ「猫日和。キルト日和。」でおなじみのふーくん。ふーくんバナーをクリックするときっとあなたにもいいことが・・・ にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ応援ありがとうございます。 by ishikoro-b | 2014-08-06 00:31 映画 Comments(0) << 映画 パガニーニ 愛と狂気のヴ... 彩雲 >> 小さな旅で見つけた美しい風景、素敵なものたち。 by ishikoro-bプロフィールを見る 画像一覧 更新を通知する 最新の記事 十四夜月とスーパームーン at 2024-10-17 23:41 彼岸のヒガンバナ at 2024-10-13 22:37 エノキの実・岡山県自然保護セ.. at 2024-10-08 22:29 ヒガンバナとミズアオイ・岡山.. at 2024-10-02 23:30 秋の使者飛来・みやま公園 at 2024-09-26 23:07 カテゴリ 春の野の花 夏の野の花 秋の野の花 冬の野の花 絵本 映画 春の旅 夏の旅 秋の旅 冬の旅 自然 日々是好日 フォト575 文学 はじめまして その他 最新のコメント ひろかず様 技もなにも.. by ishikoro-b at 22:30 野鳥を手に乗せて餌を食べ.. by ひろかず at 23:06 ひろかず様 コメン.. by ishikoro-b at 22:06 白鳥の白さが青いコメント.. by ひろかず at 09:12 この様な書込大変失礼なが.. by aki at 23:29 阿修羅さま コメントあ.. by ishikoro-b at 00:34 石ころ様 だんだん暮れ.. by 阿修羅 at 08:41 リンク集 main site 石ころホリデー 猫日和。キルト日和。 くるくるbookダイアリー ワタリガラス エンジョイキャリアライフフォロー中のブログ 今日の一枚 ロマラン店長のつぶやき serendipity ... 以前の記事 2024年 10月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 2024年 06月 2024年 05月 2024年 04月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 06月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 ファン 記事ランキング 映画 フランスの思い出 梅雨の夜、こんな映画はい... 彼岸のヒガンバナ 帰省の途中の川沿いでヒガ... 亀石神社を訪ねて・岡山市東区水門湾 厳しい寒波も緩んだので、... 宵空の惑星たち 夕焼けが残る西の空。 ... 化粧地蔵のある集落を訪ねて・玉野市沼 玉野市の出崎海岸の小さな... 東京の旅の最後は岡本太郎記念館 根津美術館から迷いつつも... ヤマセミを探して・白賀渓谷 次々とお花が咲いて、季節... 「落ちこぼれ」 茨木のり子 茨木のり子さんの詩集の中... 芥川龍之介の「蜜柑」 今週はもう節分。 ミカ... 巨石のオーパーツ?石の宝殿を訪ねて 兵庫の旅の最後は高砂市に... ブログジャンル 画像一覧 もっと見る エキサイト XML |ATOM Powered by Excite Blog 会社概要 プライバシーポリシー 利用規約 個人情報保護 情報取得について 免責事項 ヘルプ
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