歌詞 (original) (raw)

この記事のほとんどまたは全てが唯一の出典にのみ基づいています他の出典の追加も行い、記事の正確性・中立性・信頼性の向上にご協力ください。出典検索?: "歌詞"ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2022年3月)
この記事は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)出典検索?: "歌詞"ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2023年10月)
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2023年10月)

歌詞(かし、: lyrics)は、に伴う言葉のことである。

音楽においては、歌謡曲歌曲歌劇などの言葉・文句などを指している。その他にも、和歌に用いられている言葉のことも指すことがある[1]

民謡など、特定の地域において、主に口承によって伝わってきた伝統的な民族音楽では、歌のみで楽器は加わらないことも多い。

現代の音楽における歌詞

[編集]

詞と曲の関係

[編集]

歌詞が先に作られ、後からメロディ(旋律)がつけられる場合(詞先)と、旋律が先に作られて、後から歌詞が作られる場合(曲先)、あるいはその二つが複合した作られ方がある。

なお、現在のJ-POP日本の歌謡曲)を始めとする東アジアの商業音楽においては、曲先(作曲された曲に詞を当てはめる)で作られる事が多い。これは東アジアの商業音楽業界が長いあいだ分業制であったためである(欧米のポピュラー音楽において、作曲専門で仕事をする人間はいるが、「作詞家」専門で生活できるほどの年収がある人間は稀である。これはビルボードチャートなどの9割以上の音楽が、歌唱者または作曲者が歌詞を付けていることから明白である)。しかし近年では、J-POPの世界においても過去に実績のある作詞家や、プロデューサー業務を兼ねる者をのぞいて、欧米同様の流れになりつつある。作曲のコンペティションは楽曲以外にもテレビやラジオ番組のテーマ音楽やパチンコなどを含めて多数あるが、作詞のコンペはほとんど無いといっていいほど案件が少なく、作詞家志望の新人が入り込む余地が無い。

[編集]

旋律は詞よりも短く書かれることがあり、この場合、旋律は繰り返して演奏されることになる。最初に歌われる歌詞を1番、2回目に繰り返して演奏される時の歌詞を2番、次を3番、のように呼ぶのが一般的である。この「番」は「節」ともいい、複数の節がある(2番、3番などがある)ことを「有節」であるという。

楽譜における歌詞

[編集]

楽譜にあっては、詞は音符の下、時には上に添えて書かれる。1番は2番の下にあり、2番は3番の下にある。

歌詞の翻訳

[編集]

歌が、その歌詞の言語を知らない人の間で歌われる場合、歌詞を翻訳することがある。旋律になるべく変更を加えずに翻訳するためには、翻訳の前後で音節数やアクセントをなるべく揃えることが求められるため、散文の翻訳のようには言葉の意味を保持できない場合がある。

歌詞を伴わない歌

[編集]

歌詞を伴わない歌をヴォカリーズ(母音唱)と呼ぶ。

歌詞の心理学的作用

[編集]

音楽の聴取により、強い情動が喚起されることは経験的に知られていることである。ここで、多くの音楽の聴取者は音楽聴取において歌詞の意味内容を重視していること、その理由は歌詞に共感することが最も多く理由として挙げられたこと[2]を踏まえると、歌詞は音楽の聴取者に強い情動を喚起させる効果をもつことは明白である。

特に、励ましメッセージの歌詞をもつラップ曲を、インストと歌詞ありの2条件で実験した森川ら(2020)の研究[3]によると、歌詞のある条件の方が有意に聴取者の意欲が向上していた。このことから、歌詞があることによって、少ない聴取回数でも音楽の持つメッセージや機能が伝わることが考えられる。

さらに、音楽療法の業界では同質の原理ISO PRINCIPLEという理論がある。これは、感情状態と同質の特徴をもつ音楽を聴取すると,その音楽が自分の気持ちを「表現」していると感じ,その音楽に「共感」したり,「慰め」を感じたりするというものである。ここにTransportation[4]という理論を導入する[5]。これらの理論を踏まえると、自分に同質な歌詞の物語が、多くの人に没入・共感体験を生じさせていることが考えられる。これが、俗にいう「刺さる」という現象を引き起こしていることは容易に想像できる。

