所の意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

名詞

場所。地点。居場所。居所。

出典更級日記 大納言殿の姫君

「ただ一人ゐたるところに、この猫が向かひゐたれば」

[訳] (私が)一人で座っていた場所に、この猫が(私に)向かい合って座っているので。

その土地。その地方。

出典枕草子 五月の御精進のほど

「ところにつけては、かかることをなむ見るべき」

[訳] その土地らしく、こんなものでも見るのがよかろう。

その家。その邸(やしき)。

出典枕草子 うらやましげなるもの

「さやうのことは、ところの大人などになりぬれば」

[訳] そういうことは、その邸の年輩の女房などになったなら。

(全体の中の)ある部分。箇所。点。

出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの

「ひがおぼえをもし、忘れたるところもあらば」

[訳] (『古今和歌集』の和歌について)記憶違いをしていたり、忘れてしまった部分があるならば。

〔連体修飾語を受けて〕場所。折。こと。

出典平家物語 一・祇園精舎

「天下の乱れんことを悟らずして、民間の愁(うれ)ふるところを知らざっしかば」

[訳] 国が混乱するであろうことを悟らないで、民衆が悲しみ嘆くことを察しなかったので。◇形式名詞的用法。