世界トップシェア装置が日本で売れない不思議 高生産性で大躍進した米国製ドライエッチング装置 | JBpress (ジェイビープレス) (original) (raw)

露光装置と同じように、世界市場で最も売れている製品が日本市場では売れないという装置が、もう1種類ある。それは、絶縁膜を微細加工する「ドライエッチング装置」である。

ドライエッチングとは、プラズマを用いて孔や溝の微細加工を行う微細加工技術の1つである。

ドライエッチング装置には、加工する材料に応じて、シリコン用、アルミニウムなどのメタル配線用、およびシリコン酸化膜等の絶縁膜用の3種類がある。標準的な半導体工場では、それぞれの装置の比率が、20%、10%、70%となっている。つまり、絶縁膜ドライエッチング装置の比率が最も高い。

そのため、米国のアプライドマテリアルズ(以下、「AMAT」)およびラムリサーチ、日本の東京エレクトロン(以下、「TEL」)、日立ハイテクノロジーズなどの装置メーカーは、絶縁膜用ドライエッチング装置のシェア拡大を目指している。

この絶縁膜ドライエッチング装置の世界市場では、2001年以降、ラムリサーチのシェアが急拡大している。それまで絶縁膜分野でトップシェアの座についていた東京エレクトロンに迫る勢いだ。

その結果として、ラムリサーチは3分野すべて合わせたドライエッチング装置市場の世界シェアでトップに立った(図2)。絶縁膜分野で低迷が続いていたラムリサーチが、このようにシェアを拡大できたのはなぜなのか?

図1 ドライエッチング装置の世界市場シェア
(出所:『半導体製造装置データブック』電子ジャーナル)

シリコンウエハ上の薄膜を加工する微細加工技術

ドライエッチングとは微細加工技術の1つだと述べた。ここで、ちょっと回り道になるが、図2に沿って簡単に微細加工の原理を説明しておく。

(1)まず、シリコンウエハ上に薄膜を形成する。薄膜にはシリコン、シリコン酸化膜などの絶縁膜、アルミニウムなどのメタルの3種類がある。

(2)薄膜上に、リソグラフィー技術によりレジストパターンを形成する。

(3)プラズマを用いて、レジストパターン通りに、(1)で形成した薄膜を加工する。これがドライエッチング技術である。

(4)ドライエッチング終了後、不要となったレジストパターンを、酸素プラズマを用いてアッシング(灰化処理)して除去する。

(5)形成されたパターンが所望のサイズかどうか等を検査する。