無心の意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

む-しん 【無心】

[一]名詞

無心連歌(れんが)。▽和歌的な優雅な連歌を「有心(うしん)」というのに対し、滑稽(こつけい)味のある連歌をいう。

「有心むしんとて、うるはしき連歌と狂句とをまぜまぜにせられしことも常に侍(はべ)り」

[訳] 有心・無心連歌といって、優雅な連歌と滑稽な句とをまぜこぜになさったことも常にあります。

「猿引きに初めて会うて、むしんを言ふはいかがなれども」

[訳] 猿使いに初めて会って、無遠慮な願いを言うのもどうかとは思うが。

[二]形容動詞語幹

「このおとどの、さるむしんの女房に心合はせて、入(い)り来たりけむにも」

[訳] この(髭黒(ひげくろ)の)大臣があんな無思慮の女房と心を合わせて、(玉鬘(たまかずら)の所へ)入ってきたような場合にも。


無心

分類文芸

鎌倉・室町時代の和歌・連歌(れんが)の美的理念の一つ。優雅な和歌的情趣から外れた、滑稽(こつけい)で卑俗的な傾向をいう。「無心連歌」や、のちの貞門(ていもん)・談林の俳諧(はいかい)に見られ、俳諧や狂歌の根源となった。「有心(うしん)」に対していう。