鴎庵:漫画 (original) (raw)

鴎庵:漫画 2022-05-14T05:43:25+09:00 wavesll カモメとは特に関係のない話をする縁側サイト Excite Blog 坂口尚『石の花』 ユーゴスラビアの人々の視点からWWIIの戦禍を描き人間の尊厳を問いかける傑作漫画 http://kamomelog.exblog.jp/32586073/ 2022-05-14T00:02:00+09:00 2022-05-14T05:43:25+09:00 2022-05-13T13:48:10+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_13222453.jpg

5/16まで角川の電子書籍サイトBOOK WALKERで戦争のことを考えるヒントとなる作品たちが無料公開されていて。
その作品の一つに前々からちらりと名前は聴いていた坂口尚『石の花』が全5巻すべて公開されているとのことで、ここ数日読んでいました。これが凄味のある名作で。

物語はユーゴスラビアのスロベニアに暮らす少年クリオと少女フィーがWWIIのナチスによる侵攻、そしてユーゴスラビア内での民族対立から戦禍に巻き込まれていく様を描いていました。

今のウクライナ侵攻もそうですが、普通に暮らしていたクリオたちが戦争に巻き込まれていく、あまつさえ仲間が殺され、自分も手を血に染めなければならないのかという懊悩に苦しむ。地獄の中で、人間の尊厳とは何かということを問う、哲学的な主題を坂口先生は著していました。

かといっていわゆる「お勉強漫画」なのかといったらそんなことはなく、クリオ、フィー、そしてクリオのお兄さんイヴァン、ナチのマイスナー大佐、パルチザンや情報屋達たち、さらにはチトー等の実在する政治家等のキャラも活き活きと命が吹き込まれていて、謀略入り乱れ、そこに愛や純粋さが翻弄されるストーリーには手に汗を握る白熱がありました。

また私の個人的な感想としては、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロベニアを旅したことがあって、フンベルバルディング先生が校外学習に連れて行ったスロベニアのポストイナ鍾乳洞にこそ行ってはいないのですが、サラエヴォやドゥブロヴニク、スプリット、リュブリャナ、ザグレブ、またブレッド湖畔のチトーの別荘をみたこともあり、コトルなんかもTBSの世界遺産で興味を持っていたので、あの壮麗なバルカン半島に横たわるこうした哀しい歴史が立体的に浮かび上がることが読書で起きていました。

実際、民族的対立はWWII以降、そしてチトー独裁の後にユーゴスラビアを内戦に墜として。その傷跡は実際今以ってサラエヴォなどには色濃く残っていたし、ドゥブロヴニクのガイドさんもこうした歴史は忘れてはならないと言っていたことを想い出します。

