オリンピックのメダルの数合わせ--期待と結果を今後どう報道するか (original) (raw)

パリオリンピック2024が8/12に閉幕した。7/27の雨のセーヌ川開会パレードから19日間。期待と失望というメディアの重圧に選手の皆さんは苦しんだことだろう。マスメディアは,その期待がまるで国民を代表するかのように煽りながら報道をし,あとは放り出す。ここに個人メディアがSNSで個人攻撃をする。嫌なパターンである。

「金メダル20個を獲得して過去の大会を超えた」的な報道も,実に不愉快である。「金銀銅合わせて45個」と言っても,最終日を含めてレスリングの各階級で合計11個獲得できたメダルによるところが大きい。柔道も各階級で合計7個を獲得。団体でも,馬術,体操男子,柔道,卓球と同数の4個をフェンシングのフルーレの男女,サーブル女子,エペ男子で獲得している。

結果として,日本人の体格のデメリットをカバーできる体重階級別の競技では上位に入れるが,体格を考慮しない競技では不利という状況はあまり変わっていない。今回,特に目立ったのが,水泳や体操,卓球,バドミントンという個人が期待された競技で結果が出せなかったことである。近年,世界大会で活躍する選手が増えてきた中で,結果を出せなかったのは,オリンピックという独特の場が理由の1つにあるのかもしれない。また,バレーボール,バスケットボール,サッカーというメジャーなチーム競技は,一進一退の白熱した試合が展開されたが,メダルには届かなかった。

一方で,やり投げ(北口榛花選手=金),馬術団体(銅),ゴルフ(松山 英樹選手=銅),近代五種(佐藤 大宗選手=銀)で種目初のメダル獲得があった。

新競技であるスケートボードでは出場選手の半分の4人がメダルを獲得した一方で,サーフィン,自転車トラック,スポーツクライミング,ブレイキンでは,期待と結果が錯綜した。

このように,多くの競技が行われるオリンピックで,総括的に単純にメダル数だけで議論するのはいかがなものかと思うのである。また,プロの世界大会が開かれるバスケットボールやサッカー,ラグビー,ゴルフ,テニスなどは,オリンピックに敢えて入れることもないのでは,ということを以前から思っている。東京オリンピック2020で行われた野球も違和感があった。逆に,バスケットボール3人制やラグビー7人制,サッカー女子,ソフトボールなど,メジャーな大会のない競技は,今後も魅力を発揮してもらいたい。

世界でも競技人口が多い相撲や空手がなくなったり,一方でエンタメ性の強いサーフィンや自転車トラック(競輪),スケートボード,今回の新競技であるブレイキンなど,古い人間からするとアレっと思うような競技も増えている。まだまだ新競技が出てくるのかと考えると,単純にメダルの数合わせをして国別ランキングをする風潮に,オリンピックそのものの存在意義を改めて考える段階なのではないかと思うのである。東京オリンピック2020で発覚したさまざまな裏取引や不正,オリンピック貴族ファミリーとの癒着,そして膨大な金の動きなどを考えると,次の2028年ロサンゼルス大会を最後にいったん大胆なリセットをすべきではないかと思ったりするのである。