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音楽シーンは日本だけでなく、さまざまな国や地域にあります。日本の音楽は邦楽、海外の音楽は洋楽と呼ばれています。特に、アメリカやイギリスの音楽シーンは世界におけるスタンダードとなっているため、そのヒットチャートをどこかで目にしたことがある人も多いでしょう。また、人気の洋楽アーティストの楽曲を聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか。

洋楽にも人気のアーティストや人気の楽曲はたくさんあるものの、日本においてはあまり売れない、とよく言われます。今回は、その理由について詳しく解説します。

日本で洋楽があまり売れないのはなぜ?

日本では洋楽があまり売れない、といわれている背景にはいくつかの理由があります。

元々日本では国内志向が強いから

まず挙げられるのが、日本における音楽産業の構造です。日本の音楽産業において、主な収入源となるのは音楽ソフトの売り上げ、音楽配信の売り上げ、ライブチケットの売り上げの3つです。このうち、CDやDVDといった音楽ソフトの売り上げは、2005年以降減少し続けています。音楽ソフトの売り上げが減少しているのは、邦楽も洋楽も同じです。

参照:

media.rakuten-sec.net

gyokai-search.com

その一方、売上高が伸びているのが、ライブのチケットです。

日本におけるライブのチケット売上高は2012年以降伸び続け、2019年には過去最高となる6295億円を記録しました。2020年にはコロナ禍によって大きく減少したものの、2022年には2018年とほぼ同程度まで回復しています。

参照:

xtrend.nikkei.com

これらのライブを日本で行うことが多いのは、当然のことながら海外アーティストよりも日本のアーティストです。頻繁に日本でライブを開催する日本人アーティストのほうが、めったに日本に来ない海外アーティストよりもより親近感を感じられるでしょう。そのことは、音楽ソフトの売り上げやストリーミングサービスでのダウンロード数にも影響を与えると予想できます。

洋楽アーティストはあまりメディアに登場しないから

アーティストの楽曲に出会う場としてまず考えられるのが、テレビやラジオ、雑誌といったメディアです。テレビドラマやCMのタイアップとして採用されればソフトの売り上げやダウンロード数につながります。また、音楽番組や雑誌に登場することも大きな宣伝活動になるでしょう。

洋楽アーティストは邦楽アーティストと比較すると、それほどメディアには登場しません。そのため、その存在自体が認識されていない、というケースも多いと考えられます。

特に、日本はアイドルの人気が高いです。日本のアイドルたちは音楽番組だけでなく、バラエティ番組やドラマなどにも多く出演しています。売れている邦楽の多くを彼らアイドルの楽曲が占めている、ということも、いかにメディアの影響力が強いかを物語っているといえるでしょう。

日本人は歌詞を重視するから

日本文化の特性も重要なポイントです。日本では、ほとんどの人が日本語を話します。一方、英語などの外国語を理解できる人はそれほど多いとは言えません。日本だけでなく世界中で、ポップミュージックは歌詞のある歌が大半です。そして海外では、ポップミュージックは英語など海外の言語で歌われています。

音楽を聴く際、歌詞に込められたメッセージを重要視する人も多いでしょう。日本語話者によってつくられている日本のマーケットにおいては、日本語の楽曲のほうが英語など海外の言語で歌われた楽曲よりも強い、というのは至極当然のことと思われます。

かつて日本ではどのような洋楽がヒットしたの?

