ヒグのサッカー分析ブログ (original) (raw)

さて、今回はレノファ山口FC戦を振り返ります。

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スタメン

ベガルタ仙台は、前節・ヴァンフォーレ甲府と2-2のドロー。最終盤までリードしていたもののラストプレーのフリーキックで追いつかれ、あまりにも悔しい引き分けに終わった。ただし、内容は上向き始めており、あとは結果を伴うことで自信を深めたいところ。今節はレノファ山口FCとのプレーオフ争い直接対決だけに絶対に負けられない一戦となった。

仙台は、前節と同様の11人をスタメンに選んだ。ベンチには怪我から戻ってきた小畑、石尾がメンバー入り。また松下も前節から代わって名を連ねている。

一方のレノファ山口FCは、前節・ジェフユナイテッド市原・千葉に1-4の敗戦で現在4連敗中。またミッドウィークに行われた天皇杯準々決勝・横浜Fマリノス戦でも1-5の敗戦と、ここ数試合は失点も多く、苦しい時期を過ごしている。また追い打ちを掛けるように、主力でありキャプテンの河野が千葉戦で膝の大怪我を負って戦線離脱。

前節の敗戦でプレーオフ圏外に落ちて、逃げる立場から追う立場へと変わった山口は、ここで同じプレーオフ争いのライバルである仙台を倒して、再び浮上していきたい一戦だ。

山口は、平瀬が出場停止。代わりに夏にカターレ富山から加入した下堂が起用された。また、天皇杯に出場した佐藤、吉岡、奥山、末永らもスタメンに名を連ねた。ベンチには前節ゴールを決めている酒井や若月、野寄などのアタッカー陣が控えている。

前半

(1)不確定要素の多いコンディションで

この試合は、山口のホームゲームではあるが、いつもの維新みらいふスタジアムではなく、年に1度の下関開催だった。

会場となったセービング陸上競技場は、芝の状態も良くなく、また土も固いことに加えて試合前、ハーフタイムには散水を実施しなかったこともあり、かなりボコボコの状態でボールコントロールするのにも苦労するコンディションとなっていた。

仙台キックオフで始まった試合だったが、さっそく奥山がロングボールを敵陣へ送り込もうとするもボールがバウンドし、浮かしてからキックしていたことからも、この日のピッチコンディションが難しいものであることが分かった。

そんな不確定要素が多いコンディションのなかで、どうしても両チームともにミスからの失点は避けたくなる。よってお互いにロングボールを前線へ送り込むシーンが多く、中盤を省略するサッカーに終始した。

そんななかで、山口は序盤は2トップを目掛けてというより、ディフェンスラインの背後を目掛けたロングボールが多かった。

徐々に仙台が背後をケアするようになると、今度はディフェンスライン手前にボールを送り込むようになる。22分には下堂がディフェンスとボランチの間に上手くロングフィードを送り、末永のシュートチャンスへ繋げた。

山口はディフェンスラインの背後と、そのセカンドボールを回収するために二列目、三列目が常に回収できるポジションに立つことで、仙台よりも素早く反応することを意識していた。特に相田や吉岡は鋭くセカンドボールに反応する場面が見られた。

対する仙台は、山口のロングボールに対して小出と菅田を中心に競り勝つことも多く、そこまで決定的な場面は作らせなかった。

しかし、前述したようにディフェンスとボランチの間にスペースが生まれるときがあり、そこへボールが入って山口に前を向かれると場面がなかったわけではない。それでも全員がアラートに守ることで、シュートまで持ち込ませないことは出来ていた。

(2)同サイド完結と逆サイドの待機

仙台も前進するときは、基本的に中山、エロンを目掛けたロングボールから二列目が回収して敵陣へ侵入していくことを狙っていた。

ただ、仙台はそれだけではなく地上戦からも前進しようと試みる。

特にこの試合は右サイド偏重の前進が多く、小出を攻撃の起点として真瀬が高い位置を取るポジショニングが目立った。そして、そこから基本的には同サイドで崩していこうとする。

ただ、仙台としてはボールサイドの圧縮して守備をする山口に対して逆サイドを使うことも狙っていた。左サイドハーフの中島は右サイドにボールがあるときは内側に入っていくのではなく、左サイドで待機していることが多かった。恐らくボールホルダーが前を向いた状態になれば、逆サイドへ展開していくことも狙っていた。

実際に松井から中島へのサイドチェンジのシーンも二度ほどあり、1つは中島が収めたものの、追い越した奥山が転んでしまい攻撃は上手くいかなかったが、あのようなシーンはもう少し作りたかったはずだ。

