リコーのDX | リコーグループ 企業・IR | リコー (original) (raw)
OAメーカーからデジタルサービスの会社への歩み
リコーは創業以来、お客様の “はたらく” に変わらずに寄り添い続け、変わりゆくお客様の “はたらく” に応じた価値を提供し続けてきました。 1977年に、「機械でできることは機械に任せ、人はより創造的な仕事に」という、オフィスオ-トメーション(OA)を提唱しました。 1998年には「環境経営」を提唱し、「環境保全と利益創出の同時実現こそ、サステナブルな活動になる」という信念に基づき、事業を通じた社会課題解決を追求しています。
そして、2020年には「デジタルサービスの会社への変革」 を宣言しました。 人にしかできない創造力の発揮を目指し、お客様ごとに異なる課題をくみ上げ、リコーグループの技術力とデジタルの力を掛け合わせて、それぞれのお客様に最適な解決策を提供することで、はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えていくという思いです。
それらに向けた活動が評価され、2021年に、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づき、「DX認定事業者」としての認定を取得しました。 2022年には、「DX銘柄2022」に選定いただきました。
リコーは今後も事業活動を通じた社会課題解決により、「“はたらく” に歓びを」 の実現を目指します。
4つの主要戦略
リコーはデジタルサービスの会社への変革のために、21次中経で4つの主要戦略を策定しました。その戦略の1つ「デジタル人材強化・企業風土変革」についてご紹介します。
リコーのデジタル人材
リコーは「デジタルサービスの会社」として事業の実行力を高めるために「デジタル人材の強化」に取り組んでいます。そのために社員一人ひとりが自律的に学び続けることが重要であり、社員全員がデジタル技術とデータを使いこなすスキルを身に付け活用することで、個⼈と事業の成⻑を同時実現することを目指しています。
デジタル技術とデータを使いこなし、リコーグループのデジタルサービスを創出・加速させる人材を「デジタル人材」と定義し、ビジネスインテグレーター、デジタルエキスパート、ものづくりエキスパートからなる人材像を設定しています。
デジタル人材の中でもビジネスプロデューサー、ビジネスデザイナー、クラウドアーキテクト、データサイエンティスト、情報セキュリティ人材を重点強化スキル人材としています。
リコーデジタルアカデミー
専門性の高いデジタル人材を育成するための「専門的能力強化」と、全社員がデジタル人材を目指すための「デジタルナレッジ」を同時に進めています。
デジタル人材の中でもビジネスプロデューサー、ビジネスデザイナー、クラウドアーキテクト、データサイエンティスト、情報セキュリティ人材を重点強化スキル人材として認定し、21次中経において国内で「リコーデジタルスキル レベル2以上の人数」を4,000人に拡充することを目標にしています。
デザイン思考とアジャイルの浸透と実践
リコーには、ものづくり企業として培った卓越したカルチャーがあります。それは、高品質へのコミットメントや、各人が自分の役割を忠実に果たすこと、効率と秩序を尊重し、忍耐強くチームで仕事に取り組む姿勢といったマインドセットです。
デジタルサービスの会社への変革を進めるためには、こうしたものづくりマインドセットに加え、変化への迅速な対応力や、組織縦割りを超えたグローバル対応力、多様な人材が活躍できる環境づくりが必要になります。また、お客様との対話から真の課題を探り、素早く適切なデジタルサービスを提供する上で、「デザイン思考とアジャイル」の考え方の社内浸透を進めています。
リコーはデジタルサービスの会社への変革のために、21次中経で4つの主要戦略を策定しました。その戦略の1つ「RICOH Smart Integration(RSI)によるビジネス貢献」についてご紹介します。
リコーグループ共通のプラットフォームRICOH Smart Integration (RSI) はデジタルサービスの開発・運用に必要な基本機能を備えたクラウドの共通基盤です。グローバルでのビジネス創出を促進するために、RSIを共通基盤として活用し、商品開発の効率性向上とコスト削減に加え、高い拡張性とイノベーション創出を実現することで、競争⼒を向上させます。これにより、自社はもちろんお客様に対しても高品質・高付加価値なサービスを素早く提供することが可能になります。
