女流歌人が詠んだ6月の短歌三選 (original) (raw)
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今回は、女流歌人が詠んだ6月の短歌三選をご紹介いたします。
短歌は俗に言う「三十一文字(みそひともじ)」、五・七・五・七・七の五句体で詠まれる歌体のことを言います。俳句のように季語を入れることはなく、いろいろな心情などを表現することができます。
樋口一葉
五千円札の肖像になっている明治時代の女流作家樋口一葉は、小説のほか、短歌も詠んでいます。
誰もかく あらまほしけれ この花の いはぬに人の なほもめづらん
意味:誰もみんなこんなふうにありたいと思うでしょう。この花が何も言わぬのに、なお美しいと愛されているように。
この花は、「いはぬ」からくちなしの花であると連想することができます。くちなしの花は6月から7月に咲く花です。
黙っていても愛されるようになりたいと思う女性ならではの願いがわかり、この歌の良さだと思います。
与謝野晶子
六月は 酒を注ぐや 香を撒くや 春にまさりて 心ときめく
意味:六月は酒を飲むか香をふり撒こうか。春よりももっと心がときめいています。
与謝野晶子の短歌は大胆な表現が多く、ギョッとすることがあります。春よりもときめく六月に乾杯!といったことでしょう。与謝野晶子の豪快な姿が出ています。
俵万智
現代短歌ブームとなった「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」の作者俵万智さんの短歌です。
思いきり 愛されたくて 駆けてゆく 六月サンダル アジサイの花
意味:あなたに思い切り愛されたいという気持ちがあふれてサンダルのまま紫陽花のそばを駆けていくよ
現代の女性の恋ごころを爽やかに詠んだ歌で気持ちいい感じがします。六月サンダルという表現も現代短歌らしく、おもしろさがあります。そして、「紫陽花の花」と表現するところを、「アジサイの花」としたのが、作者らしいと感じました。
いかがでしたか?
今回は、女流歌人が詠んだ6月の短歌三選として、取り上げました。
最後までお読みいただきありがとうございました。