音の意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典 (original) (raw)

名詞

物音。響き。

出典古今集 秋上

「秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞ驚かれぬる」

[訳] ⇒あききぬと…。

声。鳴き声。

出典枕草子 鳥は

「十年ばかりさぶらひて聞きしに、まことにさらにおとせざりき」

[訳] 十年ほど宮仕えをして聞いていたが、本当に、全然(うぐいすの)鳴き声はしなかった。

〔多く下に打消の語を伴って〕訪問。たより。

出典竹取物語 竜の頸の玉

「夜昼待ち給(たま)ふに、年越ゆるまでおともせず」

[訳] 夜も昼も待っていらっしゃるのに、年を越すまでたよりもしてこない。

〔多く「おとに聞く」「おとに聞こゆ」の形で〕うわさ。評判。

出典金葉集 恋下

「おとに聞くたかしの浜のあだ波はかけじや袖(そで)の濡(ぬ)れもこそすれ」

[訳] ⇒おとにきく…。

名詞

音。なき声。ひびき。▽情感のこもる、音楽的な音。(人や動物の)泣(鳴)き声や、楽器などの響く音。

出典枕草子 春はあけぼの

「日入りはてて、風の音(おと)、虫のねなど、はた言ふべきにもあらず」

[訳] 日がすっかり沈んでしまって、(耳に聞こえてくる)風の音や虫の鳴き声など(の趣のあることは)、さらにまた言うまでもない。

参考

「ね」と「おと」の違い 「ね」が人の心に響く音であるのに対して、「おと」は雑音的なものを含め、風や鐘の音など比較的大きい音をいう。