子どもの名前を付けるときは、忌憚なきご意見を。 (original) (raw)

いよいよ妻の妊娠も33週になったというタイミングで、決まっていた我が子の名前をもう一度考え直すことになった。
子どもに名前をつける、というのは親からの最初のプレゼントで、一生分の想いを込める行いである。
その名前なのだが、なかなか決まらない。
数週間前、あれだけ考えて決定したかに思えた我が子の名前だったのだが、よくよく考えると「この名前はあだ名が虫の名前になっちゃいそう」とか「この名前はスリランカ語では卑猥な言葉になっちゃう」とか、新たな『ダメな可能性』がどんどん浮かんできてしまうのだ。
一番多く呼ばれる『名前』というのもの。子どものためにも良いものをつけてあげたい。
しかし、雨漏りしている穴を塞いでも別の穴から水が漏れ出るように、一方が考えた名前をもう一方がダメ出しする、ということを繰り返してしまう。なかなかこたえる時間だ。
ならば、こういったときに相手が、どんな名前にもダメ出しをしないで「良いんじゃない。」と素直でいてくれるには、どのような体制を敷けば良いのだろうか。

『出生後、先に区役所に提出届に書いてあるものがその子の名前になる。』というルール決めをすることである。
実際に赤ちゃんが生まれたあと、二週間以内に区役所に出征届を出しに行かなくてはならない。もちろん、本来は二人で話し合って決めた名前である。
そこを、「名付けは生まれたあと早いもの勝ち」ということにすれば、普段の名付けの相談で文句を言ったり、相手を罵って険悪な雰囲気になることもない。自分の付けたい名前を相手より先に提出すればいいだけなのだから。
そうなったなら。
さて、出産が無事終わり、妻のケアもそこそこに、そこから夫は母親が動けないことを良いことに区役所に自分が練りに練った我が子の名前を喜び勇んで区役所に提出しに行こうとするのだろうが、ここは妻も代理に自分の父親なりパルクールが得意な人を雇うなりして、したためておいた出生届を託し、レースは開催される。
距離にして3200m。天皇賞・春と同じ距離である。レースの結果は時の運で、どちらの名前に決まるかはわからないが、この数十分の争いだけで普段のいがみ合いは回避できるのであれば、わりと良いアイデアなのではないだろうか。

そうして、決められた名前だが、結局子どもが大きくなった時に、「こんな名前嫌だ!なんでこんな名前なんだ!」と責められることもあるだろう。
その時は正直に「お父さんのほうが人の波を縫って街を早く駆け抜けられたからだよ」と、言ってあげてほしい。変に隠されるより、子どもも納得するはずだ。
その後、もしかしかしたら子どもが戸籍の訂正申立を願い出るかもしれない。
その時は我が子に名前をつけるアドバイスをしてあげよう。
いくら好きな食べ物だからといって、「なめろう」や「もずく」はダメ、好きな動物でも「ねず美」「ワン子」「コケコッ子」はダメ、好きなタレントでも直接「ゆきぽよ」「みちょぱ」はパ行が入るからダメ、と子供の年齢によってはまだわからない、一言では言い表せないルールがあるのだ。
こうして、仕方なくも『ダメ出し』のスパイラルは続いていくものなのである。