「戦争の本当に忌むべき点は、普通に平和を愛する人に銃を取らせることだ」のような言葉がありますが、普通に温かい暮らしをしていたクリオ達が苛烈な戦争に巻き込まれる禍々しさは筆舌に尽くせませんし、”これが今ロシアによってウクライナで起きているのか”と想うと戦慄します。あれだけ人を殺したくないと敬虔なユダヤ教徒にイザークは描かれていましたが、権力を握ればイスラエルはパレスチナを蹂躙しています。人間は愚かです。だからこそ、平和を維持するために常に人類はたゆまぬ努力と研鑽をしていかねばならないのだなと。今のあの美しいバルカン半島を想うと感じるのでした。
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ゴールデンカムイ/野田サトル アイヌの金塊をめぐる劇走激情物語漫画 http://kamomelog.exblog.jp/32570087/ 2022-04-28T19:01:00+09:00 2022-04-29T01:45:58+09:00 2022-04-28T10:23:09+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_09480626.jpgゴールデンカムイ、前々から好く話を聞いていたこのマンガが、本日最終回を迎えて。最終回に向けてとなりのヤングジャンプで本日まで全話無料公開されていて、それで初めて読んだのですが、もう面白過ぎて一気に読んでしまうほど嵌りきってしまいましたw
アイヌが密かに砂金をあつめて作った金塊。その在りかは脱獄囚たちの肌に刺青で描かれた地図を読み解かねばならない。北海道に樺太も跨ぐ金塊争奪戦が物語の縦軸で。
日露戦争で「不死身の杉元」という異名を得た杉元佐一が主人公。ひょんなことで出逢ったアイヌの少女アシリパと杉元はこのゴールデンカムイをめぐる運命の戦いに参加していきます。
何しろ凄いのがクリフハンガーにつぐクリフハンガーのバトル展開、全く息もつかせない!ここにアシリパが語るアイヌの神話やアイヌの工芸、アイヌのグルメたちに「ヒンナヒンナ(美味しい美味しい)」等のアイヌ語、そしてアイヌ伝統の暮らしぶりの描写が絡まってエンタメの極致のような物語が劇走していきます。
脱獄囚たちもクセの強い剛の変態者ばかりでそれらの強烈なキャラが物語を加速させて。そこに複数の集団が時に敵となり時に味方となり物語を回転させて、北海道というドデカイ大地で骨太な物語がガンガン進んでいきそのテンションは最終局面でクライマックスを迎えて!この汲めども尽きぬ歓びのある漫画を一気に飲み干してしまいました。
バトルにグルメに策謀、面白いとこを凝縮したような筆致に惚れ惚れして。また杉元のキャラが結構可愛らしさを押し出した性格描写があったり、あるいは男の裸相撲がサービスシーンになっていたり、今ならではの感性で最高に面白い漫画が描かれているのだなぁとも感心して。伏線もガンガン明かされていく展開のスピード感がとてつもない快楽速度を物語としてあらわして。すべての登場人物が己の生命を燃やし尽くして生きた証を打ち立てている…!
そして今朝のヤンジャンで最終回。果たして登場人物たちの生死は…?とここ数日はハラハラドキドキしっぱなしで、ネタバレを踏むのが怖くて昨日なんかはあまりネットが見れませんでしたw10:00に最終回がWeb公開になるのを待ちきれずヤンジャン本誌をひっさしぶりに買ってしまったw私はこの1週間弱の読書体験でしたが、この心臓バクバクのスリリングさを7年以上にわたって連載を味わってきたヤンジャン読者の方々の感慨は想像も尽きません。漫画誌を購読していると生活の中にとんでもないハラハラがあるのだなぁと◎
これは”普段は漫画なんか読まないから”という方にも超激お薦めの熱いマンガです。全話無料公開は本日23:59までということで相当タフですが、一気読みにチャレンジされるのもアリだと想います★★★★★
(※無料公開期間が十日延長されたそうです!)
またこれを機会にアイヌ文化に興味を持たれた方は『アイヌ・北方民族の芸能』を入手されると本物のリムセやウポポが聴け、立体的にかの地で繰り広げられた物語を解することができるかと想います。

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安倍吉俊『古街 記憶回収編』『惑星ラーン ゲームプレイヤー編:01』物語世界の新芽のオリジナル同人の魅力 http://kamomelog.exblog.jp/32351106/ 2021-10-23T07:44:00+09:00 2021-10-23T07:53:30+09:00 2021-10-23T07:44:07+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_07064343.jpg

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安倍吉俊さんの原画展『灰羽連盟とその周辺』で入手した『古街』という同人誌。

フルカラーで、人類が滅びかけている世界で彷徨する少女型のウツロと呼ばれる存在を主人公とした漫画が画かれていて。

大変面白くて、断片なのだけれども、此処から始まる、或いはそれ以前に存在するどこか、こういう半FPS的なネットRPGとしてシリーズされているかのような物語の大河が感ぜられて。

後書き?を読むと、そもそもこの『古街』という物語は1994-1995年には安倍先生の頭の中には存在していて、1999年、2002年にも断片が漫画として発表されていて、そして今年初めに夢で再びこの物語が再生され、そこから新しい創作が始まったとのこと。