しかしピッチコンディションが悪く、なかなか逆サイドへ展開するシーンは作ることが出来ずに、同サイドで攻撃を完結させようとする回数の方が多かった。

仙台のチャンスシーンはコーナーキックからだった。34分からは4本連続のコーナーキックの時間帯があり、エロンと松井のヘディングシュートがあったものの、田口にセーブされ、得点を奪うことが出来なかった。

前半は、不確定要素の多いコンディションのなかで、両チームともにロングボールが増える展開となり、そのロングボールに対応しながらも、どうやってゴールを奪っていくのか思考を巡らしていた内容だった。スコアレスで後半へと折り返す。

後半

(1)石尾がもたらした安定感

仙台は、前半に頭部を痛めた菅田に代わって怪我明けの石尾がセンターバックに投入される。

緊急登板的な出場となった石尾だったが、この交代によって攻守に安定感をもたらしていた。

まず、守備では菅田ほど空中戦が強いわけではないが、それでも181㎝あるのでロングボールに対して卒なくこなしていた。また、スピードのある選手に対して、しっかり間合いを取って駆け引きしながら対応できていたのが好印象だった。

また、攻撃においても石尾がビルドアップの起点となり、右ハーフスペースへ出る小出と2トップ脇で顔を出すようになった鎌田へシンプルにボールを配球し、味方に時間とスペースを配ることでボール保持の安定にも貢献していた。

特に石尾はボールをもらうポジションが良く、深さを作ったり、もらうポジショニングを素早く変えることでサポートする態勢を整えていた。

また対角のロングフィードも精度が高く、怪我明けとは思えないパフォーマンスで緊急事態を乗り切ることが出来た。

石尾の登場によってボール保持が安定した仙台は、右偏重だった攻撃から左右へボールを振って攻撃することができた。

苦しくなったときは2トップへロングボールを送るシーンもありながら、後半は前半よりも攻撃の内容を改善することができたと思う。

(2)勝負を分けたセットプレー

一方の山口は、基本的にはロングボールによる前進は変えなかったものの、特徴であるサイドアタックからチャンスを作り出していく。

48分には敵陣でボールを奪うと、吉岡のクロスに山本が合わせるもゴール左へ逸れる。

その後、57分には佐藤と末永に代えて田邉と酒井を投入。67分には山本と奥山に代えて野寄と若月を投入し、ここまでレギュラーとして出場していたメンバーを立て続けにピッチへ送り込んだ。

一方の仙台は、62分に中山に代わって古巣対戦となる梅木を投入。71分には松井とエロンに代わって工藤とオナイウを投入する。梅木とオナイウの2トップにすることで、梅木の競ったボールにオナイウが反応するような形を狙った。

この試合での梅木は、以前と比べると空中戦で先に触ることが多く、またエロンのように収めたり、二列目、三列目に落とすようなプレーではなく、前方へ逸らすような形の競り勝ち方が多かった。決してマイボールになる回数は多くなかったが、それでもディフェンスに当たってスローインになるなど、ポイントになれることは以前にも増して多くなった。

そして、拮抗した試合はセットプレーで動くこととなる。

きっかけは小出のロングフィードに真瀬が反応し、新保との競り合いを制するとそのままペナルティエリアへ侵入。そのこぼれを工藤がミドルシュートを狙うも、ディフェンスに当たってコーナーキックとなる。

CLIP📹
🦅明治安田J2 第33節
🆚レノファ山口FC
⚪️1-0
🗓9/29 SUN 14:00
🏟️セービング陸上競技#中島元彦 ドンピシャのヘディング😍
CKで決定的なシーンを作るも相手GKのファインセーブなどに阻まれ続ける中、ついにこじ開けた決勝ゴール✨#VEGALTA #PASSION_限界を超えろ #33山口 pic.twitter.com/2A9b3jTYpZ

ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2024年9月29日

この試合、6本目となるコーナーキック。鎌田のインスイングのボールに中島がニアで合わせて仙台が先制に成功する。

鎌田曰く、あのキックはミスキックだったとのことだったが、中島が勘付いてニアへ飛び込んだことが功を奏した。加えてオナイウがヘナンをしっかり抑えて中島への対応を遅らせたのもポイントだっただろう。

1点を追う山口は、吉岡に代えて板倉を投入する。この交代のタイミングでセンターバックだった下堂を最前線へ上げてパワープレーに出る。

交代直後の77分には、相田のロングスローからこぼれ球を野寄が狙うも右ポスト直撃。さらに79分には新保のクロスに前がフリーで合わせるも、ここは林のスーパーセーブで難を逃れる。

