不調があってもなんとかこなす (original) (raw)
風邪気味で腹痛があった。
カラダにちょっとした異変があるだけで気分が急降下する。
気を許すと頭は腹痛に支配された。
この日の業務は数時間に及ぶ。
電車で西へと運ばれながら気持ちが滅入った。
しかしいざ仕事が始まれば、頭は仕事に支配され腹痛などどこか遠くへと消え去るのかもしれない。
そうなればどれだけいいだろう。
日当たりよい場所に座ったせいではなかった。
ひんやりと全身に汗がにじんだ。
そのうち気分だけでなくお腹まで急降下していった。
前日顧問先で処方してもらった薬をきちんと飲むべきだった。
少なくとも持参するべきだった。
まさに後悔先に立たずであった。
幸い前倒しで動いていたので時間に余裕があった。
それで明石駅で降りきれいなショッピングモールにて腹痛の面倒をみたのであったが、駅へと引き返すと改札から群衆が一挙に掃き出されていた。
ただ事ではなかった。
表示をみると「ただいま運行停止中」との表示があり、画面の下段に「住吉駅で列車がお客様と接触した」との文字情報が流れていた。
さっきまで何の兆候もなかった。
たったいま時を同じくして人身事故が発生したのだった。
こんな秋晴れの日に。
何も早まることもないだろうに。
立ち竦んでいる訳にはいかなかった。
約束の時間まであと20分ほどしか残されていなかった。
慌ててわたしはロータリーに出た。
振替輸送で大半の人が山陽電鉄の駅へと向かっていたから、タクシーの台数にはまだ余裕があった。
魚住まで何分?と運転手に聞くと20分というから安堵した。
運転手が急いでくれて、大久保あたりで道が混んでいたが所要19分で現地にたどり着いて助かった。
案の定、業務に入ると腹痛などどこかへ消え去った。
そして仕事後の解放感にはいつも以上の喜びが伴った。
帰途、途中で電車を降りた。
夕刻、冷え込みの度が増していた。
木枯らしにぶるる震え、しかしこれは武者震いの部類に入るだろう。
先を急いだ。
ひさびさの平壌冷麺だった。
おいしいものは素晴らしい。
家内の分も焼いて、夕闇のなか晴れ晴れと帰宅した。
なんであれ終わりよければすべてよし。
家内の喜ぶ顔が頭に浮かんで家路を急いだ。
2024年11月13日午後 新長田 平壌冷麺
2024年11月13日夜 御堂筋イルミネーション