ヒトの死体からつくられた労働体としてのウツロが、その脳内の調整を解除され旅している雪原の都市世界というだけでも物凄くわくわくしますし、時が過ぎる中で本当に私家版として紡がれる物語の流れる様にも感動を覚えました。今後も『古街』は漫画と小説で物語が画かれるそうで、できることならばまた入手していきたいなと想いました。

『古街』が余りに良すぎて、”あぁ、オリジナル同人の世界ってこんなGemがあるのか”と開眼させられ、『灰羽連盟とその周辺』展の通販で『惑星ラーン』という作品も購入してみました。

こちらは2016年発酵の漫画で、現在の我々がいるような世界の中学校の生徒の物語と、その中学生ウネというあだ名の少年がみた夢でアクセスしている母星を追われ、巨大な図書船団の中で蔵書を管理するニーウたちの物語が画かれていて。こちらも「虚霊」と呼ばれる祖先霊のような存在など、世界観にわくわくさせられました。

同人誌って、物語のプロトタイプというか、世界観・設定の魅力が物凄く詰まっているのだなと。それも新芽の魅力と言うか、こちらの脳内でも作品世界が広がっていく感覚。漫画や小説としてこの物語が完結する様を想像するのも楽しいですし、『灰羽連盟』のようにアニメ化されることで全貌を観ることが出来るなんてのはドリームだななどとも想いました。いやぁ~この歳ですが、コミケやコミティアで同人誌買いたくなってきたw
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安倍吉俊『オールドホームの灰羽達』via原画展『灰羽連盟とその周辺』 そして『灰羽連盟』 http://kamomelog.exblog.jp/32345244/ 2021-10-19T21:42:00+09:00 2021-10-23T07:45:33+09:00 2021-10-19T21:42:16+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_21223825.jpg

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今夏に開かれた安倍吉俊先生の原画展『灰羽連盟とその周辺』COVID-19が拡大する中で私は整理券に並ぶのは諦め、公式サイトでのハイライト仮想VIEWで愉しむこととし、けれども物販だけは整理券無しでいけるとのことでしたので、神田の会場へ訪ね、『オールドホームの灰羽達』1巻・2巻を買い求めることが出来ました。

この同人誌『オールドホームの灰羽達』が元となって創られた『灰羽連盟』というアニメ作品は、私がリアルタイムで嵌った数少ないアニメで、その落ち着いたダークな雰囲気が私はとても好きで、ことあるごとに思い返したりもしていて。そういう思い入れのある作品でしたので、原画展は出来ることならば観たかったのですが、8月の感染状況の中ではあれがベストな選択だったと想うことにしています。

安倍先生自身の筆で画かれたラッカ達は、すごくさりげない、気の置けない雰囲気と抜けが合って非常に楽しめる内容でした。原作はこういう形だったのだなぁと感慨深くて。

そしてさらに、今(2021年10月24日まで)Gyaoにて『灰羽連盟』が配信されていて。おかげで十数年ぶりにあの世界を改めて観ることが出来ました。

『オールドホームの灰羽達』は『灰羽連盟』全13話の中では始まりのエピソードに過ぎなくて。久方ぶりに視聴していて最初は”あぁ、何とも心地よい空気だ。「かわいい子が可愛いことをする」日常系アニメの走りだったのかな”なんても想ったのですが、死の影の濃いこの作品は、物語が進むにつれてただカワイイだけではなくて、灰羽達の別離と主人公ラッカの、胎内くぐりの先の成長がじっくりと描かれて。『オールドホームの灰羽達』にはまだ登場しないトーガや話師といった存在のヴィジュアルイメージや、レキの精神性、灰羽達の心模様と言い、心を打つアニメでした。”あぁそういえば「過ぎ越しの祭り」を知ったのも灰羽連盟だったな”なんて想ったり。大変楽しい体験となりました。

