2024年東京都知事選は「『旧立憲的なもの』の終わり」ではなく「民進党の崩壊過程の再現」だった (original) (raw)

立民が都知事選の敗北を総括するという。

それなら書いておくが、立民ではなく、その前の民進党時代に立民が都民ファ◻︎ストの会を事実上あと押ししていたことまで遡って党内の議論を行なっていただきたいと思う。

なぜなら、その時の民進党代表は今回3位に沈んだ蓮舫その人だからだ。

私は、そういう過去がありながら今回あえて小池百合子対立候補として小池に挑んだ蓮舫を評価し、実際に蓮舫に投票もした。

しかし、総括をするというのなら、都ファというモンスターの人気に、育てたというよりは乗っかろうとした過去の民進党の所業を等閑にしてはならないと思うので、あえてこの記事を書くことにした。

記事を書くもう一つの理由は、弊ブログが2017年4月に公開した下記記事が誰かは知らないがXでリンクされたらしく、ある程度のアクセスがされているからだ。

kojitaken.hatenablog.com

上記記事の冒頭に、今ではリンクが切れて直接アクセスすることができない時事通信の記事が引用されている。以下に再掲する。

民進、離党届の扱い苦慮=都議選候補、推薦案も 7月の東京都議選を前に、民進党が候補者から続々と提出される離党届の扱いに苦慮している。公認内定者36人のうち、既に3分の1を超える13人が離党届を提出したが、党は1件も受理せず、処分も決めていない。**蓮舫代表が小池百合子都知事との連携を探る意向を表明したことが対応を難しくさせており**、党内では無所属での出馬を容認して推薦を与える案も取り沙汰されている。

大串博志政調会長は25日の記者会見で、都議選候補の相次ぐ離党について「残念だ」と述べつつ、「都議会で自民党と対峙(たいじ)してきたという意味において、都民ファーストの会とも考えが一致するのではないか」と述べた。

都議選は、小池氏が事実上率いる地域政党都民ファーストの会」を軸に展開する見通し。劣勢を危惧して離党を表明した民進党候補のほとんどが、都民ファーストからの立候補を目指している。離党届を受理すれば、さらに離党の動きに拍車が掛かる公算が大きい。

民進党都連幹部は、その背景として党勢低迷に加え、**蓮舫氏が小池氏主宰の政治塾への参加を容認した**ことがあるとみている。年明けに離党者が出始めた際も「目くじらを立てることではない」(蓮舫氏周辺)と危機感が薄かった。党若手は「対応の遅れが傷口を広げた」と嘆いた。

ただ、離党を認めず除籍(除名)処分とする選択肢は取りにくい。小池氏の反発を招く恐れがあり、同氏との協調方針とも矛盾しかねない。小池氏への協力姿勢を示している連合 とも溝が広がるとみられる。とはいえ、離党届を放置したままでは、蓮舫氏の求心力がさらに低下することは避けられない。

民進党は都議選で、現有18議席から大幅に減らすことが必至とみられ、「議席ゼロ」の可能性もささやかれている。「民進系都議」を確保するため、離党を円満に認めた上で推薦する「苦肉の策」も浮上しているが、党幹部は「有権者の反発を招く」と懸念している。 時事通信 2017/04/25-19:05)

URL: http://www.jiji.com/jc/article?k=2017042501068&g=elc(リンク切れ)

これをもって、「都ファわしが育てた」と当時の民進党を表現するわけにはいかない。仕掛けたのは小池百合子であって、蓮舫体制下の民進党はそれに迎合しただけだった。

その前段には2016年の都知事選があった。この時には「野党共闘」体制で鳥越俊太郎を担いだが今回の蓮舫と同じように3位に沈んで惨敗した。小池と鳥越の得票率と得票さは今回と似ていたが、2016年の鳥越の方が今回の蓮舫よりは少し多かった。鳥越も蓮舫と同じようにテレビのニュース番組のキャスター経験があり、選挙戦開始時には小池と互角の戦いをするかもしれないという観測もあったが、鳥越のスキャンダルが叩かれた等の理由もあってか惨敗した。私が「鼻をつまんで」と公言して、本来あまり好きではなかった候補に投票したが落選したことも今回と同じだ。

都知事選が終わるや民進党右派が騒ぎ始めて民進党内政局となり、それが活発化する前に当時民進党代表にして「野党共闘」を奏功させて辛うじて参院選の敗北を最小限にとどめた岡田克也が代表の座を投げ出した。それを受けて民進党代表選が行われたが、立候補したのは蓮舫前原誠司玉木雄一郎の3人で、要するに全員が右派だったのだが、党内リベラル派や岡田克也蓮舫を推した、つまりリベラルや岡田が野田Gに加勢したために代表選は蓮舫が勝った。そして岡田時代の野党共闘路線を「右に」転換し、小池百合子にすり寄る路線に転じた。

弊ブログはこれを激しく批判した。従って、蓮舫代表時代の記事では一貫して蓮舫に批判的だった。

都議選で民進党は獲得わずか5議席の惨敗を喫したが、その時も実に呆れた党内の反応ぶりだった。それも弊ブログは記録している。

kojitaken.hatenablog.com

上記リンクの記事中で、さとうしゅういちさんの選評を紹介している。以下に都ファ共産党民進党に関する部分のみ再掲する。

hiroseto.exblog.jp

東京都議選 党派別総括

小池ファースト 公認49議席+推薦の無所属6議席

マスコミ予測通りの大勝。真のグローバリスト・新自由主義者・金融帝国主義者小池百合子が日本初の女性総理へ大きく前進。
新自由主義タカ派中流階級以上の女性受けする政策のサンドイッチは、戦前の立憲民政党・永井柳太郎をほうふつとさせる。
創価学会と大都市ブルジョワインテリを支持基盤とする。
国家戦略特区については安倍総理みたいにお友達のためにヤルのではなく、本来目的である「金融大手企業や欧米中の大金持ちのため」の特区である。友人への自分の温情に振り回される安倍とは役者が違い、
本格派の帝国主義者新自由主義者が小池の本質である。