2023年度は、グローバルに提供するアプリケーション/サービスとエッジデバイスをRSIでつなぎ、リコーグループとパートナー企業の異なるサービス間の連携・統合を簡単にし、シームレスなデジタルサービスのエコシステム構築に取り組みます。この活動を通じて、リコー独自のエッジデバイスをデジタルサービスに組み込みやすくするためのIoT基盤の強化や、データ活用基盤の整備と全社データ活用に向けたガバナンス強化を図ります。事例の一つが、サイボウズが提供するkintoneに、RSIを活用してリコーの複合機との連携やドキュメントワークフローの独自開発プラグインを搭載した、RICOH kintone plusです。
これらに加え、高度なセキュリティを必要とする大手のお客様に向けた認証基盤の強化や、包括的なマネージドサービス提供に向けたID機能の強化、ストックビジネス拡大に向けた各地域のITシステムとのグローバル最適での連携など、お客様のビジネスに貢献していきます。
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リコーはデジタルサービスの会社への変革のために、21次中経で4つの主要戦略を策定しました。その戦略の1つ「プロセス・IT・データ 三位一体の推進」についてご紹介します。
プロセスDXの実践とお客様への価値提供
オペレーショナルエクセレンスの実現に向け、プロセスの一部ではなく全体で変革するために定型的かつ効率的にプロセスDXを実践する「型」を定義し、デジタル技術とデータを活用した業務プロセス改革に取り組んでいます。2023年度は本取り組みの範囲を部門単位から全社レベルに拡大するとともに、リコーグループ内で実践・蓄積した経験を事例に、お客様向けサービスとして価値提供していきます。
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BPMN:Business Process Modeling and Notationの略。ISO19510に準拠したビジネスプロセスの表記法 - *2
BPM:Business Process Managementの略。業務プロセスの現状を把握し、変更や改善を行うことで、本来あるべきプロセスに継続的に近づけていくための業務管理手法 - *3
SaaS:クラウドサービスとして提供されるソフトウェアのこと - *4
PaaS:アプリケーションが稼働する上で必要なサーバーやOS(オペレーティングシステム)、ミドルウェアといったプラットフォームをクラウド上で提供しているサービスのこと
基幹システム刷新に合わせた業務プロセス改革
現在進めている基幹システムの刷新では、エンタープライズアーキテクチャー*の考えに則り、統一化されたSaaSを導入していきます。SaaSの標準プロセスに自社のプロセスを極⼒合わせながらも、変わり続けるプロセス、他社との差別化を図るプロセスについては周辺プロセスとして自社開発することで、今後の変化に迅速、かつ柔軟に対応できるようにします。
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エンタープライズアーキテクチャー:企業全体のシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムの最適化を図る手法のこと
ハイパーオートメーション*で社員エクスペリエンスを飛躍的に向上
これまでのプロセスDXの実践により、社員自らが担当している機能の業務プロセスを改革し生産性を上げることについては一定の成果を上げてきました。今後は個人の担当機能の業務だけでなく、その業務が影響を及ぼすすべての社員のオペレーションまでを含めた全体のプロセスを対象とします。デジタルとデータを徹底的に使いこなして社員エクスペリエンスの飛躍的な向上にチャレンジし、変化に強いオペレーショナルエクセレンスな業務プロセスを確立します。
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ハイパーオートメーション:デジタル技術とデータを活用し、複数業務を連動させて自動化することで、生産性を飛躍的に向上させること。
社内実践での経験を活かしてお客様の課題を共に解決する