仙台は最後の交代で中島に代えて相良を投入する。ラスト10分は相良が左ウイングバックに入る5-4-1のシステムに変更し、1点を守り切る戦いへシフトチェンジする。

その後も山口のロングボール、クロス、セットプレーなどを跳ね返した続けた仙台。前節の反省も生かしてアディショナルタイム5分も自陣でのファウルに細心の注意を払いながら、最後まで集中を切らさずに守り切り試合を終わらせた。

仙台は虎の子の1点を守り切り、4試合ぶりの勝利。勝点を55に伸ばしてプレーオフ進出に向けて一歩前進した。

最後に・・・

不確定要素の多いコンディションで、お互いに自分たちらしさを出し切れないながらも、気持ちと球際が激しくぶつかり合う試合となった。勝敗を分けたのはセットプレー。こういうコンディション、試合だからこそセットプレーを活かして勝利できたのは非常に大きい。

また、前節の悔しい引き分けもあり、この試合は前節以上にアラートに最後まで集中を切らさずに守り切ることができた。菅田が前半で退くというアクシデントもあったが、代わりに起用された石尾が役割以上の活躍を見せてくれたことも、最終盤に向けて大きな収穫となった。

とにかく勝点3が欲しい試合で、かつ6ポインターでもあったなかで勝てたことは大きい。残り5試合も簡単な相手は1つもなく、すべての試合が総力戦となる。1試合1試合、今節のような粘り強く戦う姿勢を見せられれば、自然と結果も付いてくるのではないだろうか。

次節はホームに戻ってブラウブリッツ秋田との試合となる。前半戦は敵地でスコアレスドロー。秋田特有の気候もあり、押し込まれる展開が続き、なんとかアウェイで勝点1を拾った試合だった。秋田は山口、岡山、千葉とプレーオフ争いを繰り広げているクラブを後半戦で食っている。またロングボール、セットプレーの質は非常に高く、今節以上に集中力を切らさずに守らなければならない。またタイトな守備も特徴の秋田だけに、簡単には崩せないだろう。今節同様にセットプレーを生かしたり、カウンターなどで一瞬の隙を突きたいところだ。

まずは目の前の対戦相手を倒すことに集中したい。いい戦いができれば結果は自然とついてくるはずだ。次節もとにかくハードワークして、秋田に襲い掛かっていって欲しい!!

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さて、今回はヴァンフォーレ甲府戦を振り返ります。

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スタメン

ベガルタ仙台は、前節・藤枝MYFC戦で2-3の敗戦。3失点ともに今シーズンの仙台らしくない奪われ方で、特に背後からの抜け出しで2失点したのは大きな反省点だった。攻撃では火力を上げて押し返すこともできたが、失点が重くのしかかる内容だった。

今節の相手はヴァンフォーレ甲府。前回対戦では先制したもののアダイウトンの一発で追いつかれた。前節、前々節と仙台らしいアグレッシブな戦いが鳴りを潜めているだけに、個の能力の高い甲府相手にアラートに守りながらも、アグレッシブな姿勢でゴールを奪い3試合ぶりの白星を挙げたいところだ。

今節は3人のメンバーを入れ替え。センターバックに小出、ボランチに鎌田、2トップの一角には第12節以来のスタメンとなる中山が起用された。ベンチには梅木、菅原と今節はフォワード4人がメンバー入りとなる攻撃的な編成となった。

一方のヴァンフォーレ甲府は、前節・横浜FCに0-1の敗戦。カウンターからチャンスがあったものの仕留められないと、終盤にコーナーキックから失点し敗れてしまった。

それでも大塚新監督になってからは調子は上向いており、リーグ戦では8月は4勝を挙げ、ルヴァンカップベスト8では川崎フロンターレに接戦を演じている。

1試合消化は少ないものの、プレーオフに向けて負けられない試合が続く。プレーオフ進出へ一縷の望みを掛けて仙台へ乗り込む。

甲府も3人のメンバーを入れ替え。ボランチに三沢、左ウイングバックに荒木、ワントップにピーター・ウタカが起用されている。ベンチには武富、宮崎が前節から代わって名を連ねている。

前半

(1)トランジション時の狙いどころと2トップへのフィード

試合開始時は甲府が前線へのロングボールを送り、なるべく敵陣でのプレー回数を増やそうとするところから始まり、対する仙台はそれを跳ね返しながらゲームを進める展開となった。

