ホームレスのための三輪車一体型ワンルーム移動住宅が開発される。 (original) (raw)
image credit:Ryan Donais / Tiny Tiny Homes
ホームレス問題は各国の課題だが、カナダで兄弟がホームレスになったことをきっかけにある男性が作り始めた三輪車と一体型の極小住宅が話題になっている。
ホームレスの人々のテント村が急増中のトロントで、建設業界で働くライアンさんが自転車の要領で自力移動できる「タイニータイニーホーム(とても小さな家)」を製作。その目標は、人々に安全で快適な住まいを提供すること。
初めてわずか数カ月でプロトタイプを完成させ、本格的な活動を始めたライアンさんによる小さな家を見てみよう。
これはホームレスのみならず、災害などで家を失くしてしまった人にも役に立ちそうだ。
移動できるとても小さな家「タイニータイニーホーム」
カナダのトロントで施工管理者として働くライアン・ドナイスさんは、テント暮らしで不健康な環境から人々を救うため、小さな家の製作に取り組んでいる。
それがこちらの「タイニータイニーホーム」。三輪自転車と一体型で、自力で漕いで移動できる小さな家だ。
image credit:Ryan Donais / Tiny Tiny Homes
素材はガラス繊維の強化プラスチックで、断熱性、耐候性、防水性をもつ。
内装は、組み立てるとベッドになるソファのほか、デスクや小さなシンクもあり、私物がしまえる収納のほか、簡易トイレも用意されている。
image credit:Ryan Donais / Tiny Tiny Homes
テントと違い、窓とドアがありプライバシーを確保できるだけでなく、ソーラーパワーで機能するライトやファンで快適に過ごせるようになっている。
“I am creating small homes to end rough sleeping after my brother became homeless” | SWNS
製作のきっかけはホームレスになった兄弟
ライアンさんは、兄弟が20年間依存症に苦しんだ末にホームレスになったことをきっかけに、このプロジェクトを立ち上げた。
といっても、5年前ホームレスになった兄弟との関係は、今もほとんど疎遠に近い。直接会話もできず、母を通じて近況を知る程度だ。それでもライアンさんはテント暮らしの兄弟を気にかけている。
同様に住まいに不安を抱える人たちにも、安全で快適な住まいを提供したい。そうした思いを胸に、タイニータイニーホームの製作に取り組んでいる。
タイニータイニーホームのシャーシ部分 mage credit:Ryan Donais / Tiny Tiny Homes
一人で作業するライアンさん mage credit:Ryan Donais / Tiny Tiny Homes
最初の試作を2か月で完成させ、近ごろ2つめのユニット完成にもこぎつけたライアンさん。これでプロジェクトを公式の非営利団体として登録できたという。
インスタグラムでは試作品をテント村に運んだ様子も公開。
希望は政府のホームレスへの取り組み支援
ライアンさんのもう一つの目標は、この小さな家が、政府によるホームレス問題への取り組みの支援になること。
実はトロントではホームレスの人々のテント村が急増中で、このタイニータイニーホームが役立つことを望んでいるそうだ。
インスタグラムより、試作品をテント村に運んだ様子 image credit:@tinytinyhomestoronto/instagram
一方でライアンさんは、この家のプロジェクトの進捗をソーシャルメディアで共有することで、必要な資金を集めている。
ホームレスの暮らしを変えたい一心で、最初のモデルは自費で作りました。
それ以後は、材料を(大量)購入するために GoFundMe で資金を調達しています。目標額は生産規模の拡大に必要な10 万ドル(約1,420万円)です。
ちなみに今の時点でユニット 1 台あたりの製作コストは約5000 ドル(約71万円)です(労働コストは含めず)
極小の家を生活の安定までのステップに
家族のホームレス化がきっかけで誕生したこの移動型の小さな家が、テント村の人々にどんな変化をもたらすかも気になるところ。
ライアンさんは、このプロジェクトが、ホームレス問題の一時しのぎで終わるのではなく、それぞれの人が安定した生活を取り戻すステップになることを願っている。
References: I’m Creating Tiny Homes to End Sleeping on the Street After My Brother Became Homeless