いつかまた安倍先生の原画展が開かれたら、その時こそ満を持して万難を排し馳せ参じたいです。素晴らしい作品を生んでくださった安倍先生とアニメスタッフに感謝・多謝を。

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大山海『奈良へ』 とてつもないことは特に起こらないけれど、生きにくい世の中のうだつのあがらなさが生々しく描かれた佳作 http://kamomelog.exblog.jp/32249939/ 2021-08-02T03:32:00+09:00 2021-08-02T03:49:57+09:00 2021-08-02T03:32:51+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_03133550.jpgTwitterで町田康が激賞していることを知り、大山海の『奈良へ』を読みました。

東京で、うだつのあがらない生活をしている漫画家である小山は、郷里の奈良へ帰る。経済の論理と権力構造の東京とは異なり、奈良ではヤンキーたちの、暴力や原始的な原理で人間生活が回っている。奈良でも生きにくい者たちが多数描かれ、「大仏マン」は拳銃を手に入れ『奈良崩壊』と演説する。

小山は編集者とやりあった末、王道の漫画を描こうとファンタジーものを書き始める。勇者たちはオークを化け物として殺していくが、航海士のハインはオークに人間らしい情を寄せ、結果自分も無残に勇者にいじめられる。ここでは力とルックスがすべての世界。

東京、奈良、ファンタジー世界、この3つがいつのまにか繋がって、結果として何かがパキっと解決するわけでもないのだけれども、生きにくさを感じている者たちの、その生の心地悪さがズボっと描かれて、提示される話でした。

この作者の画の表現で印象的なのは、歯茎を剥きだしでニカっと尖った歯を見せる表情。弱者として描かれる小山やハインも、自分より暴力的に強い男には歯向かえないが、己より弱い女性には力を行使する卑怯さも描かれて、強者、弱者に限らず、その暴力性の象徴として歯茎剥き出しの尖った歯が印象的でした。

まぁ私自身の経験的な知見でも、特に学生の頃なんてのは、男は牙と言うか他者に勝る、マウンティングしてよりヒエラルキーの上にいないと女子なんてのは見向きもしないもので。他者を傷つけずに自分を嗤って笑いを取っていたって、そんな者に価値はないと、まぁ所詮女子大生くらいの餓鬼度じゃそんなものでしょう。地元のコミュニティもヤンキーみたいな女ばかりで、なんというか今となってはあぁいうのとは関わりにならないのが吉だなと想うところです。かといってバリキャリにもなれない自分は、この何とももにょる空気の漫画にミョーな共感を覚えたものでした。

とてつもないことは別に起こらないのだけれども、ミョーな読後感を残す佳作でした。
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『つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む』夢現の狭間にある性愛のおどろおどろしい幻日常 http://kamomelog.exblog.jp/32244247/ 2021-07-29T00:28:00+09:00 2021-08-01T00:42:29+09:00 2021-07-29T00:28:55+09:00 wavesll 漫画 _c0002171_00085580.jpg
つげ義春、その名はさんざん聴いていて、『ねじ式』の最初の「まさかこんな所にメメクラゲがいるとは思わなかった」というコマなんかは生原稿もみているし、眼科の看板のシーンは台南の風景が元ネタなんてトリビアまで知ってるのに、これまで読んだことがなかったのでした。

で、今回ちくまから出ている『つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む』を読んで。
本書は『ねじ式』に代表される夢の情景を描いたような作品群と、漫画家である夫と妻の生活を描いた作品群で構成されているのですが、思った以上にセクシュアルな内容で最初はちょっと面喰いました。

芸術性が高く評価されるつげ作品。『ねじ式』の何とも言えないおどろおどろしさ、それは『ゲンセンカン主人』でもそうですし、ガロ系というのかな?昭和の、なんとも饐えた匂いと共に情念が渦巻く日本に通底する情景をみることができたというか、今、表面的にはすらっと綺麗だけれども、時に何とも薄っぺらくみえもする令和の日本にはない闇の肋骨をみるような思いがしました。

性愛描写、それも完全に男のダメなところが如実に表れているような性的描写も、半ば強姦の様なシーンはそれこそ今だったら拒絶されていたかもしれないけれども、昭和の汗ばんだ時代のおどろおどろしくなりながらどこか強かさもある白黒の闇の表出としては必要なものであって、今の価値観で断罪するのは不適格なのだろうと想います。

