俏すの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

他動詞サ行四段活用

活用{さ/し/す/す/せ/せ}

(服装を)目立たないようにする。みすぼらしくする。

出典源氏物語 若紫

「心恥づかしき人住むなる所にこそあなれ、あやしうもあまりやつしけるかな」

[訳] (こちらが気おくれするほど)立派な人が住んでいるという所であるようだ、みっともなくあまりにひどく(身なりを)みすぼらしくしたものだなあ。

出家姿に変える。僧や尼の姿にする。

出典源氏物語 夢浮橋

「心もなく、たちまちに形をやつしてけること、と胸つぶれて」

[訳] 前後のみさかいもなく、即座に(浮舟の)姿を尼の姿にしてしまったことよと、心が乱れて。

〔「身をやつす」の形で〕やせる思いがする。没入する。熱中する。

出典醒睡笑 咄本

「連歌に身をやつし」

[訳] 連歌に熱中し。

まねをする。もじる。

出典日本永代蔵 浮世・西鶴

「玄宗(げんそう)の花軍(はないくさ)をやつし、扇軍(あふぎいくさ)とて」

[訳] 玄宗皇帝の花軍というものをまねして、扇軍だといって。

省略する。くずす。くつろぐ。乱す。

出典好色一代男 浮世・西鶴

「事(こと)過ぎて、あとはやつして乱れ酒」

[訳] 事(=茶の湯)が終わって、あとはくつろいで自由な酒盛り。

参考

自動詞「やつる」の他動詞形。「やつる」がマイナスの意味を持つのに対して、他動詞の「やつす」は意志を持ってすることを表す。