たつの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

た・つ

他動詞タ行四段活用

「五穀たちて、千余日に力を尽くしたること少なからず」

[訳] 食べ物をやめて、千日余りに力を出し尽くしたことも尋常ではない。

「夏影の房(つまや)の下に衣(きぬ)たつ吾妹(わぎも)」

[訳] 夏の木陰の離れ屋の下で着物の布を裁断するわが妻。


た・つ 【立つ・起つ】

[一]自動詞タ行四段活用

(人や動物が)立つ。(植物が)生える。(物が)立つ。

[訳] 門を広く押し開けて、供の人たちが立っている、その人たちが。

「雲林院(うりんゐん)・知足院などのもとにたてる車ども」

[訳] 雲林院・知足院などのところに止まっている多くの牛車。

「遅れて来(く)と見る者どもの、ただ行きに先にたちてまうづる、いとめでたし」

[訳] 後からくると見られた人たちが、どんどん先に立って参拝するのはとてもすばらしい。

「風吹けば沖つ白波たつた山夜半(よは)にや君がひとり越ゆらむ」

「やや年も暮れ、春たてる霞(かすみ)の空に、白河の関越えんと」

[訳] ようやく年も暮れ、春がやってきて、霞がかかっている空を見るにつけ、白河の関を越えたいと。

「恋すてふわが名はまだきたちにけり人知れずこそ思ひそめしか」

「御仏名(おぶつみやう)、荷前(のさき)の使ひたつなどぞ、あはれにやんごとなき」

[訳] 御仏名、また諸陵墓への勅使が出発するさまなどは、趣深く尊い気がする。◇「発つ」とも書く。

「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)たつ沢の秋の夕暮れ」

[二]補助動詞タ行四段活用

活用{た/ち/つ/つ/て/て}

〔動詞の連用形に付いて〕盛んに…する。きわだって…する。

[三]他動詞タ行下二段活用

「にほ鳥の(=枕詞(まくらことば))葛飾(かづしか)早稲(わせ)をにへすともそのかなしきを外(と)にたてめやも」

[訳] 葛飾の地で産した早生(わせ)の稲を神に供えていても、あのいとしい人を、外に立たせておこうか、外に立たせてはおけない。

「雲林院(うりんゐん)・知足院などの前に車をたてたれば」

[訳] 雲林院・知足院などの前に牛車を止めて置くと。

「『やがて具して宮に返りて、后にたてむ』とのたまふに」

[訳] 「このまま内裏(だいり)に連れて帰って后につかせよう」と天皇がおっしゃると。

[訳] 開けて出入りする所を閉めない人はたいそう憎らしい。

「亀山殿(かめやまどの)たてられんとて、地を引かれけるに」

[訳] 亀山の御殿をお建てになろうとして、地をならされると。◇「建つ」とも書く。

起こす。立たせる。立ちこめさせる。立ち昇らせる。

[訳] 海の神までもびっくりさせて、きっと波を起こしてしまいそうだ。

[訳] 自分の考えを押し通して、世を過ごすようなことも。

「二十二日に、和泉(いづみの)国までと、平らかに願(ぐわん)たつ」

[訳] 二十二日に、和泉の国(大阪府南部)まではと、平穏無事であるように願を立てる。

「この道をたてて世にあらんには、仏だによく書き奉らば、百千の家も出(い)できなん」

[訳] この絵の道をもっぱらにして世を送るには、仏さえ立派に描き申し上げたならば、百や千の家もきっとできるだろう。

「新中納言使者をたてて『…』と宣(のたま)ひければ」

[訳] 新中納言(=平知盛)が使者を出向かせて「…」とおっしゃったので。◇「発つ」とも書く。

「年波の日数(ひかず)をたてて、憂き世帯もふたり住みならば」

[訳] 年月を過ごして、辛い貧乏暮らしも二人で住むならば。

[四]補助動詞タ行下二段活用

活用{て/て/つ/つる/つれ/てよ}

〔動詞の連用形に付いて〕盛んに…する。ことさら…する。

[訳] まず気持ちが晴れるほどあなたをことさら大切に育てあげて。


たつ 【竜】

名詞

想像上の動物の一つ。体は大蛇に似ていて、四脚で、背にうろこがある。顔が長く、角・耳・ひげがある。水中に潜み、空を飛んで雲・雨を起こすという。「りゅう」とも。


たつ 【辰】

名詞

時刻の名。午前八時。また、それを中心とする二時間。