「外のふくらみ」のような、本当に夢の何気ないアイディアを膨らましたような話のセンスはちょっと惚れ惚れしました。また日常の何でもない事なのだけれどもちょっとした逸話になるというバランス感覚で「日の戯れ」なんかのエピソード・チョイスも素晴らしかったです。

こうしたアングラ的な空気はどうしてもあの時代でないと発せられないものだったのかなぁとも。ちょっとガロ系、蛭子さんや根本さんなんかも掘りたくなりました。
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テラフォーマーズ―バトルロワイヤル、エヴァ―ナウシカ。連綿と紡がれる物語の日々 http://kamomelog.exblog.jp/24257091/ 2015-06-14T16:47:00+09:00 2015-06-15T00:01:20+09:00 2015-06-14T16:47:43+09:00 wavesll 漫画

金曜の晩、ふと思い立ち、地元の漫画喫茶で深夜6時間パックで『テラフォーマーズ』を一気読みしました。火星に繁殖したヒト大のゴキブリと、昆虫の力を身に付けた人間たちの戦い。いやー、これが痛快無比に面白かった。

この面白さってあれに似ているなと想ったのは、初めて小説『バトルロワイヤル』を読んだ時。次から次へと新能力を持ったキャラが出てきて、生き死にのスリリングが描かれる。戦闘そのものの面白さ、火星へ送られる人たちはもはやそれ以外に逃げ場のない人間が多く、後がない状況で純粋に、任務遂行の為に命を懸けるところが痛快でした。

地球での世界各国首脳による政治戦は『沈黙の艦隊』を思わせ、昆虫の力を使う能力バトルは『ハンターハンター』のキメラアントを思わせる。集団バトルは『GANTZ』っぽくもあるかな。何より、一気読みしたのも作用したのか、このクライマックスの波状はドラマ24みたいだと思いました。そういった数々の作品のいい処の合成獣として、面白さがブチ上がった作品だなぁと思いました。

この年になると"良い作品"をみても過去作を想起してしまうことが多くあります。例えばチラ見した『妖怪ウォッチ』は、ポケモンというよりはドラえもん的な面白さを感じたし、『テラフォーマーズ』も上記したような様々な作品を想起させます。でも、それっていうのは何も悪いことではなくて、人間、10年前も、100年前も、1000年前も人間で、"面白いと感じる要素"は変わってないわけです。
先人が生み出したメソッドを土台に改善・創新していくことで、今の時代に合わせた作品が作られていくのでしょう。F先生だって、高見先生だってきっと素材となった元ネタは(漫画でなかったにしろ)あって、そこから膨らませていったのでしょう。

そして、昨日、朝方家帰って寝て、昼起きたらブックオフへ何かないかと立ち読みしに行ってしまいましたwひっさびさにマンガ読んだせいで一気に漫画づいてしまったんですw

貞本エヴァの読んでなかった部分を読み切り、あぁ、これで俺の中でエヴァは完結しきったなぁ、2015年に終われて良かったよかったなんて想った後、手を付けたのは宮崎駿『風の谷のナウシカ』。これが圧倒的な作品でした。

ここで『テラフォーマーズ』の話に少し戻りますが、これだけ話題になってたのに手を付けていなかったのはどうも絵柄が苦手な部類というのと、実際読んで思ったのですが、キャラの書き分けがイマイチ良く分からなかった部分があるかもしれません。そして実は『ナウシカ』もその細密な描写と書き分けが良く分からないキャラ描写がどうも苦手で、何度か漫喫で読もうとしては止めていたのです。今回ようやく読めるようになったのは、逆に最近漫画を余りよんでなかった分、漫画の面白さが新鮮で拘りなく読めたのと、歳を重ねて楽しめる範囲が広がったのかもしれません。

