りの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

助動詞ラ変型

《接続》四段動詞の命令形とサ変動詞の未然形に付く。

「くらもちの皇子(みこ)は優曇華(うどんげ)の花持ちて上り給(たま)へり」

[訳] くらもちの皇子は優曇華の花を持って都へお上りになった。

…ている。…てある。▽動作・作用の結果が残っていることを表す。

「富士の山を見れば、五月(さつき)のつごもりに、雪いと白う降れり」

[訳] 富士の山を見ると、五月の下旬だというのに、雪がとても白く降り積もっている。

…ている。…てある。…し続けている。▽動作・作用が現在続いていることを表す。

「うらうらに照れる春日(はるび)に雲雀(ひばり)上がり心悲しも独りし思へば」

注意

(1)助動詞「たり」と同様の意味を表すが、接続が異なる。(2)四段・サ変の動詞の活用語尾の音が、五十音図でいうエ段の音であれば、それに接続する「ら・り・る・れ」はこの助動詞である。

参考

(1)助動詞「り」の成立 助動詞「り」は、上代に四段・サ変動詞の連用形に動詞「あり」が付いて融合し、音変化して成立した。たとえば、四段では「咲き+あり」↓「咲けり」、サ変では「し+あり」↓「せり」となった。その「り」の部分を助動詞と認めたものである。(2)「り」の接続 「り」の上につく動詞が四段活用である場合、四段活用は已然形も命令形も同形であるので、已然形接続説と命令形接続説とがある。しかし、成立の上からは、いずれも便宜的な説明でしかない。(1)で述べたような成立の事情からである。上代では、四段活用の、たとえば、已然形の「咲け」の「け」と命令形の「咲け」の「け」の音とが別の音であり、「咲けり」の「け」は命令形の「咲け」の「け」と同一の音であることからここでは、「り」を命令形接続としておいた。中古以降、この已然形と命令形が同音になったので、助動詞「り」は四段動詞の已然形に接続しているとみてもよいし、命令形に付いているとみても、さしつかえない。


「とかくなほしけれども、終(つひ)にまはらで、いたづらに立てりけり」

[訳] (水車を)あれこれと修繕したけれども、とうとう回転しないで、むだに立っていた。


り 【利】

名詞

「平家は三千余騎、御方(みかた)の御勢は一万余騎、はるかのりに候ふ」

[訳] 平家は三千余騎、味方の軍勢は一万余騎(であるので)、はるかに有利でございます。


り 【理】

名詞

[訳] ひとえに道理を曲げて、(仏御前を)お呼び返しになって御対面なさいませ。


り 【里】

名詞

律令制で、行政上の一区画。国・郡に次ぐ最下位の地方行政単位。五十戸を一里とする。


-り 【里】

接尾語

土地の面積の単位。一里は六町(=約六六〇メートル)四方、すなわち三十六町歩(=約三五ヘクタール)。

距離の単位。時代により一定しないが、古くは一里は六町、後に三十六町(=約四キロメートル)。