ちょっと山城に (正規運用版) (original) (raw)
**津久井城 再訪2**の続きと参ります。
今回も山頂要害部ですが主郭部を後にして「飯縄郭」から「鷹射場」を経て東側の登山道を巡ります。
では初めに山頂部縄張り図に再登場して頂き
男坂・女坂の登山道が合流する尾根鞍部の堀切から 再開です
前回も登場した画像です。
飯縄郭へは画像奥の稜線道を進みます。
進むと言ってもですね
すぐに虎口が見えてきます。
もう少し寄ってみましょう。
切通し状の虎口ですね、現在は郭中心にあるお社への参道になっているのかな?
ここの縄張りとして個人的な注目点は
虎口の開口部が狭く絞られている事。
津久井城クラスの拠点級の城郭にしてはいささか不自然な狭さ。
飯縄郭内の中央には「飯縄神社」が祭られています。
主郭と同じく、中心部分を一段高い小郭とし、その周囲にはやや広い面積が確保された腰郭の組み合わせ。
南側の支尾根は堀切によって区切られます。
この先の段郭はベンチも容易され展望スポットになってます。
振り返って撮影。
ベンチからの眺め
雄大な相模平野が一望・・・ その前に手前の景色が気になって仕方がありません。
こちらは飯縄郭北端のご神木の大杉
残念ながら2013年に落雷で焼失したそうです。
こちらは「宝ヶ池」と呼ばる井戸です。
周囲は全て土塁と切岸で隠ぺいされており水源が大切にされていた事がうかがわれます。
今でも水を湛えていますね。
山頂部の地下水はサイフォンの原理で麓から湧き上がると聞いた事がありますが、山城の井戸を見る度に確実に水脈を掘り当てるノウハウには驚嘆させられます。
津久井城の要害部では他にも主郭北側で井戸跡が見つかっているそうです。
ただ、2本の井戸では必要量は到底まかなえないと思われ、また籠城時は排泄物で地下水の汚染も考えらます。
しかし「井戸がある」その事実だけでも兵の士気面では効果が期待できたかもしれません。
宝ヶ池を過ぎて次の小ピーク「鷹射場」を目指します。
少し進むと
「飯縄郭」東端部の堀切に到着。
と言っても登山道整備で稜線上の堀切は埋められているので多少の妄想想像力を働かせる必要があります。
ここに堀切がありました・・の再現を試みた画像です。
私の脳内では埋められようと痕跡だろうと勝手に堀切が再現されるので、それでOK としてます。
これが山城巡りの楽しさ。
撮影点を堀切の反対側から撮影。
鎖場を伴う険しい岩壁と堀切の組み合わせは、強固な防衛線として機能したでしょう。
ちなみに、堀切の両側は岩盤を削り出した竪堀に繋がってます。
その先はほぼ自然地形の尾根道が続き
やがて前方が開けてくると
鷹射場と呼称される小ピークに到着。
山頂部は削平化されているようですが防衛に特化した普請まではされていないようです。
東側の観測地点と言った所でしょうか。
さて、一般的にはここで元来た道に引き返すのでしょうが・・
東側の稜線への登山道(城山登山道口)方面に降りてみる事にします。
現地の登山道マップにルートを記入しました。
鷹射場から東稜線に降りて、女坂に分岐し巻き道である「小倉登山道」を辿って駐車場に戻ります。
整備が追い付かないのか**通行止区間**の表記も目立つと思います。
さて、城山登山道を下ります。
やや道は細く踏み跡は薄いものの整備状況は問題ありませんでした。
途中にある「男坂」と「女坂」との分岐点。
案内板も充実しており
通行止めの案内もかなりしっかりと掲示してあります。
「女坂」を下ってパークセンターに向かいます。
男坂・女坂の呼称って、そろそろ各方面から差別的な表現!
などと言われそうに思えてならないのですが・・今の所さほど言わてないですね。
№9地点の分岐。
画像左手の登山道はバリケードで塞がれているので右手の小倉登山道を進みます。
小倉登山道は南麓を巡る水平道なので飯縄郭の竪堀を見るのが目的で進んでいます。
はしご昇降を超えると
竪堀と直交します。
登山道が竪堀に沿って湾曲しているのが判りますか?
断面がはっきりV字と判る竪堀、このまま山頂部まで山肌を刻んでいるのだから驚嘆です。
津久井城の竪堀
見事としか言いようがありませんが元々の谷筋を利用して掘ってませんかね?
長くなりましたが**津久井城**の紹介は以上です。
所要時間 3時間半
津久井城の評価は 4 とさせて下さい
3回に分けて紹介して、2014年版と比べてようやく**津久井城**の紹介らしい内容になったかな?
実はその程度しかポイントは抑えられてません。
詳細に再訪すれば見落とした素晴らしい遺構がゴロゴロと出てくるでしょう。
畝状竪堀群も藪に阻まれて発見できてませんしね、その分点数は低めの4になってます。
遺構としては、山頂の要害部がやはり城好きとしては見所になるでしょう。
公園として整備されているので藪城の苦労は不要ですが「登山道ルート≠城の虎口」なので度々惑わされます。
ルート外の遺構を見たいのですが、藪突撃は地山の険しさに阻まれるのでやや不完全燃焼感が残ります。
それでも稜線を一筆書きで遺構群を堪能できる本格的な山城は都内近郊では貴重な存在です。
マニアックなお城巡りに目覚めた方には最適か城かもしれません。
旧 津久井城の記事はこちら(ご笑納用)
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