『ナウシカ』で描かれる戦争は、古典に描かれるような正調の戦争描写でした。自分が読んだ作品の中だと、『坂の上の雲』にも通じるような、矍鑠として誇りある尊敬できる年上の人物が出てくる戦争ものといった具合でしょうか。環境の腐敗、家族間での軋轢、そして脅かされる市井の人々、、、戦火の恐ろしさと、人間の清濁、そして社会が描かれていたのも印象的でした。

印象的なセリフに「苦悩の深さが、精神の深さだ」というようなものがありました。なるほどなぁと想うと共に、確かに『バトルロワイヤル』や『テラフォーマーズ』には"そうせざるを得ない戦"は描かれていても、そこに迷いはなく、最後は戦闘に純化していく姿が描かれていたなぁと思いました。単純と言っては憚りがありますが、戦争の現場で単純化される人間性を娯楽として見せすぎというか、ここに何らかの哲学を持った魅力ある敵キャラや、"正義"の方に"迷い"を描ければ、更なる名作になるかもなぁと思いました。”人間社会の玄妙さが失われるドラスティックな改革”に対して迷いを今自分が持っているという事もあるかもしれませんが現実に対立する敵が怪物である限り、自らも怪物へトランスフォームさせなければ闘えないと知りながらも、圧政者によって自由を失ってしまう。。難しい所です。

そう、"自由意志こそが本当に守るべきもので,生ぬるく意思のない平和ならば、対立や戦火があっても生きる意志のある方がましだ”という宮崎駿の強烈な思想を『ナウシカ』からは感じました。一種の楽園を拒絶する姿勢は、戦闘的ですらあります。この思想はシンジが人類補完計画を拒絶するという形で次代へ受け継がれましたね。

映画版『ナウシカ』は原作全7巻の1,2巻しか描けてないというのは本当で、その後の描写も描いてほしいなぁ友思っていたのですが、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を思わせるシーンがそこかしこに合って、あぁ、こうして自分の原点を繋いで行ったのだなぁと思いました。そして『ナウシカ』自体も『オデュッセウス』の登場人物から着想を得たと。連綿と続く物語の日々を享受するために、改めて最新作と古典双方をDigっていく必要があるなぁなんても思いましたが、最後に今回こんなに漫画を愉しめたのは、勿論作品が面白かったのもありますが、久々にマンガ自体に触れた新鮮味もあると思います。

実際『テラフォーマーズ』は今は掲示板なんかでは「終わりつつある漫画」とされているようです。同じ刺激には飽きてしまいますからね。本当は演者だって、娯楽に餓えてる客に提供する方が意義深く感じるんじゃないかって想います。エンターテイメントで脳内麻薬出すこと、単なる消費に意味を見出そうとすると、シシュポスのような虚無に囚われそうになる。ましてやその刺激に飽きてしまっているのにまだ噛み締めようとする文句タラタラの客の為に書くことには、そして読んでいる方も幸せではないでしょう。

しかしそんな行為に意味があるとすれば、"本当に欲してる人に届けるために"産業を成り立たせる糧になっているということでしょうか。客として、あるエンタメに飽きたら無理しないで別のエンタメに行ったり、或いはエンタメ刺激を絶って、飢餓を得ることを望むと共に、今の文化生産者の夢のない経済状況を聴く限りでは、文化を支える人もまた文化人なのだなと想ったりもしました。]]>