社員各人が所属組織での業務遂行で得た専門機能/分野の知識と、リコーグループ内でのプロセスDXの実践経験で身につけたスキル・ノウハウをもとに、2022年度からは、お客様の課題をお客様と共に解決する取り組みを始めています。お客様へのお役立ちの達成感が、社員の「“はたらく”に歓びを」の実感へもつながる、そんな姿を目指しています。
リコーはデジタルサービスの会社への変革のために、21次中経で4つの主要戦略を策定しました。その戦略の1つ「成長領域のサービス創出:AI/ICT」についてご紹介します。
リコーはこれまでオフィス領域のデジタルサービス創出に向けた、リコー独自の日本語GPT3*1モデルや、会議発話に強い音声認識技術、音声対話で業種・業務支援を行うデジタルヒューマンの開発など、さまざまなAI技術を開発してきました。また、現場や社会の領域では、画像や音声認識技術などのAIを活用し、建築・土木業向けに道路やのり面の状態を可視化する技術や、製造業向けに設備・工作機械の異常を検知する技術を開発してきました。さらに、工場や屋外などの現場でのAI活用を加速するため、ロボティクス*2やスマートグラスなどのICT技術開発も進めてきました。21次中経においては、これらリコー独自のAI/ICT技術開発を強化しながら、急速に発展している仮想空間利用に関する技術を獲得し、AIを活用したワークプレイスとお客様への提供価値の拡大を狙います。
コロナ禍でオンライン化が加速したオフィス領域向けには、リコー独自の大規模言語モデルやデジタルヒューマンに仮想空間利用技術を融合することで、デジタルバディ*3などの高度な業種・業務支援サービスを提供していきます。また、リアルかバーチャルかを問わずデバイスフリーで活用するための技術も開発します。仮想空間利用が加速している建築・製造の現場領域には、現場のデジタルツイン化を目指し、リコー独自のAI技術を搭載したエッジデバイスによる現場空間のデジタル化技術や、現場でのAI活用拡大に向けたロボティクス、XR*4技術の開発を推進し、BUのサービス創出に貢献します。
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GPT3:OpenAI社が開発した事前学習済みの自然言語処理に特化した人工知能 - *2
ロボティクス:ロボットの設計・製造・運用・制御を研究する学問分野 - *3
デジタルバディ:人工知能を活用した人間のような対話を行う仮想的なパートナー - *4
XR:拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)の総称。現実とデジタルを融合した体験を提供する技術
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リコーが提供するデジタルサービス
光沢品外観検査装置
時間相関技術の応用により、光沢品検査工程の自動化を実現。画像や、不良位置、サイズなどのデジタルデータ取得により、正確な製品トレーサビリティー、不良発生時の早期発生源対策を可能。検査工程の負荷軽減や、世界同一品質の実現にも貢献。
社会インフラ向け点検サービス
リコー独自の撮影システムとAIを用いて、道路やトンネル、のり面の点検を効率的に実施し、損傷具合を自動判定、各種調書に出力するサービス。2022年2月より宮崎県と共同で「のり面モニタリングシステム」の実証実験を開始。
RICOH360サービス
THETAで撮影された360度画像データを蓄積しRSIプラットフォームと連携することで、お客様のワークフローを効率化。不動産では、現場にいるような臨場感をオンラインで体験できたり、建築現場では、その場にいない人に現場の状況を的確に伝えるなど多様な価値を提供。
生産拠点におけるDX化・自動化
沼津事業所では、トナー生産工程のDX化により、不良率低減、製造作業の置き換えを実現。品質のばらつきや技術者不足の懸念があった現場で、生産技術者がAIを学び、DXシステムを開発した。
また、部品成型の金型を自動加工するシステムを開発・運用している複写機の生産拠点Ricoh Manufacturing (China)を紹介する。
仕事のAI
企業固有のドキュメント情報資産を、自然言語処理AI技術*によって文章の意味を理解して体系化。務効率化や顧客満足度の向上といった新たな活用価値を創出する、「ドキュメントのDX」を実現。
リコーのデジタル戦略は
統合報告書内でもご紹介しています