いずれにしても、今後の研究が待たれる。

日本における歌詞の変遷

[編集]

伝統的な日本歌曲は演劇などに付随し、歌詞内容が正確に伝わることが重視された。第二次世界大戦後に欧米風のポピュラー音楽が日本で実践される過程で変化が生じ、現在は歌詞内容の伝達を当初よりそれほど重視しなくなっているという[6]。以下、山崎(2017)の分析である。

日本の伝統音楽は雅楽を除けば劇や物語に付随しているものが大半であり、演劇などで物語の進行を伝達する機能こそ音楽であった。そのため、歌詞の意味内容が聞き取られることが重要視されていた。ゆえに、西洋音楽の輸入時に日本と西洋の音楽は馴染みにくかった。

1950年代末から1960年代半ばにかけて欧米の曲に日本語の歌詞をつけて日本人歌手が歌う「カバーバージョン」が流行した。一方で、メロディが歌詞の言葉本来のイントネーションに従うこと、一音符一音節といったルールによって欧米の歌詞の和訳は困難であった。

その後、1970年代には音節を減らすという方法(減音節)によって母音の多さによるもたつきを解消し、音韻構造を英語に近づけた。これは日本における作詞法の基本となった。同時期に言葉本来のアクセントではなくメロディラインを重視するようになった結果アクセントからも解放された。歌詞の変化について。1970年代から、日本社会は言葉の持つ「タテマエ」に懐疑的になり、その影響を受けより個人的な感情を表す言葉を支持するようになったほか、映像作品のように情景を描く歌詞が表れ始めた。

1980年代以降の日本のポピュラー音楽は英文を用いたり歌詞に英語を織り交ぜるなど英語と日本語の利用が作詞法として一般的になり、サザンオールスターズのように語彙の本来の意味内容より音としての語感(響きやリズム)を重視するアーティストが現れ、結果としてメロディのノリを最大限に生かす作詞作曲がなされるようになった。

こうして、言葉の意味よりもメロディや調子が重視されるようになった。このことは言葉が持つ意味をあまり重視しなくなったと言い換えることもできる。

そして音楽は語彙の意味通りの明確なメッセージを聴衆に伝えるものから、歌詞、メロディ、歌手の歌声に合わせてイメージを届けるものになった。

脚注

[編集]

[脚注の使い方]

  1. ^ 出典:『広辞苑
  2. ^ 森 数馬 (2010). “日常の音楽聴取における歌詞の役割についての研究”. 対人社会心理学研究 10: 131-137.
  3. ^ 森川 貴嗣・彦次 佳・亀島 信也・長田 典子 (2020). “『さあ涙を拭いてその顔上げな』で意欲が上がる?――励ましメッセージを含むラップ曲が大学生の気分に与える影響”. 音楽知覚認知研究 25 (2): 75-86.
  4. ^ Green, M.C.,Brock, T.C. (2000). “The Role of Transportation in the Persuasiveness of Public Narrative”. Journal of Personality and Social Psychology 79 (5): 701-721.
  5. ^ 物語性のある芸術作品では特に,その内容を通して深く没入・共感し物語の世界に入り込むという経験を伴うことが多い。こうした現象はTransportationと呼ばれ研究されている。
  6. ^ 山崎 晶 (2017). “ポピュラー音楽の歌詞における意味内容の変化-音韻論とメディア論の観点から”. 人間学研究 17: 1-11.

