被くの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

かずく 【被く・潜く】


かづ・く 【被く】

[一]他動詞カ行四段活用

「傍らなる足鼎(あしがなへ)を取りて、頭にかづきたれば」

[訳] そばにある足のついた鼎を取って頭にかぶったところ。

いただいた衣服を左肩にかける。(褒美などを)いただく。

「大将も物かづき忠岑(ただみね)も禄(ろく)賜りなどしけり」

[訳] 大将も引き出物をいただき、忠岑もご褒美をいただいたりなどした。

「男のある娘をかづかせて、去らせて構はぬ工面ぢゃな」

[訳] 男のいる娘を背負い込ませて、離縁させて知らんぷりするつもりだな。

[二]他動詞カ行下二段活用

「まとゐする身に散りかかる紅葉(もみじ)葉は風のかづくる錦(にしき)なりけり」

[訳] 皆で丸くなって座っている身に散りかかる紅葉の葉は、風がかぶせる錦の織物であったことよ。

(褒美・引き出物として衣服を)左肩にかけてやる。与える。

「『願ひを叶(かな)ふることのうれしさ』とのたまひて、御衣(みぞ)脱ぎてかづけ給(たま)ひつ」

[訳] 「願いをかなえてくれることのうれしさよ」とおっしゃって、お召し物を脱いで褒美としてお与えなさった。

「自分商ひを仕掛け、利徳はだまりて、損は親方にかづけ」

[訳] 自分で取引を始め、利益はだまって(自分のものにし)、損失は主人に押しつけ。