試合が落ち着き始めると、仙台は少しずつ前線からのプレッシングを皮切りにリズムを作り出す。群馬戦、藤枝戦では前線からのプレッシングが掛からないことが多かったが、この試合は2トップのプレスを合図にサイドハーフボランチサイドバックが人を掴まえて甲府のボール保持に襲い掛かっていった。

前節はゴールキーパーを交えて幅広いポジショニングでのボール保持を主体とする藤枝が対戦相手だったが、甲府はそこまでボール保持が得意なチームではなかったために、1人が2度追い、3度追いできればある程度パスコースを制限することに成功できた。

また、仙台はボール奪取時にどこへボールを届けるかをデザインできていた。

甲府アダイウトンを生かした左サイドの攻撃がメインとなり、右シャドーの鳥海はウタカの近くでプレーすることが多かった。よってボールを奪えれば鳥海の背後のエリア(ボランチ脇)が空いており、そこで待つ中島へボールを届けることでカウンターを発動していった。

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第32節
🆚 仙台vs甲府
🔢 1-0
⌚️ 13分
⚽️ 中山 仁斗(仙台)#Jリーグ pic.twitter.com/jHuBoOb402

— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年9月21日

先制点は、まさにその形が実ったゴールで、菅田がダイレクトで中島へ楔パスを通すと中島は間髪入れずに中山へスルーパス。中山は冷静なループシュートで今シーズン5点目を決める。

加えて仙台は雨でピッチコンディションが悪いなか、足元で繋ぐだけではなく甲府が前からプレッシングを掛けてくればシンプルに2トップへロングフィードを送ることも多かった。2トップで収められれば前進成功となり、もし収められなくても再び仙台が前線からプレッシングを掛けたり、高い位置からの守備をスタートできる算段となっていた。

試合序盤はトランジション時の狙いがハマった先制点もあり、早い段階でリードを奪ってゲームを進めていった。

(2)甲府の対応

先制された甲府は、20分すぎになると中盤の配置を変化させ仙台のやり方に対して対応し始める。

甲府ボランチだった木村がボール保持時になると左インサイドハーフの役割となり、左サイドの荒木とアダイウトンをサポートするようになる。

このことでメインだった左サイドの攻撃に人数を掛けることで左サイドからの崩しを狙った。

仙台も右サイドで人を掛けて守らざるを得なくなり、奪っても甲府の素早い切り替えをなかなか脱出することができずに狙いだった中島までボールを届けられなくなる。

また、甲府は守備時においても仙台のダブルボランチに対して圧力を強める。甲府のボール非保持は5-2-3と5-4-1を行ったり来たりするが、木村と三沢のダブルボランチは仙台のダブルボランチへの圧力を強めることで、少しずつ仙台のリズムを狂わせていく。

33分にはセカンドボールを三沢が回収しそのままミドルシュートを放ったり、35分にも荒木のクロスにファーでウタカが合わせるチャンスを迎えるも決め切ることが出来なかった。

仙台としては、なかなか奪ったボールを広いエリアへ解放できなかったり、2トップへのロングボールも時間の経過とともに収められないなどリズムが掴めなくなるが、前節の反省を活かして全員で我慢強く守ることで失点を許さなかった。

またウタカへの背後のボールも小出と菅田が集中して守ることで、前節と同じ仇を踏まないという強い意志を感じた。

前半は、仙台が幸先よく先制するも、その後は甲府も仙台のやり方に対応する形でペースを握り返して前半を終える。仙台が1点リードで後半へと折り返す。

後半

(1)電光石火の追加点と3枚替えによる変化

後半早々にスコアを動かしたのは仙台だった。

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第32節
🆚 仙台vs甲府
🔢 2-0
⌚️ 47分
⚽️ 真瀬 拓海(仙台)#Jリーグ pic.twitter.com/1HmKLB6sl9

— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年9月21日

自陣で松井が回収すると右サイドへ展開。エロンと郷家のコンビネーションで右サイドを突破し、郷家のクロスに真瀬が合わせて追加点を奪う。真瀬はこれが今シーズン初ゴール。チームとしても大きな得点となった。

