【映画】『ザ・クリエイター/創造者』【評価と感想】 (original) (raw)

あまりかぜです。
ちょうど浦沢直樹x手塚治虫のマンガ『PLUTO』を読んでいたので、ものすごい既視感に驚きました。

感想は基本的にネタバレです。

■オススメ度

です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり

△: 無理して見なくてもヨシ

■感想
SF映画の火を途絶えさせてはならない、そんな意気込みで作られた作品らしいです。
脚本と監督は『GODZILLA』『ローグ・ワン』のギャレス・エドワーズ。日本好きの監督なら、きっと手塚のアトムも知っているでしょう。
舞台は東南アジア、渡辺謙も出演しているせいか、あちこちに日本語やロケ地の言語が散りばめられています。

英語圏の人から見れば言葉が通じない異国の風景は、まさに人知が及ばないAIのロボット世界とダブるのかもしれません。
冒頭で米軍の大佐がネアンデルタールには文化があったがホモ・サピエンスが滅ぼしたと話します。我々こそ生き残る側だというわけですが、ロスに核が落ちたことでAIロボットを憎み抹殺しようする様は、単なる国家エゴの争いと変わりません。
一方、ニューアジアではロボットと人が家族として暮らし、僧侶さえ存在しています。それは決して「共存」ではなく「共生」です。これこそ手塚治虫が20世紀に思い描いた未来でしょう。

© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

映画は人類VSロボットの戦争という体裁ですが、西洋と東洋、一神教多神教のという価値観の戦いという側面もあります。

このロボットたちが実に古典的。アルフィーと呼ばれるロボットだけ特殊な力を持っていますが、他の人型ロボットは穴が空いたくらいでは死なないけど、人並の能力しか持っておらず、人が持つ武器で戦っています。その姿にベトコンを重ねる人は少なくないでしょう。そして現実世界では、民主主義という大義を押し付けた方が負けています。

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妻の居場所を知るアルフィーを助けるための行動が、結果としてロボットたちを助けるのことになっだけなのに、ついに救世主が現れた、みたいなラストシーンはやや安手です。彼女が成長してより大きな力を得た後に、ニルマータと呼ばれることになるのなら納得できますね。

また子供を連れたロードムービー的な場面もありますが、事が上手くはこび過ぎていて、逆に締まらなく感じてしまいました。

東京でも撮影されたそうですがどこに登場したんでしょう。地下基地潜入シーンか、ミサイルが飛ぶ街のシーンか。