【lecture】2024-07-07(日)どう止める?「バケツ放流」【ううむ】 (original) (raw)

2024-08-25タイトル微修正。講座なのでsymposiumでなくlectureでしたね。

日本魚類学会市民公開講座
どう止める?「バケツ放流」

-自己満足な放流で魚たちを減らさないために-

【日時】2024(令和6)年7月7日(日) 13:00 - 17:30

オンライン開催(Zoomウェビナーを利用)

コンビーナー:

北川忠生(近畿大学)・中井克樹(滋賀県立琵琶湖博物館

【開催趣旨】(案内より)

我が国では今日,環境保護へ貢献したい,好きな魚を増やしたい,生き物の命を大切にしたい,遊漁などのビジネスを充実させたい,地域の伝統・文化を守りたいなど,さまざまな思いから魚の放流が行われ,そうした放流にはいろいろな在来淡水魚も用いられている.しかし魚の放流には,生態的あるいは遺伝的な撹乱など,生物多様性への悪影響を招く場合のあることが科学的にも相次いで実証され始めている.深刻な影響をもたらすことが広く知られたブラックバスなどの国外起源の外来魚だけでなく,国内起源の在来魚であっても,不適切な方法による放流が目的とは逆に魚を減少させるなど思いがけない悪影響を引き起こすことにもなりかねない.
日本魚類学会はこれまで,国外起源の外来魚だけでなく,国内起源の外来種や改良品種起源の「第3の外来種」など,様々な放流がもたらす問題点について社会へ警鐘を鳴らしてきた.最近では,放流が外来種問題を引き起こす一因であることが広く認識され始め,SNS上での反応やマスコミの報道なども,放流の美化・擁護から,それらの問題を指摘する内容に転換するなど,社会の認識も変わりつつある.
在来魚の意図的な放流は,バケツ一杯でできる程度に規模が小さく気軽にできるものが多く,個人や小団体,また子供からシニア世代の幅広い主体による実行が可能であるため,今回は「バケツ放流」という言葉で表現する.バケツ放流の多くは,産業や政策などとの関わりが小さく,その問題解決に社会的構造の変化や大規模なインフラコストを要しないことから,人々の意識や行動の転換をもたらすよう,社会啓発によって改善できるものがほとんどである.バケツ放流の問題を解決することは,より複雑で大規模な外来種問題への対応の入口として,社会的全体の問題意識の醸成をうながすことにもつながる.そのためにも,専門家は一般市民に寄り添った対応を進め,この変化をよりいっそう加速していく必要がある.
本市民講座では,メダカの品種改良の流行とそれらの野外での発見や,在来種のほとんどが絶滅危惧状態にあるタナゴの放流など,現在,バケツ放流で起きている問題をあらためて紹介するとともに,改善に向けた取組み事例を紹介し,市民への働きかけの仕方などを共有し,本問題の解決方法を議論する機会としたい.

【プログラム】

開会挨拶 井口恵一朗(日本魚類学会長・長崎大学

趣旨説明 北川忠生(日本魚類学会自然保護委員会・近畿大学

第一部:「バケツ放流」とその問題

講演1:タナゴ釣りのためのタナゴ放流の実態 熊谷正裕(土浦の自然を守る会)

講演2:タナゴ放流がもたらす種間の交雑と遺伝子浸透 畑 啓生(愛媛大学

講演3:放流されている多様な鑑賞用改良品種 堀江真子(世界淡水魚園水族館

講演4:キタノメダカの模式産地で改良品種メダカ発見 -研究者たちとの迅速な連携対応- 藤野勇馬(NPO法人中池見ねっと)

講演5:オヤニラミの国内外来分布域と移入の歴史 伊藤 玄(龍谷大学生物多様性科学研究センター)

講演6:神奈川県における西日本産淡水魚の急激な分布拡大 -カワムツ、ドンコ,ムギツクなど- 勝呂尚之(かながわ淡水魚復元研究会)

休憩

第二部:どう止める?「バケツ放流」

講演7:販売店から見た改良品種メダカ放流禁止の社会啓発活動と実績 大場貴保(メダカの館)

講演8:橿原市昆虫館における地元の在来メダカを使った教材化について 辻本 始(橿原市昆虫館)

講演9:宗教行事「放生会」におけるキンギョ放流の見直し 北川忠生(近畿大学

講演10:放流イベントを建設的・友好的に見直すために心掛けたこと -サクラマスの事例から- 長谷川功(資源研さけます)

講演11:市民によるサケ保全活動の変遷 -稚魚放流から河川環境の改善へ- 有賀 望(豊平川さけ科学館)

休憩

第三部:パネルディスカッション 「バケツ放流」は止められるのか?

・コーディネーター:中井克樹(滋賀県立琵琶湖博物館
・パネリスト:講演者
・コメンテーター:黒瀬総一郎(NHK札幌放送局

総括コメント・閉会挨拶 森 誠一(日本魚類学会自然保護委員長・岐阜協立大学)

【主 催】

日本魚類学会

参加者400名を超えていたそう。

【感想】

きょうび水産業も、持続可能なものでないといかんと考えるのだが。

極論すると、なにも手をうたなかったら放流種苗の遺伝資源も観賞魚の遺伝資源もなくなるよ。おおもとは自然由来やでね。

【おまけ】

> 公開シンポジウムのお知らせ

www.fish-isj.jp(参照 2024-07-07)