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

音楽
西洋音楽史 古代 古代ギリシア 古代西洋 中世西洋 ルネサンス バロック 古典派 ロマン派 近代音楽 現代音楽 地域別の動向 西洋音楽年表
作曲 作曲家 編曲家 楽式 記譜法 楽譜 歌詞 作詞 音楽理論 リズム 拍子 シンコペーション メロディ 音名・階名表記 音程 音階 音律 旋法 対位法 和声 非和声音 テンション セクションの書法 ポピュラー和声 調 関係調 限界 無調
演奏 音楽家 演奏者 歌手 指揮者 オーケストラ 吹奏楽 バンド 調律 ソルフェージュ 絶対音感 固定ド 相対音感 移動ド 即興演奏 演奏会 ライブハウス カラオケ PA 音響機器 舞台芸術
楽器 発声 古楽器 弦楽器 擦弦楽器 撥弦楽器 管楽器 金管楽器 木管楽器 打楽器 鍵盤楽器 電気楽器 電子楽器 楽器分類学 楽器分類別一覧 MIDI 教育楽器
主なジャンル クラシック音楽 賛美歌 ポピュラー音楽 ニューエイジ・ミュージック ルーツ・ミュージック ブラックミュージック ダンス・ミュージック ラウンジ・ミュージック ゴスペル ブルース ミュジーク・コンクレート ジャズ サイケデリック・ミュージック ロックンロール ウィッチハウス フォーク ニューミュージック シティ・ポップ カントリー・ミュージック タンゴ リズム・アンド・ブルース ロック ポップス ソウルミュージック メント カリプソ スカ ロックステディ ナイヤビンギ レゲエ ダブ ヒップホップ フュージョン クロスオーバー イージーリスニング ボサノヴァ ファンク ディスコ ニュー・ウェイヴ テクノポップ Hi-NRG ユーロビート ハウス 実験音楽 電子音楽 環境音楽 ゼンハーモニック音楽 ハードロック グラムロック ヘヴィメタル パンク・ロック ハードコア・パンク オルタナティヴ・ロック ノイズミュージック グランジ インダストリアル テクノ トランス ジャングル ドラムンベース トリップ・ホップ エレクトロニック・ダンス・ミュージック ヴェイパーウェイヴ ゲームミュージック アニメソング BGM 映画音楽 演歌 軍歌 寮歌 歌謡曲 童謡 J-POP
民族音楽 アイヌ音楽 アイルランド音楽 アメリカ合衆国の音楽 アラブ音楽 アンゴラの音楽 イギリスの音楽 イヌイットの音楽 インドネシアの音楽 インドの伝統音楽 ウルグアイの音楽 沖縄音楽 カーボベルデの音楽 北アフリカの音楽 グリーンランドの音楽 ケルト音楽 コンゴ共和国の音楽 スコットランド音楽 西洋音楽 赤道ギニアの音楽 セルビアの音楽 チェコの音楽 朝鮮の伝統音楽 トルコ音楽 西サハラの音楽 パラグアイの音楽 バルカン半島の音楽 ハワイの音楽 東ティモールの音楽 ブラジル音楽 ブルガリアの音楽 邦楽 民謡 モザンビークの音楽 ラテン音楽 ルーマニアの音楽 ロマ音楽 ワールドミュージック
録音 レコード会社 レコードレーベル プロデューサー レコーディング・エンジニア マスタリング・エンジニア サウンドデザイナー シングル EP盤 A面/B面 アルバム スタジオ ライブ コンピレーション カバー リミックス サンプリング 音楽出版
メディア 鑑賞 蓄音機 レコード CD DVD-Audio SACD コンポーネントステレオ MP3 音声ファイルフォーマット 音楽配信 デジタルオーディオプレーヤー ミュージカル映画 ミュージック・ビデオ 音楽番組 音楽ゲーム 音楽雑誌 音楽漫画 音楽評論家 ヘヴィー・ローテーション
一覧 音楽家 レコード会社 欧文西洋音楽用語 邦楽のジャンル クリスマスの音楽
音楽学 音楽教育 音楽心理学 音楽社会学 音楽療法 音楽美学 音楽民族学 音響学 電気音響工学 音響心理学 音楽学者 RILM
聴覚 内耳神経 一次聴覚野 難聴 イヤーワーム 音波 音高 周波数 基本周波数 倍音 差音 超音波 低周波音 騒音 楽音 音色 純音 正弦波 音圧 デシベル 音速 振動 波動 現象 無音
関連項目 音楽の定義 音楽の哲学 音楽性 音楽産業 ムーサ 時間 空間 芸能 芸術
ポータル ポータル プロジェクト カテゴリ カテゴリ一覧