追加点を奪った仙台は、再びプレッシングの出力を上げて甲府に襲い掛かりペースを明け渡さない。

ボールを保持できれば、前半よりもダブルボランチがボールに触れながらリズムを作っていく。

加えて右サイドでは真瀬が高い位置を取り、郷家が降りてビルドアップ隊をサポートするシーンも見られ、前半よりも保持を安定させながら押し込んでいく意識を感じた。

ボール保持を安定させることで、ボールを左右に振ることもでき、前半途中で消えかかっていた中島へもボールが届くようになる。

追加点後には3点目を決められるチャンスもあったが決めきれず。それでもゲームの進め方としては悪くない形で戦うことが出来ていた。

一方の甲府は62分に3枚替えを行う。三沢、アダイウトン、ウタカに代わって中山、宮崎、三平を投入する。

甲府は、前線に機動力のある三平と宮崎を投入することで前線のプレッシングを入れやすくする。

また攻撃では、鳥海、宮崎の両シャドーがシンプルにサイドバックに背後を突いていくことで次第に仙台陣内の奥深くまで侵入できるようになった。

そして68分にセットプレーから1点を返す。

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第32節
🆚 仙台vs甲府
🔢 2-1
⌚️ 68分
⚽️ 三平 和司(甲府)#Jリーグ pic.twitter.com/3LEoy4eHXm

— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年9月21日

きっかけは右サイドの深いエリアで宮崎がコーナーキックを獲得したところから。

荒木のキックに三平が合わせて1点差へ詰め寄った。

(2)ブザービート

失点直後にも鳥海に左サイドを突破されると、最後は中山にミドルシュートを放たれるが、これは林がセーブ。

少しずつ流れが甲府に傾きつつあるなかで、仙台は71分に鎌田とエロンに代えて工藤と菅原を投入する。

工藤は前節も途中投入から中盤でセカンドボールを拾い続けたが、今節も鋭い危機察知能力でセカンドボールを回収し続け、傾きつつあった甲府の流れを食い止める役割を果たしてくれた。

菅原も前線でポイントになり、しっかり競り合って五分五分の状態にしたり、収めてくれたことで終盤になっても自分たちのターンを作り出すことができた。あわよくばいいクロスが上がればというところだったが、今節はなかなかチャンスが巡って来なかった。きっとどこかで報わるはずだ。

甲府は76分に武富、82分に関口を投入する。関口の投入のタイミングで4バックへ変化させ同点を目指した。

仙台は最後の交代でカードを貰っていた松井と中島に代わって實藤と梅木を投入し逃げ切り体制を図る。

しかし、ここでアクセントが発生。投入直後に實藤が筋肉系のトラブルが起きてしまい、右サイドバックに入っていたものの真瀬を再び右サイドバックにして、菅原を右サイドハーフにする緊急配備をせざるを得なかった。

それでもアディショナルタイムに入り、なんとか6分を逃げ切ろうと全員でしぶとく守る。しかしアディショナルタイム6分が経過する直前でファウルを取られてフリーキックを与えてしまう。

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第32節
🆚 仙台vs甲府
🔢 2-2
⌚️ 90+8分
⚽️ 中山 陸(甲府)#Jリーグ pic.twitter.com/0DQljf7WUv

— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年9月21日

このフリーキックを中山が直接沈めて土壇場で同点に追いつき、このまま試合は終了となった。

仙台としてはラストプレーを守り切れればというところで失点を喫し、するりと勝点2が手からこぼれ落ちる結末となってしまった。

最後に・・・

ここ2試合鳴りを潜めていた前線のプレッシングも試合開始からしっかりでき、先制点、そして追加点を決めることもできた。1点は失ったもののその後は交代選手を含めて全員がしっかり与えられた役割をこなして十分に勝ちに値する試合が出来ていたと思う。本当に最後のところ、クロージングの部分でアクシデントもあったが、最後にチャンスを与えてしまったのが悔やまれる。

ホームでのV・ファーレン長崎戦でも同様の結末を味わったが、今節は長崎戦以上に悔しい試合となった。

それでも内容には十分手応えを感じるゲームだったと思う。前述のとおり前線のプレッシングでリズムを掴み、久々にエース中山にも得点が生まれた。守備ではアラートに守れており、特に前節のような背後への抜け出しに対してはセンターバックを中心に食い止めることが出来ていた。

勝ち星がない状態でこのような試合をしてしまうとどうしても落ち込んでしまいがちだが、しっかり出来た部分、取り戻せた部分は自信にしていきたい。

次節はアウェイでレノファ山口FCとの対戦。プレーオフを争う山口だが、今節は千葉に敗れてプレーオフ圏外へ落ち、仙台同様に尻に火がついている状況だ。

きっと山口も必死に立ち向かってくるはず。そんな山口に対して今節得た手応えをしっかりピッチで表現したいし、何よりも1つの塊となって戦いたい。7月のように1人1人がバラバラになって戦ってはいけない。こういうときこそ集団で戦えるかがポイントになるだろう。

次節は今節の悔しい想いをリバウンドメンタリティとして山口にぶつけて、リーグ最終盤に向けて弾みをつける試合にして欲しい!!

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