洋楽があまり売れないといわれている日本のマーケットですが、洋楽のヒットソングが生まれなかったわけではありません。ここからは、どのような曲が日本において広く受け入れられたのか、いくつか紹介します。

カーペンターズ「I Need To Be In Love」

カーペンターズはピアノを担当する兄のリチャード・カーペンターと、ヴォーカルを担当する妹のカレン・カーペンターによる兄妹デュオです。1969年にデビューし、1970年代には世界中で人気のポップ・デュオになりました。しかし、1983年、カレンが突然死してしまい、活動は終焉を迎えました。

元々日本でも洋楽ファンの間で高い人気を誇っていたカーペンターズが日本においてリバイバルヒットを果たしたのは、1995年のことです。TBSで放送された野島伸司脚本の「未成年」において、彼らの楽曲である「I Need to Be in Love」や「Top of the World」、「Yesterday Once More」が起用されました。このことをきっかけに、同年には日本向け独自編集のベストアルバム「青春の輝き〜ベスト・オブ・カーペンターズ」がリリースされ、累計200万枚の大ヒットとなったのです。

青春の輝き~ヴェリー・ベスト・オブ・カーペンターズ

セリーヌ・ディオン「To Love You More」

セリーヌ・ディオンは1968年カナダ生まれの女性歌手です。世界の音楽史上最も売れた歌手の一人といわれています。彼女が世界的にメジャーになった曲の一つに、1997年に公開されて世界中で大ヒットした映画「タイタニック」の主題歌「My Hearts Will Go On」があります。しかし、日本ではその2年前、別の曲で既にヒットを達成していました。

その曲が、1995年のフジテレビのテレビドラマ「恋人よ」で主題歌として起用された「To Love You More」です。日本でこの曲は150万枚以上を売り上げ、日本語詞によるカバー曲も発売されました。また、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎が所属していたニューエイジ・バンドのクライズラー&カンパニーがミックスに参加していたことでも話題となりました。

To Love You More

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

「All I Want For Christmas Is You」は、アメリカを代表する女性シンガーのマライア・キャリーが1994年にリリースした曲です。日本では「恋人たちのクリスマス」のタイトルで発売されました。フジテレビのドラマ「29歳のクリスマス」の主題歌に起用されたことで火が付いたといわれています。以降、この曲は日本においてもクリスマスを代表する曲の一つとなりました。

All I Want for Christmas Is You

ダニエル・ブーン「Beautiful Sunday」

ダニエル・ブーンは1942年生まれのイギリス人男性歌手です。「Beautiful Sunday」は1972年に本国イギリスをはじめ、アメリカや日本でヒットしました。70年代を代表する洋楽ヒットソングといえるでしょう。日本ではTBSの情報番組「おはよう720」における看板コーナーのテーマ曲として採用されたことがヒットのきっかけだったといわれています。また、日本においてミリオンヒットを記録した洋楽シングルは、2024年現在この曲と先述の「To Love You More」、「All I Want For Christmas Is You」の3曲のみとなっています。

ビューティフル・サンデー~ベスト・オブ・ダニエル・ブーン

参照:

nendai-ryuukou.com

BTS「Butter」

2010年代以降における音楽業界のトピックといえば、ストリーミングサービスやYouTubeのような動画コンテンツの普及とK-POPの台頭が挙げられます。世界を席巻するK-POPアーティストの代表格ともいえるのがBTSです。第63回から65回まで3回連続でグラミー賞にノミネートされるなど、その人気は世界的です。

中央日報が2021年3月から2022年2月までのYouTubeにおける音楽チャートを調査したところ、BTSのコンテンツをこの期間に世界で最も消費していたのは日本であったことがわかりました。2020年リリースの「Dynamite」や2021年リリースの「Butter」を当時YouTubeで観た、という人も多いのではないでしょうか。

BTS - BUTTER (ランダムバージョン)

参照:

japanese.joins.com

まとめ

それぞれの国や地域にはそれぞれの音楽マーケットがあります。日本の場合、十分に市場が成熟していることや日本の文化の独自性などの理由から、洋楽のヒットソングは出にくいといえます。しかし、だからといって日本からは洋楽ヒットソングが生まれないというわけでも、日本人は洋楽を聞かないというわけでもありません。これまでにも日本における洋楽ヒットソングが生まれたように、今後も変化した環境に適応した洋楽ヒットソングが生まれるのではないでしょうか。