2023.10.5-6甲斐駒ケ岳 (original) (raw)
積年の憧れだった奥穂高岳に登頂し、間もなくアルプスシーズンも終盤。
そんな中、私はもう一つの憧れの一座を目指して山友と休みを合わせていた。
天気予報アプリでは登山不適合のCのままだったけれど、とりあえずテン場まで行くか、と決行。
今回は前泊して翌朝未明に登山開始という行程にしたので、仙流荘のバスは最終の14時20分の便にした。
途中、マットを忘れた山友のためにダイソーに寄ったりして、結構ギリギリに到着。
うとうとしているとバスは北沢峠に到着。
ここにテント泊するのは初めて。
しかもバス停から徒歩10分くらいというので、こんなスタイルで臨んだ。
長衛小屋のテント場は、木曜日ということと、天気予報の悪さからガラガラだった。
人気のテント場なので奇跡である。
時折ゴォォォォと強い風が吹きつける中テントを設営し、飲み始めるか…と思ったが、
予想以上に冷え込み、また風も強く、
今日の宴会はテントの中で各自かなぁ⤵︎と思ってテントの中でゴロゴロすることに。
ところが、小屋の前に屋根付きの炊事場があり、そのテーブルで飲食が出来るようだったので
食料を持ち込み、そこで宴会をすることができた。
ビールというよりウイスキーのお湯割が染みる夜を過ごし、翌朝の登山に備えて19時にはそれぞれ就寝した。
夜中、テントポールが折れるかと思うほどの風も吹いたが、2時45分に起きた頃には星空も見え、なんとか登山出来そうなコンディションだった。
支度を整えて3時15分北沢峠登山口へ向けて歩き始める。
今回は私の希望により、仙水峠ではなく双子山を経由するルートで登ることに。
なぜかというと、仙水峠から駒津峰までの標高差500メートルの急登を登る気力体力が無かったから。
この決断は今でも正解だったと思っている。
予想より時間がかかり、5時40分双子山登頂。
白んできた光が照らし出すのは
美しい霧氷だった。
雲ひとつない空に浮き上がる甲斐駒ヶ岳の勇姿。
一度緩やかに下ってから駒津峰に向けて強い風が吹きつける斜面を歩いて行く。
写真では伝わらないが、双子山から先は樹木が低くなり、強い風が体にもろに当たりそれはそれは寒かった。
防風対策で着ていたレインウェアのフードを被り、頭部顔面をガード。
「もしここで足とか捻って歩けなくなったら、救助を待つ間に凍死するね。」
とお互い緊張感を保ちながら先へ。
連なる南アルプスの山並みの先に朝日が顔を出した。
日が登れば少しは温かくなるだろう、と思いながら凍りついた斜面に向かう。
振り返ると、稜線を境に北側南側とでパックリ分かれた山肌の景色。
自然は不思議だ。
途中雷鳥にも出会い、凍りつく手でなんとかシャッターを切った。
6時36分六合目駒津峰到着。
ここで座って休憩する計画だったが、何せ強風が吹き付け、避ける場所がなかったのでそのまま先へ。
むき出しになった北側の斜面はすっかり岩も凍りついていた。
その岩の影になる南側のところが少し風を避けられたのでそこで腰を下ろして休むことにする。
夏山のスタイルで登っていた友人も、流石にダウンパンツを履くという。
口にした水があまりに冷たかったのでのぞいて見ると凍っていた。
写真で見ると雲ひとつない聳える甲斐駒ケ岳山頂だが、それも強風のなせる技。
でも貴公子と言われるだけあってカッコいい姿だ。
途中急な鎖場を下り、
7時32分八合目到着。
この先に、岩場直登コースと巻道との分岐点がある。
迷わずに巻道を選択。
地図によっては直登コースは波線になっているようだ。
自分の実力に見合った方を選びたいものだ。
さあ、いよいよ花崗岩があらわになった山頂へ向けてラストスパート。
登山道は日の当たる南側斜面になったが、標高が高くなっているのでそんなに温かく感じなかった。
写真で見ると本当にいい天気。
しかし実際は、気を抜くと強い風にあおられて滑落の危険がつきまとう斜面だった。
山頂へ向けてのビクトリーロード。
8時35分山頂到着!
それにしても強すぎる風だ。
先日登った白山も相当なものだったが
それをしのぐほど。
この巨漢の私が踏ん張らないと立っていられない。
まさに“てんくらC”だ。
強風に抗いながらなんとか360度の景色を目に焼き付け、下山を開始する。
山頂滞在時間約10分(笑)
登りでは余裕がなかったが
改めて六万石(ろっぽうせき)の大きさに驚く。
振り返ると山頂はこんな感じ。
いくつか現れる険しい鎖場を慎重に乗り越え
10時02分駒津峰までなんとか下りて来ることが出来た。
ここから、標高差約500メートルの斜面を下って仙水峠を目指す。
すると、すれ違う登山者から必ず尋ねられた。
「どこまで行ったんですか?」
この強風で山頂まで行けるのか知りたいらしい。
私たちは正直に山頂の風の強さと気温の低さを伝え、装備が揃っていないなら行かない方がいい、と話した。
私たちも紙一重だったのだ。
風を避けられそうな斜面の途中で腰を下ろしてお昼ご飯休憩を取った。
カップラーメンの温かさが身に沁みた。
11時26分仙水峠到着。
ここからは緩やかになるはず。
しかしゴロゴロした岩場は結構続き、
思っていたよりゴール地点のテント場まで長く感じた。
11時56分仙水小屋を通過。
私たちは13時10分の北沢峠発のバスに乗ろう!と気持ちを一つにして沢沿いの道を早足で歩いた。
12時35分ゴール。
急いで長衛小屋で山バッヂを買い、お手洗いを済ませてテントを撤収する。
2人とも無言(笑)
バス停までの10分がとてつもなく長くキツく感じた(笑)が、なんとかバスに間に合った。
金曜日の北沢峠は多くの登山者で賑わっていた。
次はテント泊でのんびり栗沢山に登ってみたいな、と思いながら帰路についたのであった。