なりの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)
なり
助動詞ラ変型
《接続》活用語の終止形に付く。ただし、中古以後は、ラ変型の活用語には連体形に付く。
①
〔音・声として聞こえることを表す〕…の音(声)がする。…が聞こえるよ。
「音羽山(おとはやま)今朝(けさ)越えくればほととぎす梢(こずゑ)はるかに今ぞ鳴くなる」
[訳] 音羽山を今朝越えて来ると、ほととぎすが梢はるかに今鳴いているのが聞こえるよ。
②
〔推定〕…ようだ。…らしい。▽音・声や周囲の気配、相手の話などをもとにして推定する意を表す。
[訳] 笛をとても見事に一心に吹いて、通り過ぎて行ってしまったようだ。
③
〔伝聞〕…という。…そうだ。…と聞いている。▽人から伝え聞いたことであることを表す。
「男もすなる日記(にき)といふものを、女もしてみむとてするなり」
[訳] 男も書くという日記というものを、女(である私)も書いてみようと思って書くのである。
語法
(1)ラ変型活用語の接続(2)推定の助動詞「めり」との違いともに推定の意を表すが、右のような違いがある。
注意
(1)断定の助動詞「なり」、ナリ活用形容動詞の連用形・終止形活用語尾、四段活用動詞「なる」の連用形と混同しないこと。(2)③の用例の「するなり」の「なり」は、連体形に接続しているから断定の助動詞である。
参考
推定・伝聞の「なり」は、ラ変動詞やラ変型活用語には連体形につくが、その大部分は「あんなり」のように撥(はつ)音便に付く。また「あんなり」は「あなり」のように撥音「ん」を表記しないことが多い。上代では、ラ変型活用語の終止形に付いていたことや、「あるなる」の確かな例が希有(けう)なことから、中古においても終止形に接続するという説がある。
なり
助動詞ナリ活用型
《接続》体言や活用語の連体形、また、副詞や助詞などに付く。
「おのが身はこの国の人にもあらず。月の都の人なり」
[訳] 私の身はこの人間世界の人ではない。月の都の者である。
「物語の出(い)で来(き)始めの親なる竹取の翁(おきな)」
[訳] 物語のでき始めの元祖である『竹取の翁の物語』。
語法
(1)連用形「に」の用法(2)存在を表す「なる」と「なり」 存在を表す場合はほとんどが連体形であるが、終止形の場合もある。「富士の山はこの国なり」(『更級日記』)〈富士山はこの駿河の国にある。〉「なり」は終止形。
注意
推定・伝聞の助動詞「なり」、ナリ活用形容動詞の連用形・終止形活用語尾、四段活用動詞「なる」の連用形と混同しないこと。
語の歴史
「なり」は、格助詞「に」+ラ変動詞「あり」から成立したが、再び「に+て+あり」という形ともなり、それが、「にてぁ」「(ん)でぁ」となり、さらに「ぢゃ」の過程を経て、現代語の「だ」となる。
なり
なり
なり
[訳] (私の)継母であった人は、(以前に)宮中に仕えていたが。
なり 【形・態】
名詞
「その山は…なりは塩尻(しほじり)のやうになむありける」
[訳] その(富士)山は…かっこうは塩尻のようであった。
参考
自然に生じたかたちをいう。「すがた」は意識してつくったかたちのことをいう。
なり 【業】
名詞
生活のための仕事。家業。なりわい。多く、自然生産的な農業にいう。
[訳] まっすぐに(自分の)家に帰って家業をなさってほしい。
なり 【鳴り】
名詞