たむけの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

名詞

(一)

【手向け】

神仏に供え物をすること。また、その供え物。旅の無事を祈る場合にいうことが多い。

出典土佐日記 一・二六

「夜中ばかりより船を出(い)だして漕(こ)ぎくる道に、たむけする所あり」

[訳] 夜中ごろから船を出して漕いでくる途中に、神仏に供え物をする所がある。

「手向けの神」の略。

出典古今集 仮名序

「逢坂山(あふさかやま)に至りてたむけを祈り」

[訳] 逢坂山まで来て手向けの神を祈り。

旅立つ人に贈る餞別(せんべつ)。はなむけ。

(二)

【峠】山路を登りつめた所。とうげ。◇そこで道祖神に「手向け

」をすることから。

参考

本来は、旅人が旅の無事を祈って塞の神に幣を供えることで、旅人は、幣として木綿(ゆう)・布や五色の紙などを細かく切ったものを携行し、神前にまいた。「たむけ」をする場所は、①の用例のように海路にもあったが、多くは陸路の山道を登りつめた所が多かった。中世以降、「たむけ」が「たうげ」へとウ音便化し、「とうげ(峠)」になった。