ただし、所属議員の質に問題あり。マスコミの自分の意見を言えない議員多数でどうするのか?議員とは知事と議論するのが仕事ではないのか?
元代表制の議会が成り立つのかという問題がある。

**共産党 19議席**。格差是正・庶民生活重視勢力の旗頭に。
文京区や中野区でぎりぎりで議席を落としたのは痛いが、それでも、議席を伸ばした。民進党が5議席にとどまり、無党派の投票先でも、都民ファーストに続く二位に。腐敗した自民にも、衣の下に新自由主義の鎧の小池ファーストに対しても疑問を持つ無党派層を広く集めた。「土豪優先=安倍」とも「大手企業・大都市大金持ち優先」の小池とも違う色彩が最も強いことが、支持につながったのではないか?
今後も、きちんと「個人を尊重する再分配政策」の旗頭として期待される。

民進党 5議席。当初の0議席とか1議席という予想は覆したが、後退は後退。かつての国政与党・都議会第一党の面影はどこにもない。初動を誤った。小池ファーストに対して秋波を送ったものの、袖にされた上に、議員を引き抜かれてなすすべもなかった。今後は、せっかく近代立憲主義を綱領としたのだから、立憲主義に基づいて、きちんと小池都政に切り込むべきだし、国政でも、「行政をゆがめた」とかそういうことではなく「憲法に反しているのではないか?」という切り込み方をしていくべきだろう。とにかく、軸をハッキリしないと自民、小池、共産の間に埋没するだけだろう。

URL: https://hiroseto.exblog.jp/25888806/

しかし、民進党内部の反応は呆れたものだった。記事中でBuzzFeed Newsの記事から引用している。

以下に一部を再掲する。下記が当時の民進党の人たちが発した言葉だ。

都民ファーストのチラシに国政のことは書かれていない。民進党のチラシには、加計学園問題など国政のことが書かれている。いまは手に取ってもらえる」

有権者は戦えるのは民進党だという認識を持っている。手応えはよくなっている。流れは従来とは変わってきているのは間違いない」

小池都知事に対する距離感の近さもアピールした。

「はっきり言って、**都民ファーストの中にもともと民進党の支持者はたくさんいた。** 区会議員や市会議員も一部は都民ファーストの候補を応援していた

都連幹部の一人は「我々は小池応援団でもある」とまで語っていた。

(中略)

「都民から、安倍政権が傲慢な政権運営を行ったことに対して、本質を明らかにしてきた働きを評価いただいた。政権与党の歴史的大敗は重く受け止めるべきだ」(馬淵澄夫・選対委員長)

民進党が中心になって、権力の暴走や私物化を暴いてきたことが自民党のダメージになっている。これは私たちの大きな実績だ」(松原さん)

(中略)

最後は「解答的出直し 」?

都議選で離党ドミノが発生した民進党が、再び非自民層が支持する対象になるのか。

そのために繰り返し必要だと語られたのは解党的出直し」(松原 さん)だった。

それが一体、何をさすのか。風を頼みに、新しい看板を掛け替える歴史を繰り返すことなのか。最後まで具体的なものは何も示されないままだった。

平河エリがこんなXをポストしていたが、大間違いだ。

蓮舫陣営を見ていると、「旧立憲的なもの」の終わりを感じる選挙だった気はします。最後が新宿だったのも象徴的といえば象徴的。

— 平河エリ Eri Hirakawa (@EriHirakawa) 2024年7月7日

この記事で見た通り、「『旧立憲的なもの』の終わり」ではなく、このままだと民進党の崩壊過程の再現にしかならない。少なくとも今のままだとそうなる。

そう思って記事を書いていたら大変な情報が入ってきた。枝野幸男が立民代表選に出馬の意向という朝日の記事だ。

www.asahi.com

しかし枝野本人がこのニュースを否定するXをポストした。

枝野幸男 #立憲民主党 #埼玉5区 衆議院議員 (@edanoyukio0531) 2024年7月10日

⇒代表戦については、従来からご期待の声をいただくことがあり、ありがたいことですが、まだ2ヶ月も先のことです。街頭などを含めご期待の声をいただいたときには「ありがとうございます。頑張ります。」とお答えしていますが、この頑張りますは一般論。一年も二年も前から姿勢と答えは同じです。

枝野幸男 #立憲民主党 #埼玉5区 衆議院議員 (@edanoyukio0531) 2024年7月10日

今は「みんなで選んだ代表は原則として任期中全力で支える」という認識と状況に変わりありません。

当事者の意識に対してメディアが先走りすぎで、強い違和感を覚えています。

枝野幸男 #立憲民主党 #埼玉5区 衆議院議員 (@edanoyukio0531) 2024年7月10日

どのような判断でも、そんな大事なことを民間の方も含めた大人数の場で言うわけないのは、デスクくらいの経験者なら当然の常識です。意図的な飛ばしと判断せざるを得ません。

枝野幸男 #立憲民主党 #埼玉5区 衆議院議員 (@edanoyukio0531) 2024年7月10日

真偽のほどは不明だが、本記事で振り返った2016年民進党の政局を振り返っても、今秋の立民代表選に枝野が出馬する可能性が出てきたことは否定できない。なぜなら現状働いている惰性力のままに立民党内の政局が推移した場合、民進党が崩壊したのと同じように立民も崩壊過程をたどるとしか、少なくとも私には思えないからだ。