ピューと吹く!ジャガー http://kamomelog.exblog.jp/4540707/ 2006-09-12T11:30:18+09:00 2006-09-12T11:30:18+09:00 2006-09-12T11:30:18+09:00 wavesll 漫画 「わかる」と「わからない」の境目を滑降し続けるコミックス。
題材があまりに世俗的で、文化的共通体験に根ざしたものだからお子様にも安心してお勧めできます。
どこまでフリーキーにやれるのかってのはシュール漫画の永遠の課題だといえるけれども、うすた先生は間違いなく偉大なる現代のトップランナーのひとりだろう。]]> 軍鶏 http://kamomelog.exblog.jp/4540704/ 2006-09-12T11:29:39+09:00 2006-09-12T11:29:39+09:00 2006-09-12T11:29:39+09:00 wavesll 漫画 闇の中で煌く虹。空手。己。拳。
殺意と殺意が交差する。
ナルシマリョウが堕ちていく闇は、あまりに深い。
その中で悦ぶ様にもがく姿はあまりに美しい。]]> クレヨンしんちゃん http://kamomelog.exblog.jp/4540699/ 2006-09-12T11:29:04+09:00 2006-09-12T11:29:04+09:00 2006-09-12T11:29:04+09:00 wavesll 漫画 春日部市の怪物、現代社会の申し子、チョコビ大好きのはらしんのすけの生態を描いた漫画。
さすがアクションに連載されていただけあって、天真爛漫に毒を振りまくセンスは爆笑モノ。
それでいて、時には泣ける親子エピソードも盛り込んであるっていうんだから奥さん買うしかないですよコレ。
ごろ寝のお供にどうぞ。]]> NHKにようこそ! http://kamomelog.exblog.jp/4540695/ 2006-09-12T11:28:27+09:00 2006-09-12T11:28:27+09:00 2006-09-12T11:28:27+09:00 wavesll 漫画 良質なアニメ番組を作り続けているNHKは悪の秘密結社「日本ひきこもり協会」だったのだ!踊るひっきー駄目人間がエロゲ製作を武器に自らの人生と向き合う!

原作の暗さは取り除かれ、明るくお色気も入り、楽しい出来になっている。しかしにじみでる廃人生活の実感が、作品にコントラストを与え、更にいい味が出ている。

巻末のエロゲプロットが必死な感じが良く出ていて二重丸。]]>

サトラレ http://kamomelog.exblog.jp/4540692/ 2006-09-12T11:27:43+09:00 2006-09-12T11:27:43+09:00 2006-09-12T11:27:43+09:00 wavesll 漫画 自分の考えていることが相手に伝わってしまう代わりに、天才的な頭脳を持っている「サトラレ」と、彼らを取り巻く社会環境を描いた作品。
細かいところに演出のこだわりが散見され、「ありそう」と思わせる出来になっている。
たぶん誰もが「俺って実はサトラレなんじゃないか」とか思って「周りのヤツ、俺は知ってんだぞ」とか心の中でつぶやいたことがあるはず。
非常に人間くさい部分が良くかけていて楽しい。]]> 漂流教室 http://kamomelog.exblog.jp/4540690/ 2006-09-12T11:27:04+09:00 2006-09-12T11:27:04+09:00 2006-09-12T11:27:04+09:00 wavesll 漫画 ある日突然小学校が異空間へ漂流してしまった!子供達、大人、そして人間の残酷さ、醜さ、恐怖が表出する!

異次元の漫画。ぐいぐい飲み込まれて、気がついたら読み終わっていた。

絶望と希望が交差するラストに救いを感じた。]]>

オールド・ボーイ http://kamomelog.exblog.jp/4540684/ 2006-09-12T11:26:24+09:00 2006-09-12T11:26:24+09:00 2006-09-12T11:26:24+09:00 wavesll 漫画 強烈な自我を持った者同士の戦争を通して描かれる澄み切った智と精神の物語。
極めて哲学的にアウトサイダーの苦悩が浮き彫りになっており、読んでいて感じるものは愛だ。
愛は人を弱くする。愛は人を強くする。
極めて合理的に物語は終わるが、根底に流れる精神は愛の希求だった。]]> シグルイ http://kamomelog.exblog.jp/4540683/ 2006-09-12T11:25:39+09:00 2006-09-12T11:25:39+09:00 2006-09-12T11:25:39+09:00 wavesll 漫画 隻腕の剣士と盲目の剣士が将軍の眼前で果たしあう様から始まるこの物語は、異形の死狂い達の情念の炎が燃え盛っている。
一つ一つの動作に意味があるように、一つ一つのコマからあふれ出る「意味」は、読む者の血を沸騰させるに十分な迫力だ。読むべし。]]> https://www.excite.co.jp/ https://www.exblog.jp/ https://ssl2.excite.co.jp/