『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を3倍楽しく遊ぶ方法、それは「画面表示の設定」だ (original) (raw)

画面表示は「プロ」

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を3倍楽しく遊ぶ方法、それは「画面表示の設定」だ

紛れもなく『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は楽しいが、あるときひとつのことに気がついた。このゲーム、通常の設定で遊んでいてはもったいない、と。

事の発端は、本作にフォトモードがないと嘆いていたことである。「ウツシエ」というカメラは一応あるのだが、ほかのオープンワールドゲームでありがちなフォトモードは存在しておらず、好きなようにスクリーンショットが撮れないのだ。

しかし、幸いにも本作には「画面表示」という設定があり、それを「プロ」にするとUI(ユーザーインターフェース)などが必要最低限の表示になる。そしてこれこそ、本作を3倍楽しむための設定なのだ。

画面表示をプロにした実例

とりあえず、同じ場面の画像を見比べてもらおう。

通常の画面表示。

さて、どう感じるだろうか。もちろん感じ方は人それぞれだが、画面表示が通常のときは「ふつうのゲーム画面で、ゾーラ族のところへ来たのだな」と思うのではないか。あるいは「ライフが自分より多い(少ない)」などと思うかもしれない。

 

画面表示をプロに設定したもの。

続いて画面表示をプロにしたものだが、こちらは背景の情報量が多く見えるのではないか。もちろんミファーの像のところへ来たという状況は同じなのだが、リンクが彼女に対してなにか思いを馳せているようにすら見えるかもしれない。

画面表示をプロにすると、このように「背景が雄弁になる」ように感じられる。おかげでスクリーンショットを撮るのがとても楽しくなったし、なんてことのないフィールドをのんびり歩くのすら喜ばしい体験になったのである。

画面表示をプロにすると、背景にしっかりと集中できる。同じゲームを遊んでいるはずなのに、感じ方はかなり変化するのだ。とにかく試してみてほしい。

なお、画面表示の設定に関しては、前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』から存在していた。今回はライフ表示も消えるようになっているので、より映える見た目が楽しめるわけだ。

有用だが視線を奪うUI

 

なぜ、画面表示をプロにするだけでここまで感じ入るものがあるのか。それはUIが本来は邪魔なものだからだ。

通常の画面表示では、いまどんな能力をセットしているのか、どのボタンを押すと何が発動するのか、あるいは気温・足音・ミニマップなどの情報が表示されている。これはゲームを遊ぶうえでは便利な要素なのだが、景観を阻害するものである。

 

上記画像を例にして見てみよう。この画像のUIだけを見ても「いまはトーレルーフを装備している」、「バッテリーが少なくライフが5つなのでまだ序盤だろう」、「寒さガードがあと5分ほどで切れてしまう」、といったいろいろな情報が入ってくる。

右下のミニマップもかなり情報量が多い。これは非常に便利ではあるものの、慣れてくるとプレイヤーは移動時にミニマップばかり見るようになる。なぜなら、通常の画面を見てプレイするよりも、情報がデフォルメされて最適化されたミニマップのほうがわかりやすいからだ。

ゲームをうまく進めるためには、適切な情報だけを取得する必要がある。対戦ゲームにおいてマップをよく見る人が勝利を掴むように、UIが提示する重要な情報を見たほうが「有利」にはなるのだ。

だが、ひとり用のゲームでそこまで有利に進める必要はあるだろうか? おまけに、UIを見ていると情景が目に入りづらくなる。つまり、美しい景色を無視してしまうようになるのだ。

ゆえに、画面表示をプロにすると世界を注視するようになり、背景が雄弁になるように感じられる。実際はプレイヤーの集中をUIから引き離す設定なのだが、遊んでいる側としてはそう思えるのだ。

「UIが消せるゲームはいいゲーム」

 

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switchのソフトにしてはグラフィックがきれいに感じられる。暗い場所でのライティングなど気になる部分もなくはないのだが、おおむねかなりうまく誤魔化せており、時に美しさを感じさせてくれるだろう。

その情景を楽しむには、やはり画面表示をプロにしたほうがよい。プロで遊べば思わず画面にうっとりしてしまうだろう。

もちろん、操作に慣れていない人にとってこれはかなりの難題である。UIが消えるとは操作の説明も消えるということだし、まして本作は操作がやや煩雑だ。マップもいちいち開いて見なければならず、面倒に思えるかもしれない。

しかしながら、画面表示プロはそれでもやってみる価値がある。ただでさえおもしろい本作がさらに楽しくなるのだから、慣れてきたらぜひ挑戦してみるべきだろう。

UIが消せるゲームはいいゲームである。この法則は本作にも当てはまるだろう。


渡邉卓也(@SSSSSDM)はフリーランスのゲームライター。画面表示をプロにしてから、馬に街道を歩いてもらうのが楽しくなった。