アメコミ:GHOST RIDERS:HEAVEN'S ON FIRE(2009)#5 (original) (raw)

ザドキエルの刺客を退けろ!

マシンガン聖女にゾンビに悪魔憑きと戦場は混沌と化す!

Ghost Riders: Heaven's on Fire (2009) #5 (of 6) (English Edition)

Ghost Rider: The War For Heaven Book Two (Ghost Rider (2006-2009) 2) (English Edition)

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lagia.hatenablog.com

[あらすじ]

地上から遠く離れた天界、いまこの地は「神」に反旗を翻したザドキエルが治める地獄と化していた。荘厳な輝きに満ちていた神殿は血に塗れ、足元には夥しい数の天使たちの骸が転がっている。

ザドキエルの胸中に渦巻くのは復讐を成し遂げた達成感と、自身の野望を挫かんと予言に縋り足掻くヒトや悪魔たちへの怒りだ。思いあがった者たちに制裁を。配下たちを地上に差し向けながらも、かの天使は“復讐の精霊”がすぐそこまで迫っていることを感じ取っていた…。

どんなに勇名を轟かせようが、ザドキエルには取るに足らないものでしかない。全ての生命は我が前に跪き、許しを乞え。それがお前たちのあるべき姿なのだ。

[Sole Reigning Holds the Tyranny of Heaven]

冒頭から描かれるザドキエルのモノローグが示す通り、天界に住まう天使たちは全て一掃されてしまった。高次元の存在であり不滅の存在でもある天使たちが、ヒトと同じ様に血を流し倒れ伏す様は異様であり、同時に壮観でもある。ジョニー・ブレイズにとって天使は悪魔と変わらないクズの集まり、ヒトを騙し弄ぶことを躊躇しない悪漢でしかないから。だが、同時にザドキエルはやり過ぎたと思わなくもない。

彼がこの惨劇を起こしたのは偏に「神」への復讐のため。元々は聖地エルサレムの神であったザドキエルだったが、「神」に敗れ、服従を強要されたばかりか治める領地も奪われてしまった。敗者に待ち受けるのは自らの手を血で染め上げる汚れ仕事と、周囲の天使たちからの侮蔑の視線。だからこそザドキエルは「神」に従う振りをしながら何世紀もの年月をかけて、復讐をするための計画を練り続けた。“復讐の精霊”と「神」の子たるヒトを利用し、感情に起因する力を取り込み、「神」をも超える強さを得た。そうして、戦闘員だけでなく安穏と暮らす天使たちを例外なく手にかけ、虐殺。その上で天使たちの骸を都市ごと炎で焼いたのだ。

かつて自分と国が味わった恐怖と死を、そっくりそのままやり返した形となったが、管理人的にはこれは復讐ではなく報復だと思う。領地を取り戻すのでもなく、そこに住まう民の無念を晴らすのでなく、ただ己の怒りをぶつける。これでは天界を手中に収めても、己の野心を満たすことは叶わないだろう。尽きぬ怒りと自国を失う恐れが胸中に渦巻いているからこそ、予言の成就を阻止しようと躍起になっていたのだ。

ヴェンジェンスへと姿を変えたコワルスキーは、今やザドキエルの傀儡と化していた。ゾンビのバイカーたちとオーブを従え、天界へと続くゲートを抑えようとするものの、武装した聖女たちに道を阻まれる。そこにジョニー・ブレイズとダニー・ケッチが駆け付ける。まるで何者かに導かれるかのように。

一方、ジャスパーカントリーでの戦いにも動きが。スケアクロウとマッドキャップの術中に陥り窮地に立たされていたヘルストームとジェーン・カーターは、お互いの身体を穿つことで生じた痛みで意識を取り戻したのだ。ヘルストームたちにとっては予想外の出来事ではあったが、これはチャンスだ。予想外なのはスケアクロウたちも同じだったからだ。戦う相手を入れ替えることで相性の悪さを無くしたことで、刺客たちは悪魔の手で倒されるのだった。

スケアクロウは悪魔の怪力で捻じ伏せ、マッドキャップはヘルファイアで火達磨に。これで暫くは何もできないだろう(痛みに喜ぶマッドキャップは相変わらずの変態である)。悪魔とヴィランたちの戦いに決着が着いた時を同じく、ケアテイカーの身に危機が…。

ケアテイカーたちが探し求めていた天界へ続くゲートは世界中に複数存在する。そのうちの1つが聖女たちが守護する門。もう一つは、何とケアテイカーの内にあった。灯台下暗しとはよく言ったもの。痕跡を探しても見つからなかったのは、そもそも対象が探し人の中にあったのだから。

勿論これはケアテイカー自身も知らないことだったが、アントン・サタンだけはこの事実に気付いていた。だからこそ邪魔者であるジョニーたちと分断させ、ゾンビたちに追われる演技をしながらマスター・パンデモニウムが待機する協会へとケアテイカーを誘き寄せた。そして、サタンが唱える魔術はケアテイカーの意識とは無関係に、彼女の身体に天界へ続くゲートを出現させてしまった。

マスター・パンデモニウムが開いた地獄の門から続々と出現する悪魔たちは、予言を成就すべく天界へ続くゲートへ入っていく。全てはサタンの計画通りに事が進んでいた。

ヒーローたちはサタンの掌で踊らされていた。ヘルストームたちが駆け付け、ケアテイカーが自分の身ごとゲートを閉じるものの、既にサタンをはじめ多くの悪魔たちが天界へ向かってしまった。状況は悪くなる一方だ。

[Death and Republic]

だが、悪いことばかりでもない。数にものを言わせて聖女たちを圧倒するヴェンジェンスたちをダブルゴーストライダーが打ち倒したからだ。ヴェンジェンスがいくら強くても、2対1では分が悪い。捨て台詞を吐くコワルスキーの顎を容赦なく踏み砕くダニーが恐ろしいが、以前に兄弟対決を邪魔されたのだから仕方がない面もあるか。

聖女たちと合流したライダーたちは、彼女たちの導きでゲートへと案内される。ザドキエルを倒すことができるのはゴーストライダーだけ。圧制を正すためならば、悪魔憑きにも手を貸す。ジョニーたちが光の向こうへ消えたのを見届けた彼女たちの元に、「狂信者」ディーコンが現れる…。

聖女たちはザドキエルへの反逆への罰として、ディーコンの手で始末された。息があるののはリーダー各の聖女のみ。しかし、血を流しながらも彼女は狂信者に対して気丈な姿勢を崩さない。それができるのは「神」への敬愛だけではないだろう。己の野心のためにヒトの心を弄び、生命の尊厳を冒涜する者などに誰が膝を付くものか。ザドキエルを妄信するディーコンには理解できない考えだろう。どちらが正しいかは、ゲートから現れたケアテイカーが示してくれるだろう。

ケアテイカーとディーコンが火花を散らす中、ジョニー・ブレイズとダニー・ケッチはゲートの向こうへとヘルサイクルを走らせる。光に包まれた世界を超えた先に待ち受けるのは、炎に包まれた黄金の都市と幾つもの屍。そして、上空を飛ぶ告死天使たち。

さあ、舞台は整った!次号ゴーストライダーズ:ヘヴンズ・オン・ファイア最終号!

ジョニー・ブレイズ&ダニー・ケッチVSザドキエル!全ての因縁に決着をつけろ!

崩壊した天界にて、悪魔の力を身に宿した兄弟と黒き天使がぶつかり合う。今こそ復讐を果たす時だ!