【和欣客運】台北→高雄 白金臥艙 乗車記【高速バス】 (original) (raw)

台湾で都市間移動をする際、意外と利用頻度の高いのが高速バスだと思っています。今回、数ある高速バス事業者の中でもサービス品質が高いとされる和欣客運の台北ー高雄線に乗車してきましたので、その様子をお伝えします。

介風見聞録にお越しくださり、ありがとうございます。介(すけ)です。

台湾では1978年に中山高速道路(国道1号)が開通すると、南北の移動需要が高まって高速バスが発達し、各社が速さと安さを競うようになりました。

その中で特に快適性を追求していると思われるのがこの「和欣客運」です。台北ー台南・高雄線で2列シートの「總統椅子」(総統シート)を提供し、寝ていれば目的地に着くという素晴らしさを実現しています。

【和欣客運とは】

和欣客運の台北ー台南・高雄線

設立は1999年。台北-台中・新営・台南・高雄、板橋-新営・台南・高雄、台中-嘉義-新営・高雄などを結んでいます。主力路線は台北-台南線で、2列シート、3列シートのバスが24時間運行されています。今回乗車した台北ー高雄線も24時間運行ですが、基本的には2列シートのバスだけが走っています。

で、この台北ー高雄線がとてもユニークな路線で、実は2024年まで正式な営業免許の取得が叶わず、台南市の新営で車両交換をして、台北-新営、新営-高雄の2つの路線を1つの路線として扱って営業するという、法の抜け穴をついたグレー運行をしていたんです。が、2023年に日本人旅行者にもよく知られていた「アロハ(阿羅哈)客運」が高速バス事業から撤退すると、ようやく営業免許を取得。乗り換えが不要となりました。

ただ、板橋ー高雄線は現在でも原則乗り換えが必要なままとなっています。

今回の運賃は760元。安い時間帯なら660元で乗車できます。競合の統聯客運は3列シートで550~590元。台鉄の自強号は843元。高鉄は1415元。時間はかかるものの、2列シートで高鉄の半額程度という安さは魅力的です。

【ほぼ寝そべった状態で移動できる快適さが嬉しい】

今回乗車したのは台北バスステーション(台北轉運站)を日曜日の午前6時05分に出発する便。途中、三重(新北市)、新竹、新営、楠梓(高雄市)を経由します。

台北メトロの始発は6時なので、まだこの時間は人もまばらで、気だるい雰囲気が漂います。

そんな中でバスは定刻通りに出発。運転手さんがニコニコ丁寧に出迎えてくれました。

台北出発の時点での乗客は僕を含めわずか4人。18分に三重から1人が乗り込みました。

で、座席ですが、幅も前もゆったり広々。リクライニングを倒しても後ろの席に影響しないので、余計な気遣いがいりません。もちろん航空機や高鉄、他の高速バス会社を上回る角度で倒せるので、快適。そして飛行機と違って乗車後すぐに寝る体勢が取れるのは非常に素晴らしいと思います。

リクライニングを完全に倒した状況

座面とヘッドレストの部分は程よくフカフカな一方、背中の部分は若干硬めでしっかり体を支えてくれます。

テーブルはちょっと不思議なデザイン。揺れが大きいから物が落ちないようにする配慮したデザインなんですかね。

リクライニングは肘掛けの操作板で。中国語字幕ですが映画も見られます。

三重を出発すると自動音声アナウンスが流れ、途中バス停の案内と注意事項の説明。中国語のみですが、他社が自動合成音声だったり、運転手さんのゴニョゴニョした肉声アナウンスだったりに比べるとはっきり聞き取れるのは新鮮。

ちなみに高速道路を走行中は消灯するので、ずっと明るいままの鉄道と比べて休息が妨げられません。とはいえ携帯電話の使用も自由なので、思い思いの時間を過ごせます。

そんな快適空間なので、朝食用に準備していたパンを食べたらすぐに眠りについていました。

途中照明が着いて目を覚ますと新竹に到着。数人が乗車し、乗車率が50%程度に。

その後は再びぐっすりと寝て、9時20分ごろ、車両交換がいらなくなった新営に到着。降りる人もいる一方で乗車する人も数人。台南ー高雄間の短距離移動をする人もぼちぼちいるんですね。

車両交換をしていた頃には10分くらい休憩時間があったように覚えているんですが、この日は5分も経たずに出発。乗客の負担が減ったことは本当に喜ばしい限りです。

その後楠梓で再び客扱い。10時すぎに高雄メトロのオレンジラインに乗り換えられる捷運苓雅運動園區站(乗車時は捷運技擊館站でしたが、メトロの駅名変更に伴い9月6日からバス停名も変更)に到着しました。

ここで乗客の大半が下車。高雄の交差点は意外と信号待ちの時間が長く、ここから高雄駅までそこそこ時間がかかりました。 もし高雄駅で台鉄や別のバスに乗り換えるなどの理由がなく、目的地が高雄市内にある場合は、ここで下車することをお勧めします。

10時35分に終点の建国バス停に到着。高雄駅の目の前です。

建て替え工事の進む高雄駅。久しぶりに来ると浦島太郎状態。

台北から高雄まで4時間30分の旅。乗車時間が絶妙に短く、夜行バスでホテル代を浮かす目的での利用はお勧めしませんが、安く、快適に移動できるので、あえて和欣客運を選ぶのは十分にありだと思います。昼行便なら沿道の風景も楽しめる高速バス、ぜひ賢く利用してくださいね。

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